テント日誌9月5日…残暑というのだろうが、蒸し暑い一日だった
- 2014年 9月 7日
- 交流の広場
- 経産省前テントひろば
経産省前テントひろば1091日 商業用原発352日
残暑というのだろうが、蒸し暑い一日だった
前日は日比谷野音で「戦争させない・9条壊すな」集会が開かれた。安倍政権の内閣改造の動きに対抗していくものの一つだが、テントから多くのメンバーも参加していた。この内閣改造については特別にいうことはないが、経産大臣に小渕優子がなったことに一言申せば、官僚に進める案件にめくら判を押すだけの原発行政を踏襲するのか、自己の見識で臨むのか興味があるということだ。僕らを説得するためにテントに来て話をする気があるのなら僕らは歓迎するところだ。大いに議論したい。かつてクリントン米大統領が訪日したときに焼鳥屋で対話をしていたことがあったが、彼女はそんなことが出来るのか。官邸前抗議行動の場面でもいいが、そうしたところに出掛けてくることができるのか。また、原発問題に対する見識はあるのか。政治家の生命である見識において是非それを披歴してもらいたい。例えそれが原発推進の立場であっても僕らを考えるところがあれば、ぼくらはそれを評価するだろう、と思う。
4日の夜には映画『遺言 原発さえなければ』を撮った豊田直己監督が訪れた。この映画は福島の800日の記録であり、3時間45分の長編であるが、いよいよ自主上映に踏みだすという。2014年までポレポレ東中野、下北沢トリウッド、シスタセブン(大阪)等、全国各地で劇場の上映がなされてきた。いずれも好評で満杯であったと伝えられるが、僕は見る機会を逸した。僕のような人は多いと思うが、その意味で誰か自主上映をして欲しいと思う。自主上映を募集中であり、そのHPと連絡先は以下の通りだ。www.yuigon-fukushima.comで連絡先は070-5468-1430である。監督も入れての討議は遅くまで続いた。
午前中には「希望の牧場」の吉沢さんがテントを訪れた。希望の牧場では現在の350頭の牛を飼っている。希望の牧場は福島第一原発から14キロの浪江地町にあり殺処分の指令に反対して牛を育てている。自然死としてその生涯をおくらせようというわけだ。牛は売れないのだから経済価値はないし、ペットにもならない。一般的の意味では飼育の意味はないし、吉沢さんも随分と悩んだのだと思う。これまで牛を育ててきた本能というか、その愛情が殺させないと行動をとらせてきたのだと思える。これは原発が人々の存在倫理に反することへの無意識も含めた抗議であり、人間の存在と原発の相いれなさを根源的に示しているように思われる。牛たちを生かしその自然死の生涯をおくらせることは、そのこと自体が原発の存在と相対していることになる。また、結果として牛たちは放射線被ばくの生き証人ともなる存在である。吉沢さんもまた、高線量地域にあることを覚悟しているが、こうした生き証人としての牛にはいろいろに反応があることを訴えてもいる。牛たちに白い斑点が出てきていること等である。これについて専門家たちは「分からない」というが、本気で調べる気もないらしい。放射線被曝の問題は「文部科学省」の担当だといい、こちらでは「牛は農水省」の管轄だと言って官僚たちはたらいまわしにしていることも吉沢さんは語っていた。
昼過ぎには鹿児島の川内原発の地元の人だという二人がテントを訪ねてきた。訪ねてきたというよりはテントを見ていた二人にパンフを渡しながら話かけたら明らかにしたのである。彼らは原発再稼動の賛否はいわなかったが結構長い話になった。反対派の展望というか、政策めいたことを質問してきたのは関わりの深い人のようにも思えた。原発推進派は最後に雇用と地域経済のことを持ちだすが、これは悪循環であって、原発維持派は原発に頼らなくてもいい経済的・地域的再性の可能性を潰してきたし、それをネグレクトする形で原発存続の構造を維持をしてきたのではないのか。こういう疑問が出てくるのだけれど、原発が地域経済を振興させるという神話が解体したる今、それをさらにはっきりさせるためにも原発以外のエネルギー開発と地域経済の再生の展望を明確にして行くことの必要を感じる。
現在、商業用の原発は稼動を停止しているし、それはやがて1年になろうとしている。「電気が足りない」「原発は安い」という神話が安全神話の崩壊に続いているが、僕らはこの稼働停止の中で脱原発の現実的な闘いが展開されていることを忘れはならない。脱原発の運動(政治的意志表示など)のことではない。原発推進派とそれ以外のエネルギー開発をめざすグループは日々しのぎをかけた闘いをやっているのであり、停止が一日でも延びれば原発推進派は不利になる。原発以外のエネルギ―開発やそれに向かう投資は進み、原発存在の基盤は減衰して行くからだ。かつてもそういう時期があったが原発推進派の勝利はエネルギ―開発の動きを潰した。今度はそれをさせてはならない。脱原発の運動は多様な、まさに重層的な展開をしながら連なっているのである。
朝日新聞の「プロメテウスの罠」は「2人の首相「という記事で小泉や細川のことを取り上げていた。彼らが政党や政治に距離を置き、国民運動に軸足をおいて行くと宣言しているのは賢明であり、さすがに彼らは分かっているのだと思った。脱原発運動の広さと深さを視座として持っていることをこの発言はしめしているが、これまで本家として脱原発運動をやってきたと自認する部分は、秋に陣に当たってこの辺を帰り見るのも必要かと思う。自分たちのやってきたことを帰り見る事は前に向かうためにやらねばならぬことであり、それはいつだってやり足らないことなのだ。(三上治)
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テントからのお知らせ
9月11日(木) 9・11脱原発テントひろば3周年・再稼働阻止大行動
――― 経産省包囲怒りのヒューマンチェーン―――
<主催・呼びかけ> 経産省前テントひろば
安倍政権への怒りが沸点を超える暑い夏を過ごされたと存じます。
一方、皆様のご支援の賜物、お蔭さまで経産省前テントひろばは、係争中とはいえ、9月11日に設立3周年を迎えます。
その間に、原発推進の責任官庁である経産省は、福島第一事故の責任を一切取らず、「安全だ、安い、電力足りない」が大嘘であることが判明したにもかかわらず、「エネルギ―基本計画」を閣議決定させ、再稼働と原発輸出を推進しています。
そこで、私たちは次の大行動を計画しました。
「脱原発テントひろば3周年 再稼働阻止大行動
~経産省包囲怒りのヒューマンチェーン~」
●2014年9月11日(木)
・16時―17時 本館前及び別館前アピール行動
首相官邸及び経産省に対する申し入れ行動
・17時―18時 記者会見(テントひろば前)
・18時―19時半 経産省前集会
・19時半―20時 経産省包囲怒りのヒューマンチェーン
・経産省前テントひろば
〒100-0013 東京都千代田区霞が関1ー3ー1
TEL 070-6473-1947
メールtentohiroba@gmail.com、
ブログ:http://tentohiroba.tumblr.com/
脱原発テントと命守る裁判:http://tentohiroba-saiban.info/
原発いらない女たちのテントひろば~福島とともに:http://fukusimatotomoni.blog.fc2.com/
経産省前テントひろば応援団:http://ameblo.jp/tent-ouendan/
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