マンション生活で知り得た社会問題を考える (7) ―公的機関は誰のためにあるか
- 2015年 2月 8日
- 評論・紹介・意見
- マンション住宅問題住民自治羽田真一
当方が現在当面している在住マンションの管理組合理事会との対立長期化の背景に公的機関の不作為の存在がある。当方はその一組合員であるとともに、基本は一市民でもある。個人として自由人であると同時に、組合員としてそこに決められたルール(管理規約等)は出来るだけ遵守したいと思っている。誰も日常生活の中でトラブルに時間とエネルギーを注ぎ込んでまで、不愉快な生活を送りたいとは望まない。ところが偶然か上宅から日常生活を乱す騒音が始まり迷惑極まりないので管理人に訴えた(これを誇張もなく訴え、管理人にも音を聞かせたが)。騒音の原因は断じて上宅である(製造会社の元研究技術屋には直上から来る音ぐらい自明のものはない)と言っているのに管理人他はもっと上方の音と言い張る。上宅を擁護して音源隠しを助けた上、音源調査と称して集団夜襲までして当方を口封じしようとした。抗う人間への初めての強烈な一撃である。納得いかないから、可能な限り自己調査した結果を持って警察署まで数回足を運んだ。受付の警察官は不躾な態度でいつも「マンションの騒音問題如きで来るな」と当方を追い返そうとした。そこで種々理由を付けて事実を説明したが、警察は動かず突然音源の上宅は引越して雲隠れした(管理員が助けた)。
一々市民の訴えなど聞いていられるかが、その後の種々の公的機関を訪れ接触して得た率直な感想である。理不尽なトラブルに遭遇しても何もなす「すべ」を知らない個人は泣き寝入りするしかないのか、それが今回の問題提起の原点である。単なる受験科目の勉強だけが学校教育の目的であろうか、生きるための「すべ」も身に着けさせることの方が必要ではなかろうか。このような事態にきちんと言葉を発し、その訴えを受け止めて対処法を教えてくれる受け皿機関があればと願う。現実に種々頭に浮かんだ公的機関を訪れて得た体験を知ってもらいたく報告する。当方の文書配布を阻止する制度試案に罰則条項を付けているが、その中に「公の法的機関を除く」とあり、何故公の法的機関なら情報発信が許されるのか、未だよく解らない。
1. 当方がマンション問題で関わり合った公的機関と結果
事が起こって余りに強力なマンションの管理組織の圧力に対し、個人として問題点を整理すると共に、自然に外部の機関への働きかけの気運が生じた。手紙配布を思いつき実行したが、手紙に賛同するかに見せかけて探りを入れてくる電子メールもあった(後の行動で判明した)。それで基本的に当方の行動に他者を入れることは避けることにした。孤立無援は覚悟の上だが、公的機関なら当方の訴えを認めて何等か有益なアドバイス・行動を出すだろうと期待して接触したが、多くは期待外れに終わった。この社会には正義を貫くには何かが足りない、それが息苦しさを助長しているように思えてならない。公的機関の人間にはどうも頭から管理会社・理事会など組織の行動が正しくそれに物申す個人は悪いとの不文律の刷り込みがあるようだ。社長や理事長よりまともな個人はごまんといるぞ。
1) 自治会、市の担当課相談窓口
自治会とは市政の下請け(交付金・補助金が自治会費の約半分)か、イベント主催団体かと思ってしまう。本来の住民の自治問題を採り上げたと余り聞いたことがない。このマンション問題を繰り返し近隣に訴えているのに、自治会長(以前専門委員)は上部自治会連合の会合で2,3質問があったが、ただ「答えておいた」で終わり。何を聞かれどう答えたかは当事者に伝えるべきである。彼に質問したが応えはなかった。自治会が市の補助金行政の受け皿でよいのか。やたらと防災・防犯活動だけが活発だが、足元の本当の社会問題は無視されている。それでいて総会では会場から「2年間の会長満点のでき!ご苦労さん」と声が飛ぶ。当マンションでは資金の少ない自治会は管理組合の下部組織に成り下がっている。人数を偽った(30人を80人と)老人会(公募のない趣味同好会)の活動に補助金を出し、それを指摘したら紙切れ1枚掲示して解散した。自治会役員も基本的にミニ管理組合理事会であり、婦人仲良しクラブで第3の親衛隊として貢献している。生活密着型だから余計に始末が悪い。市の担当課を訪ねたら、まとめた資料は受け取ったが市の相談窓口があるとだけ教え動いた気配はない。市民の要望をきちんと汲み上げ、調査議論報告して応えることこそ社会問題を共有して解決する本来の行政のやることではないのか。
起きている問題の説明を聞き、その後の方向・方法を教えてもらいたいと訴えているのに、まず十分な時間がもらえず有益なアドバイスをもらえないことがいかに多いことか。極端な例では、「何を訴えて何を得たいのだ」と弁護士相談で自分の商売に繋がらないものと分かったら30分の時間が来たからと追い返された。困った相談者の訴えに親身になって先を示唆してくれる公的機関があれば、どれだけ社会が救われるだろうかと思う。
2) 警察署
冒頭にお知らせしたごとく、動く動かないは署の判断だと言いながら、いつも動いた気配はない。それでいて管理人からの出動要請(誰かの通報か)は受けてパトカー3台をよこし管理人と雑談して帰って行った。その直後の早朝に交番がパトロールしたとメモをポストに入れていた。これで管理人(管理会社の代理人)と警察の関係を疑わない方がおかしい。管理人の背後の大手不動産管理会社と市役所の担当者の繋がりなども見え隠れする。
3) 公の法的機関?(法務局・人権相談、地方検察庁、簡易裁判所)
