IWJさんによる詳細な報告記事:2014/07/25 【京都】「ねらいは辺野古の軍港化? 基地ではなくジュゴン保護区に!」 〜辺野古新基地建設 緊急報告会
- 2014年 8月 7日
- 交流の広場
- uchitomi makoto
当日は38名の会場に90名を超える参加ありがとうございました!
2014/07/25 【京都】「ねらいは辺野古の軍港化? 基地ではなくジュゴン保護区に!」 〜辺野古新基地建設 緊急報告会
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/156903
米軍普天間基地の辺野古移転を巡って、沖縄防衛局による辺野古の海底ボーリング調査が行われようとしている。10年前、同様の調査が反対派の抗議活動で中止に追い込まれているため、「今回は厳しい警戒態勢がとられている」と、大湾宗則氏(京都沖縄県人会)は語った。
「通常の米軍水域(海岸線から50メートル)を拡大して、海岸線から2キロ四方を臨時制限区域としてブイを設置。そして、全国から来た海上保安庁の監視船1252隻が取り囲む。ブイの内側に立ち入った者は、砂川事件で適用された、日米地位協定に伴う刑事特別法違反になる」──。
2014年7月25日、京都市下京区のキャンパスプラザ京都で、「ジュゴンの海に基地を作らないで 沖縄・辺野古新基地建設着工を許さない 7.25緊急現地報告会 in京都」が行われた。最近、ジュゴンの多数の食み跡が見つかった辺野古沖で、海底ボーリング工事を進めようとしている現地の動きについて、ジュゴン保護キャンペーンセンター事務局長の蜷川義章氏が報告した。また、大湾宗則氏が、辺野古新基地建設を強行に押し進める安倍政権の真意を探った。
絶滅危惧種である沖縄のジュゴンの保護に携わってきた蜷川義章氏は、「2008年、サンフランシスコ連邦裁判所で、アメリカ国防総省に対するジュゴン訴訟で勝訴し、沖縄のジュゴンに影響を与えてはいけないことになった。その後、民主党政権になり一時休廷だったが、この裁判の再開を求めていく」と話した。
記事目次
国際自然保護連盟で3度決議されたジュゴンの保護
遅れている基地建設。決め手は沖縄県知事選
安倍内閣は、なぜ、辺野古にこだわるのか
労働争議に派兵するための集団的自衛権ではないか
自衛隊を海兵隊にしようとする安倍政権
基地反対派の翁長雄志氏が沖縄知事選出馬
■Ustream録画(再配信映像 1時間48分)
報告 蜷川義章氏(ジュゴン保護キャンペーンセンター事務局長)/大湾宗則氏(京都沖縄県人会)
日時 2014年7月25日(金)19:15〜
場所 キャンパスプラザ京都(京都市下京区)
主催 ジュゴンの海に基地を作らないで!沖縄・辺野古新基地建設着工を許さない緊急行動 in 京都
国際自然保護連盟で3度決議されたジュゴンの保護
冒頭、主催者が「原発再稼働、秘密保護法、集団的自衛権など、安倍政権の暴走をストップさせるためには、沖縄の、反基地の戦いが一番のキーになる。1月19日の名護市長選挙で、稲嶺市長が勝利したことは大きいが、それは最初の一歩だ」と話し、蜷川義章氏のジュゴンの保護状況についての報告に移った。
蜷川氏は「当センターは、国際自然保護連盟(IUCN)の、沖縄のジュゴンを守る決議(2000年・アンマン。その後、2004年バンコク、2008年バルセロナでも決議された)を、アメリカ、日本政府に実行させることを目的に、2001年3月に設立された」と前置きし、今年6月28日に行われた、海底ボーリング調査阻止海上パレードのスライドを見せた。
「7月20日午前2時頃、沖縄防衛局は、工事範囲に張り巡らすブイを安定化させるための、ベース設置作業を開始した」と話す蜷川氏は、「2013年12月27日、仲井眞知事が埋め立て工事を承認した。県環境生活部の意見(2013年11月)では、環境保全への懸念を払拭できないという。承認書の留意事項では『沖縄防衛局は、県環境生活部の了承を得ないと実行できない』としているはずだ」と述べ、この強行工事の違法性を指摘した。
遅れている基地建設。決め手は沖縄県知事選
