たんぽぽ舎から:No2194
- 2014年 6月 10日
- 交流の広場
- たんぽぽ舎
たんぽぽ舎です。【TMM:No2194】
2014年6月10日(火)地震と原発事故情報-2つの情報をお知らせします
転送歓迎
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特集号 (人民新聞 6月5日号 No.1517 より)
★1.小出裕章さん(京都大学原子炉実験所助教)インタビュー(2)
福島を忘却させるための情報隠し
自民党政権の福島を忘れさせよう作戦
★2.これからの日本を考えるのにまず福島が前提になる
「美味しんぼ」は原子力の闇に真実の一灯を投じた
たむら市民ネット 代表世話人 鈴木 匡
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┗■1.小出裕章さん(京都大学原子炉実験所助教)インタビュー(2)
| 福島を忘却させるための情報隠し
| 自民党政権の福島を忘れさせよう作戦
└──── 人民新聞 No.1517 より
※5月22日発信【TMM:No2176】の続きです。
◇事故原発で働く外国人労働者
原発がどうなっているのかを示すデータの発表が、どんどん少なくなっています。私自身も、情報が得にくくなって、手探りで現状を把握せざるを得なくなっています。
汚染水問題にしても、私は2011年の事故当初から地下水が汚染され海に流れ出ていることを指摘してきましたが、東電と政府は2013年末になってようやくその事実を認め、その後も漏水事故が断片的に報道されるだけです。
これらは、自民党政権の福島を忘れさせようという作戦展開の結果です。これまで以上に意識して情報を集め、発信しなければならない私たちの責任は、重くなっています。
なかでも、福島の子どもたちの甲状腺検査結果を、本人にも知らせないという情報統制は、目にあまります。福島の人は、復興をめざす人も含めてみんな不安を抱えています。国に捨てられてしまったのだから、福島に踏みとどまるしかないという苦しい選択の中で、生活をしているわけです。不安の中で生活しているからこそ、地域の汚染状況、子どもたちの健康状態について全ての情報を開示・提供することは、必要不可欠だと思います。
被曝に関して今最も隠されていることは、たぶん外国人労働者の存在だと思います。事故原発の現場でどれほどの外国人労働者が働いているのか、断片的な情報しか漏れてきません。
今年2月にタンクから約100㌧の高濃度汚染水があふれ出るという漏水事故がありましたが、ポンプを担当する労働者とタンクを監視する労働者の言葉が通じなかったのが、主な原因のようです。十分な意思疎通のできない人々が、現場で被曝しながら働いているのです。外国人労働者が事故原発で働いているとすれば、重大な問題です。人民新聞でも取材して事実を掘り起こして欲しいと思います。
◇原発の現状
事故原発について最大の課題は、熔け落ちた核燃料をどうやって取り出すか、です。メルトダウンした核燃料がどこにどんな状態であるか、もわからないまま、とにかく冷やすために、3年以上水をかけ続けています。当然の結果として、汚染水が増え続け、東電は、タンクに貯めようとしています。
でも、敷地全体が猛烈な汚染環境なので、時間と手間をかけてしっかりしたタンクを作る余裕がないのです。現場労働者の被曝線量が蓄積されるので、鋼板をもってきて、パッキンを挟んでボルトで締めるという簡易型タンクを、短時間で作業し終えるしかないのです。タンクへの配管作業もできないので、ホースでつなぐという現状です。
結果、汚染水が漏れ出るという事故が容易に発生するのです。原発敷地面積は限られているので、タンクの増設もいずれ行き詰まります。近い将来、タンクに貯めた汚染水を海に流さざるを得なくなるでしょう。
さらに言えば、原発建屋・縦坑・トレンチ・ピットという構造物は、全てコンクリート製なので、地震による破損箇所から、汚染水が日常的に流れ出ているはずです。毎日600トンの地下水が原発敷地の地下を流れているので、これが汚染水と混ざって海に流れ出ています。
どうすればいいのか?ですが、もう、水による冷却を諦めるべき時期だと思います。そもそも使用済核燃料は、ガラス固化体にして、地下300メートルの固い岩盤を掘って保管するという計画を進めてきました。使用済核燃料は、「地下水と接触させない」ことが最も肝心な条件だからです。
緊急事態で他に方法がなかったとはいえ、水による冷却は、やってはいけないことを意図的にやり続けているのです。3年も経ったのですから、崩壊熱は随分減っていますし、別な方法を模索すべきです。
私は、1年ほど前から(1)金属による冷却、(2)液体窒素を使う冷却、(3)空冷方式などを提案してきました。水による冷却は、遠からず破綻します。別の冷却方法を大急ぎで模索すべきです。
◇4号機の使用済核燃料の取り出し
