たんぽぽ舎から TMM:No2243
- 2014年 8月 6日
- 交流の広場
たんぽぽ舎です。【TMM:No2243】
2014年8月5日(火) 地震と原発事故情報-4つの情報をお知らせします
転送歓迎
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★1.いよいよ深刻な汚染水対策 福島第一原発
ALPS不調、凍土遮水は固まらず、東電は汚染水対策に全力を投入せよ
(山崎久隆)
★2.東スポWebの記事が秀逸「再稼働にもかかわる原発事故起訴問題」
「起訴相当」の持つ、重い重い意味
電力経営者は今頃、震撼している-特に九電経営陣 (山崎久隆)
★3.短信2つ あつい夏。 8月5日の東京新聞
★4.新聞より
◇「再稼働なければ 国の未来はない」 石破幹事長
(8月5日 東京新聞より)
◇米教授撮影 1947年 広島・長崎で 児童1千人にX線 =無用の被ばく
(8月2日 東京新聞より)
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┗■1.いよいよ深刻な汚染水対策 福島第一原発
│ ALPS不調、凍土遮水は固まらず、東電は汚染水対策に全力を投入せよ
└────(山崎久隆 たんぽぽ舎)
毎日新聞8月2日付けの記事は、深刻さの度合いを深める東電福島第一原発
の実態を報じた。
( http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140802-00000006-mai-soci )
事故直後と変わらないばかりか、時間と共に改善できない分だけ深刻さが増
している現場の様子は、ほとんど報道されなくなっている中、重要な記事だ。
『福島第1原発:汚染水年度内浄化、困難に』との表題の記事で、東電が自ら
目標設定していた今年度内の全量浄化処理は達成困難であることを8月1日に
明らかにした。
汚染水対策は国が委員会を設置して「一歩前に出る」とし、税金を470億円
投入することを決めている。東京オリンピック招致のために海外から原発廃炉
処理が手間取っているとの印象を持たせないために「解決に向かっている」と
思わせたいのだろう。その一方で、ALPSのトラブルや汚染水(つまり放射
能)漏れなどは報道されなくなっている。安倍晋三首相の「アンダー・コント
ロール」を否定するわけにはいかないわけだが、これでは報道機関として失格
だ。
フクイチの現場がどうなっているかをこそ報ずるのがメディアの責任だ。
もっとフクイチに迫って欲しい。
◇欠陥ALPS
ALPSは昨年3月に試運転を開始したものの、様々なトラブルにより断続
的に停止してきた。その結果、敷地内に保管されている汚染水約47万トンの
うち、ALPSを通っているのが2割強の11万トンあまり。しかもALPS
を通過してもコバルト60など、トリチウム以外の4種類の放射性物質が十分
に除去しきれていないというから、公約違反である。
9月以降に今度は、ALPSの増設が始まった。10月以降は日量2000トンに
まで処理能力を高める計画だが、それでフル稼働したとして年度末の来年3月
末までに処理できるのは最大で約40万トン。つまり今までタービン建屋などか
ら汲み上げてタンクに溜められている高濃度汚染水約36万トンを処理するのが
やっと。これまで欠陥ALPSで取り残した4核種汚染水の処理にまで手が回
らない。
◇言い訳だらけ
「目標はあくまで汚染水のリスク低減。来年3月末までにすべての汚染水を
アルプスに一度通すことができれば、リスクを下げたと言える」と説明するの
が東電広報部。リスクを少しでも下げていれば予定通りと言いたげだが、いか
にもとってつけた言い訳だ。それに呼応する資源エネルギー庁の担当者は「4
核種が残っても汚染水の貯蔵リスクを低減できればよい」と同じことを言う。
国が一歩前に出るといったときの責任者は規制委員会ではなく、資源エネル
ギー庁であるから、自らの責任を問われたくないわけだ。
さすがに原子力規制庁の担当者は、もっと厳しめの立場で「アルプスを増設
しても、きちんと動くかどうかは分からない。そんな状態で処理量の見通しは
立てられない」と話すが、規制の立場からの発言は出てこない。
◇現場の環境は依然として悪いまま
敷地境界の放射線量率が現在、年間5ミリシーベルトを超えている。年間1
ミリシーベルトが法規制値だから、違法状態は解消されない。
この原因の一つが、汚染水タンクが境界付近に立っているからで、東電はこ
れを撤去する計画だが、考えるまでも無く高線量を発するタンクが敷地内にあ
れば空間線量を押し上げて、被曝線量が増えてしまう。これを解消する責任が
東電にはあるのだが、それも実行していない。
いったいやる気があるのかないのかと厳しく問うべきだが、問題は国の姿勢
だ。
東電の最大の株主は国である以上、何かをさせるには国に要求するべきだと
いうこと。現場の環境を悪化させたまま放置しているのも、労働者の被曝を引
き下げようとしないのも、ピンハネや違法派遣を放置しているのも、責任の多
くは国にあるということを、もっとはっきりと指摘しよう。
再稼働準備などに巨額の資金を投入させない。フクイチの対策に使わせる。
それが重要である。
—–関連イベント—–
8月6日(水)18:30から、東電本店合同抗議<第11回> 参加歓迎!