蜷川氏は、今年6月に行われた第9回SDCCツアー(じゅごんの里ツアー)について説明し、ジュゴンの食み跡のスライドなどを見せた。その上で、「防衛庁は、調査会社の公募、漁港埋め立て承認を申請したが、名護市は部長級を危機対策課のトップに据えて、引き延ばす作戦で抵抗する構えだ」と話した。
また、「辺野古、7月1日着工」との新聞記事について、「もう、どうにもならない、というイメージを植え付けるための、世論操作の言葉使いだ」と批判。沖縄には不発弾が多いため、磁気探査が必要で、その後、ボーリング調査をして実施設計に着手するので、正確には、埋め立て工事の目処はたっていないのだと主張した。
さらに、蜷川氏は「2012年4月、日米安全保障会議(2プラス2)では、埋め立て承認が2013年4月で、調査設計に1年かけ、工事は2015年予定とされていた」と述べて、「まず、辺野古ダム周辺の切土による赤土流入で反対だ。海砂の搬入は、ジュゴンのえさ場を横断するので反対。県外からの購入土砂は、外来種(アルゼンチンアリ)の侵入の可能性があるので反対だ。そして、キャンプシュワブ内の施設解体工事は、アスベスト問題でストップしている」と問題点を列挙した。
※ 2014/03/01 【沖縄】「国土強靭化法で、費用対効果は考えずに、とにかく作る」 ~シンポジウム「沖縄の自然環境と公共事業」
最後に蜷川氏は、名護市議選挙(8月31日告示、9月7日投票)と、沖縄県知事選挙(10月30日告示、11月16日投票)への協力を呼びかけた。名護市議選では辺野古の新基地建設に反対する東恩納琢磨議員の再選を願うとし、知事選については、「仲井眞知事と翁長那覇市長とで、オスオプレイ配備撤回、普天間基地閉鎖、県内移設断念を要請したオール沖縄建白書の実行を争点とした戦いになる」と語った。そして、「辺野古を基地ではなく、ジュゴン保護区に」と訴えた。
※ 2014/01/09 【沖縄名護市長選】「地方が国へ『No』を突き付ける選挙だ」 現役名護市議・東恩納琢磨氏インタビュー
質疑応答に移り、会場から沖縄知事選について質問が出た。大湾宗則氏がそれに応じて、「この1〜2年、沖縄では宜野湾市、沖縄市、石垣市、浦添市、市長選挙ではすべて負けた。名護市長選だけが勝った理由は、政党に頼らず、市民が中心になったからだ。沖縄市は、前市長が後継指名した副市長が落選している。公明党の動向も影響するだろうが、今回の知事選は、沖縄県民が辺野古新基地を、どこまで作らせたくないかという、その熱意にかかっている」と話した。
安倍内閣は、なぜ、辺野古にこだわるのか
大湾氏は、2004年に辺野古沖でのボーリング調査を中止に追い込んだ反対運動を、「あの時は、海にカヌーを出して阻止した」と振り返り、「今回、日本政府は、通常の米軍水域(海岸線から50メートル)を拡大して、海岸線から2キロ四方を臨時制限区域としてブイを設置。そして、全国から来た海上保安庁の監視船1252隻が取り囲む。ブイの内側に立ち入った者は、砂川事件で適用された、日米地位協定に伴う刑事特別法違反になるという」と警備の厳しさを説明した。
また、「今、キャンプシュワブから、海上保安庁の人たちがゴムボートでの出撃訓練を始めている。カヌーの反対派を押さえるためだが、怪我をさせると問題になるのでゴムボートを使うのだ。加えて60~70人の公安警備隊、昔の特高ですね、これを新設配備するという。ものすごい警戒態勢だ」と語った。
安倍政権は、なぜ、ここまで辺野古にこだわっているのか。大湾氏は「辺野古でないとダメなんです」と繰り返し、その理由を、「海兵隊訓練場のキャンプシュワブ、キャンプハンセン、辺野古弾薬庫、八重岳レーダー通信所、そして、2本のV字滑走路ができる。さらに、200メートル接岸埠頭ができて、佐世保にある揚力艦が移ってくる。キャンプハンセンでは、2000年から自衛隊と海兵隊は日米共同訓練を重ねている。つまり、海兵隊としての機能を総合的に運用するために、辺野古が必要なのだ」と指摘した。
そして、大湾氏は「これと同じ話」と前置きして、「京丹後市の経ヶ岬に、米軍のXバンドレーダー基地が作られる。なぜなら、近くに軍港の舞鶴があり、弾道ミサイルを迎撃するSM3を装備したイージス艦がいる。福知山に陸上自衛隊、滋賀県には饗庭野の海兵隊野戦訓練場、京都の桂と大久保には兵站基地があり、周辺一帯が日本海に向けた一大軍事要塞になるからだ」と述べ、京都北部が辺野古に似た状況であることを説明した。