メルトダウンした1~3号機から大気中に吹き出したセシウム137は、日本政府発表では、広島原爆168発分だとされています。ところが、4号機の使用済核燃料プールの中には、広島原爆に換算すれば約14000発分のセシウム137が保管されているのです。これが環境中に放出されれば、日本はおろか北半球全体が深刻な汚染を免れません。
4号機の原発建屋は、水素爆発で最上階は吹き飛び、核燃料プールが埋め込まれている階の壁が壊れてしまい、燃料プールは宙吊りのような状態でかろうじて建っているのです。少しでも危険性の少ない場所に移動させることは、何としてもやり遂げねばならない重要作業です。
ただし、建屋の爆発で燃料を移動させるための交換機、キャスクを吊り上げるためのクレーンも全て破壊され、使用できなくなりました。このため東京電力は、リスクを承知で建屋最上階を完全に撤去し、新たに巨大な建屋を建設してクレーンを設置し、燃料交換機を取り付けて、昨年11月にようやく取り出し作業を始めました。
今後、キャスクを釣り落としたり、燃料棒が引っ掛かって抜けなくなったりというさまざまなリスクはありますし、労働者の被曝も伴うのですが、一刻も早くやり遂げねばならない絶対必要作業です。私は東電が大嫌いですが、この件に関して東電は、よくやっていると評価できますし、エールを送りたいとも思います。
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┗■2.これからの日本を考えるのにまず福島が前提になる
| 「美味しんぼ」は原子力の闇に真実の一灯を投じた
└──── たむら市民ネット 代表世話人 鈴木 匡
『ビッグコミックスピリッツ』(小学館)に掲載中の漫画「美味しんぼ」の「福島の真実」篇に、多方面からの抗議が寄せられています。その最中、私は福島県内の障がいを持つ人の自立生活支援として現在、「京都・関西自立生活視察研修プログラム」を行っている京都市の研修受け入れ団体との交流を行っていました。その中で、京都の研修受入れ先の一人から、次の質問がされました。
「美味しんぼの鼻血については、どう思われますか?」それに対して、福島県の20代半ばの男性は、こう答えました。
「鼻血については、事実だと思いますが、そのことから新たな風評被害が発生して、福島の商品が売れないなども事実だと思うんです」。
一国の首相、関係大臣までもが、この騒動の火消しに躍起になる心理は、正に彼が答えた内容に等しいことと思います。鼻血だけではなく、さまざまな症状が出ていることは事実だし、福島とその周辺の県からのさまざまな商品等の販売が落ち込み、経済活動が滞る恐れもあり、さらに被災地の復興が遅れることも事実だと、首相、閣僚等多くの政財界人が主張しています。
一方では、福島県下18歳以下(約36万人)の甲状腺がんは、50人に達し、なおかつ、甲状腺がんの疑いがあるとされた子どもは39人、合わせると、実に89人になった、と福島県立医科大学(県民健康調査検討委員会・5月19日)により発表されましたが、医大側は、「将来にがん化するところを現在、最新の検査を行っていることから、予見しているのであり、放射能由来ではない」との従来の見解を押し通しています。
◇原発は真実を覆わないと成り立たない
甲状腺がんは、チェルノブイリ原発事故(1986年)後にICRP(国際放射線防護委員会)等が放射能由来であることを唯一認めた健康被害ですが、医大は、それすら関連付けることを頑なに拒む、という態度です。この態度を前提にすると、たかが「鼻血」であっても、到底容認できるものではありません。そして、それはこの「美味しんぼ」を非難する人の共通の態度ではないでしょうか。
さらに言えば、事故後東電幹部、自民党議員曰く「放射線により死んだ人はいない」とは、今後とも放射線(能)による死人を出さない政治姿勢から、言論統制、報道規制等さまざまな黙殺を謀ることは必須でしょう。真実を覆うことでしか成り立たない原子力発電・原子力産業の闇構造が、またあらわになりました。
他方、事故前から法律で定められていた、公衆追加被ばく線量限度、年間1㍉Svを、20倍に引き上げて対応している日本政府の姿勢は、予防原則に基づかない無責任な姿であり、隣国の沈没客船に同じく、「安全のために、その場を動かないように」と客に指示した船長ら乗組員らは、救命作業を全く行わずに、命乞いを行った態度と大差ないものになると思います。
「美味しんぼ」の作者は、主人公らを通して次のようなメッセージを伝えています(作品から引用)。
「真実を語るしかない」「福島の未来は日本の未来だ。これからの日本を考えるのにまず、福島が前提になる」「特に子供たちの行く末を考えてほしい。福島の復興は、土地の復興ではなく、人間の復興だと思うからだ」。
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