集合:東電本店まえ (問合せ たんぽぽ舎 TEL:03-3238-9035)
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┗■2.東スポWebの記事が秀逸「再稼働にもかかわる原発事故起訴問題」
│ 「起訴相当」の持つ、重い重い意味
│ 電力経営者は今頃、震撼している-特に九電経営陣
└────(山崎久隆 たんぽぽ舎)
東スポWEBの記事が、この検察審査会議決の本質を突いている。これだけの
説明がされた記事は今のところ東スポWEBの記事だけなので、主要部分を
引用する。http://www.tokyo-sports.co.jp/blogwriter-watanabe/21771/
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◇再稼働にもかかわる原発事故起訴問題(2014年08月01日)
(引用ここから–中略)仮に3人の起訴が決まった場合、その判決はともあれ、
原発事故の予見性について経営者や当事者は、「想定外」あるいは「1万年か
ら10万年に1度の試算」といった、安全側に立った厳しい認識の有無が問わ
れることになろう。内部、もしくは外部識者らの警告に聞く耳を持たずに再稼
働に突っ走り、その揚げ句に事故が起きた場合、経営幹部に刑事責任が生じる
こともありうる。
福島原発告訴団の武藤類子団長は3月の被害者集会で「これだけたくさんの
被害者がいるのに誰も責任を取らない。加害者がいないのはおかしい」とその
不当性を訴えた。企業の業務における事故の場合、争点になるのが「予見可能
性」。これが“カベ”のようになって経営幹部らが免責されることもあった。
3月の集会では、参加者から「難しいのは、明治時代にできた刑法によってこ
の国が運営されていること。『予見可能性』が法律の世界で大手を振っている。
津波の予見性はあった。ここを突破する」との意見も表明された。
今回の検審判断を受けて再捜査する東京地検、その結果が不起訴となった場
合の検審の再審査の判断は、原子力規制委員会に“OK”をもらった九州電力
川内原発をはじめとした再稼働審査待ちの発電所、電力会社にも影響を及ぼす
ものとなりそうだ。—–(引用ここまで)
<山崎コメント>
今後発生する事故の規模が、フクイチに匹敵する大災害である必要はない。
それよりも十分小さい事故でも、十分大災害になり得るが、その時に事故原因
が地震や火山や、いや、何でもよい。これまで市民や学者が、さんざんに警告
し、批判し、パブコメに意見を送り、交渉し、叫び続けた事柄全てのうち、一
つでも実際に起きれば、その瞬間警告を無視して再稼働した者たちへの刑事責
任が問われるということだ。
再稼働を準備している川内原発は、刻々と迫る自然災害や様々な故障、ミス、
手抜きによりなにがしかの事故を起こし、その後に発生する運転ミスや作業
ミスが事態を悪化させ、放射能放出事故になるであろう。
これが「予見可能性」というものだ。
火山の噴火については、カルデラ破局噴火のような噴火でなくても、今も年
間1000回以上噴火し、日常的に噴煙を噴き上げる桜島が、ちょうど100年前の
大正噴火規模で中規模噴火を引き起こし、その噴煙がまともに川内原発を襲え
ば、自動的に全電源喪失、ステーションブラックアウト(外部電源遮断、非常
用ディーゼル発電機稼働停止)を引き起こす。加えて道路は降り積もる火山灰
で通行不能、支援の車両どころか避難民の足をも止める。
救援したくてもヘリも飛ばないから、フクイチのような空中から海水投下
(冷却能力は無かったが)さえ出来ない。火山灰で視界はゼロ、何が起きてい
るかを見て知ることも、ほとんど不可能になる。
こんなことは火山学者でなくても桜島など火山灰の降る中に居たことのある