※ 2014/06/22 【京都】経ヶ岬Xバンドレーダー、10月搬入阻止に向け、市民ら決起 ~大湾宗則氏「米軍基地を子や孫に残したいか」
※ 【IWJブログ・特別寄稿】京都府京丹後市経ヶ岬で計画が進むXバンドレーダー配備問題~懸念される「戦争リスク」と米軍・防衛省の思惑(IWJ京都 中継市民・北野ゆり)
労働争議に派兵するための集団的自衛権ではないか
次に大湾氏は、集団的自衛権について、「中国の軍拡はますます進んで尖閣を占領、北朝鮮も核ミサイル開発が進み、ワシントンまで届くから、集団的自衛権が必要だ、という言説がある。しかし、東アジアの軍事的緊張を高めているのは、日本とアメリカそのものだ」と指摘した。
「にもかかわらず、安倍首相の靖国参拝、教科書問題、竹島などで、近隣諸国を挑発しまくる。だから、中国の軍事専門家は日本を危険視し、反中、反韓感情の火に油が注がれるのだ」と続けた。
そして、集団的自衛権行使の条件の中にある、「相手国の同意や、強い要請があれば、相手国の領域(領土、領海、領空)に入る」という文言が、非常に重要だと指摘した上で、大湾氏は次のように話した。
「今、安倍首相が財界人を引き連れて、世界各国にトップセールスに行っている。日本企業が多国籍資本化して、アジアでは大企業の6割が日本企業だ。しかし、アジアに出た時の日本企業は、えげつない労務管理をやる。インド、フィリピン、インドネシアなどで、日本企業を巡る労働争議も起きている。労働争議が、暴動や反政府闘争に拡大することを、日本の資本家は心配している」。
つまり、海外派兵とは、日本企業が損害を受けそうな暴動などに、当該国から要請があれば、自衛隊を使って鎮圧にあたることも含まれると、大湾氏は示唆する。そして、2013年に起きたアルジェリア人質事件は、隣国のマリの騒乱に、マリ政府の要請を受けたフランス軍が介入したことが発端となったことを、例として挙げた。
自衛隊を海兵隊にしようとする安倍政権
大湾氏は、安倍政権は、自衛隊を海兵隊に作り替え、海外派兵の本拠地を辺野古にするのが真の狙いだと言う。さらに、「尖閣諸島にオスプレイが行くことは、あり得ない。オスプレイが活躍するのは、ジャングル、山岳地帯、砂漠、市街戦などの滑走路のない場所で、制空権を掌握していないと使えない。アメリカは、オスプレイをイラクとアフガンでしか使っていない」と述べ、「マスコミが流す情報は、みんな嘘だ」と指摘した。
そして、「中国、朝鮮を叩くための海兵隊化ではない。世界的に非正規雇用が増え、格差社会が進む中で、労働争議に対する資本家の危機意識は高いのだ。1ヵ所の火種は、今はネットを通じて世界に飛び火する。だから、もし、フィリピンで日本企業の労働争議があったら、集団的自衛権で鎮圧しに行く。辺野古が本当にほしいのは、日本政府なのだ」と語った。
基地反対派の翁長雄志氏が沖縄知事選出馬
主催者から、辺野古基地建設を阻止するための方法を尋ねられると、大湾氏は「知事選での勝利だ」とし、「辺野古への基地移転に反対の翁長雄志(おながたけし)那覇市長が立候補する。社会民主党、共産党、社会大衆党、県民ネット、生活の党が支持を決めた。自民党議員の一部も翁長氏を支持して、除名処分された。また、「沖縄『建白書』を実現し未来を拓く島ぐるみ会議」には、財界、ホテル業界グループも加わった。しかし、沖縄県内41市町村のうち、13市町村は仲井眞現知事を支持している」と話した。
※ 2014/07/27 【沖縄】沖縄「建白書」を実現し未来を拓く島ぐるみ会議 結成大会
大湾氏は、翁長氏について、「辺野古移転に同意した時の、沖縄県連自民党幹事長が翁長氏で、日米安保には賛成の立場だ。しかし、4年前から沖縄県民の誇りを訴え、基地建設反対を表明した」と説明した。そして、「沖縄知事選挙の前に、名護市議会選挙がある。ここで負けたら知事選はきつくなる」と表情を引き締めた。【IWJテキストスタッフ・関根/奥松】
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