法に弱いからと泣き寝入りするには相手が悪すぎる。しかし、公的機関は管理規約違反位では動かないことを理事会は織り込み済みの個人潰しをやる。素人個人には告訴状にしてと言われても、その段階では刑法何条云々のところで止まってしまう。それは弁護士を使えとか個人で勉強しろということか、目の前に悪行があるのに引き下がらざるを得ないと判断してしまう。苦心して理事会・管理人の行状をまとめて作成した文書は受取ってくれることもあるが、その後のフォローは無く、殆どがこの繰り返しである。
市の法律相談で簡易裁判所の調停制度の利用を薦めてくれ、初めて法の世界へ踏み込めた。公の場で申立てが認められたと喜んだが、約3か月3回の調停話合いの結果は全く予期せぬ理事会・管理会社の巧みな工作で歪められてしまった[詳しくは第4報に既述]。明らかに「公の法的機関」への不信だけが残った。
検察庁には書類を送り記録しておくとの返事をもらった。訪問すると対応して話を聞い
てくれた。書類による告発の他にタレこみによる事件発覚の機会が結構あることを教えてくれた。それでも、動く動かないは庁の判断との答えであった。
4) 国交省・マンション関係部署
国交省は「標準管理規約」の制定を通じて各マンションの管理運営を管理監督しているはずである。役人・学者専門家・建設業界・不動産業界・管理組合代表などが委員会を構成し、各界の意見を採り入れたものにするのであろうが、現実の規約には業界の意向も反映されており、さらに各マンションの事情により補足改変されている。当事者の立場から物申すと、内容はまだまだ不十分であり、今後も補完を進め足りない部分を補強する必要がある(例えば、具体的規定がないために悪用されるケースが多々ある)と思われる。管理組合の会計処理の規定はいち早くできるだけ厳密なものを制定してもらいたい。適正な費用で公的に外部会計監査を義務付ける制度の導入は出来ないものであろうか。国交省には管理組合の実態を把握し、住民組合員の立場に立ち自由な市民社会の実現に縁の下の力持ち的役割を果たしてもらいたいと願うのは無理だろうか。その願いで資料を送付したら予期せず電話対応があった。当事者の生の声を生かしていただきたい。一自由人として日常生活を必要以上に規則で縛られたくはないが、当事者の住民が管理会社の治外法権に楔を打ち込む声を出さないと彼らにしてやられるだけである。
5) その他種々の相談機関
2012年5月当方の理事長辞任後も手紙文書配布を止めないでいると、理事会は管理会社の法務部と相談して弁護士相談した結果をまとめてよこして来た。正しく訴えるぞとの脅しであった。弁護士と裁判をちらつかせたら当方が怖気づくだろうと力ずくで黙らせようとしている。羽田をこのマンションから引越させる方法があるかとわざわざ尋ねて書くところに本音が出ている。管理費を使ってこんな手段で正しい訴えをしている一住民を脅し黙らせたい理事会の心根の貧しさに情けなくなるばかりだ。
会計問題を焦点にして資料をまとめ税務調査を訴えたが、やはり動かなかった。
2.マンション生活と公的機関との関係はどうあるべきか
強力な管理会社の支配を具現する理事会があり、それに抗う一住民の動きが自分たちに不都合だからと人・金・力で封じようとする。それを訴えても誰も動こうとしない。ある相談員は「今の世の中、皆、事なかれ主義なんだよ」、ある住民は「無関心・静観主義もある、ことを荒立ててくれるな」とメールを寄こした。何もしなくて不正が治るなら誰も苦労はしない。我が人生の間に身に着けた倫理規範に照らして間違っている(羽田は変人ではない普通の人間だ。自信がある)、この団体の行動がおかしいことはおかしいと断言できる。どうしても一般住民の“長い物には巻かれろ”的反応は腑に落ちない。それで手紙文書配布を使って当マンションの現状管理に関して我が意見を質問項目にして[自主アンケート]を試みた。その結果は4通だけが匿名・パソコン字で(一体何を恐れているのか)当方のドアポストに入れられ返ってきた。3通はほぼ共通して当方と同じく理事会批判の立場での意見で、同じ意見の住民もいるのだと励まされたのだが、匿名では連絡の取りようがなく、手紙配布で彼らの回答を全戸に知らせるに留まった。他に全く返答がなく、当方への反対の意見もなく統制が働いていることの気持ち悪さが残った。
このように理不尽な圧力をかけてくる理事会の不正を、マンション内部では埒が明かないので考え付く身近な公的機関に訴えて注意を喚起することは間違っているのだろうか。残念ながら、現状では公的機関の敷居は極めてハードルが高いと言わざるをえない。公平な立場で双方の意見を聞いてくれる機関があれば喜んで出かけ討論したいと願っている。総会後の懇談会に出たら、役員包囲網の中に座らされて理事会の設定する公の場に出てこいと危うく約束させられるところであった。過去に何度もとっちめ・吊し上げをやられたから応じる訳に行かない。次の懇談会では一般住民を帰らせて「あんた一人だけだから中止する」とまたしても口封じ・いじめをやってのけた。当方にとって多勢に無勢の不公平な立場を利用する管理中枢の卑怯さに負ける訳には行かない。不作為の公的機関の罪も大きい。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
〔opinion5173:150208〕
「ちきゅう座」に掲載された記事を転載される場合は、「ちきゅう座」からの転載であること、および著者名を必ず明記して下さい。