人ならば容易に分かることだ。三宅島、大島、雲仙普賢岳、有珠山、新燃岳、
いったいどれだけの火山が近年、噴火してきたことだろうか。たまたま原発を
襲わなかっただけの偶然に過ぎない。今、川内原発は、またも偶然に助けられ
ることを祈って再稼働するとでもいうのだろうか。
これら予見可能な事態を無視して再稼働し放射能放出事故が起きれば、経営
陣のみならず現在の政府、経産大臣を始めとして認可手続きにかかわる全ての
役人にも、同じことが言える。もちろん、自治体の長も例外ではない。
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┗■3.短信2つ あつい夏。 8月5日の東京新聞
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(1)あつい。猛暑だ。東京も36度。40度に近づく県もある。それでも
電気は大丈夫。原発ゼロで足りる。この3年半も大丈夫だった。
2011年3月11日の東電福島事故のまえは、「原発の電気は30~40%」で、
原発がなければ大変!産業も通常の生活もやっていけない! と電力会社や
政府がいつも言っていた。あのウソはどこへ行ったのだろう?
長い期間のウソの責任をだれかとっただろうか?
(2)8月5日の東京新聞「こち特」に、たんぽぽ舎の講座「モンゴル国で進
むウラン鉱山開発と潜む核廃棄物処分場建設」[*]で講師をされた今岡良子
さん(大阪大准教授)の話が載った。日本は使用済み核燃料の処分を海外に
押し付け、「モンゴル処分施設」構想をたくらんでいる。
新聞の見出しは次のとおり。
「核燃サイクル」アジア分担? 海外押し付け 倫理的に許されぬ
『再稼働に躍起だが 原発ごみの問題がある』
[*] 今岡良子さんの講座内容については↓こちら
http://oklos-che.blogspot.jp/2014/08/blog-post_3.html
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┗■4.新聞から
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◆「再稼働なければ 国の未来はない」 石破幹事長
(8月5日 東京新聞より)
自民党の石破茂幹事長は四日、神戸市で講演し、原発政策について「世界で
一番厳しい基準をクリアした原発は、その地域の方々が納得することを条件に
再稼働していかないと、この国の未来はない」と述べた。理由として火力発電
用の燃料輸入増による貿易赤字拡大を挙げたほか、「これ以上電気料金が上が
ると、経営が立ち行かない中小零細企業がたくさんあるはずだ」とも指摘した。
◆米教授撮影、1947年 広島・長崎で 児童1千人にX線 =無用の被ばく
(8月2日 東京新聞より)
広島、長崎で1947年9月、米スタンフォード大のウィリアム・グルーリ
ック教授(解剖学)が小学生ら約千人を対象に関節のエックス線撮影をしてい
たことが一日、米科学アカデミー・研究評議会(NAS・NRC)や米エネルギー省
核実験公文書館が所蔵する文書で判明した。
エックス線撮影は、治療の目的ではなく、原爆の放射線が子どもの成長に及
ぼす影響を調べる研究の予備調査として実施。実際の被ばく線量は不明だが、
被曝児、比較対照群の被曝していない子を巻き込んだ「無用の被ばく」だった。
(中略)
冷酷で非人道的
日本原水爆日学者団体協議会(被団協)の田中熙巳事務局長の話---治療
を目的としないABCCの調査に被曝者は一貫して怒ってきた。今回判明した調査
でも被験者に結果を説明しておらず、その態度は冷酷で非人道的としか言いよ
うがない(後略)
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