(報告)南相馬市:20mSvだって危ないのに、20mSvどころか猛烈な放射能汚染がいたるところにあるのに、どうして特定避難勧奨地点が解除できるのか (5.9 東京集会)
- 2015年 5月 12日
- 評論・紹介・意見
- 田中一郎
5/9,文京区男女平等センターにおいて、午後6時半より「南相馬の地点解除訴訟(20ミリ基準撤回訴訟)を応援する全国集会In東京」集会がありました。会場が満席になり、立ち見の人も出るほどの多くの参加者が集まり,福島からの方々をはじめ,遠く広島からも,この集会の応援に駆け付けて下さいました。下記は、この集会の簡単な報告と当日配布された資料です:田中一郎)
●(よびかけ)「南相馬の地点解除訴訟(20ミリ基準撤回訴訟)を応援する全国集会In東京」集会
http://www.foejapan.org/energy/action/150416.html
● 南相馬・避難勧奨地域の会 HP
https://sites.google.com/site/minamiswg/
●特定避難勧奨地点
https://kotobank.jp/word/%E7%89%B9%E5%AE%9A%E9%81%BF%
E9%9B%A3%E5%8B%A7%E5%A5%A8%E5%9C%B0%E7%82%B9-672626
(そもそも、同じ汚染地域の住民でありながら、つまり、放射能汚染の状況に大きな違いはないのに(それに汚染は移動する)、地点指定される住民とされない住民が出るなど、政府のこの特定避難勧奨地点の指定の仕方も出鱈目そのものでした。地域住民を指定・非指定=賠償・無賠償で選別・分断・差別するものに他なりません。重大な人権侵害の卑劣な政策です。また、指定する・しないの「基準」が20ミリシーベルト/年にされているのも、線量が高すぎて危険極まりないものです(実際の指定基準は3.0~3.2マイクロシーベルト/時だったそうです=20ミリシーベルト/年をはるかに超えています)。それと、この制度・政策が民主党政権の時代にスタートしていることを忘れないでください:田中一郎)
(1)南相馬の地点解除訴訟(20ミリ基準撤回訴訟)を応援する全国集会In東京(2015年5月9日)
(2)南相馬地点解除訴訟(20ミリ撤回訴訟)背景と経緯(満田夏花さん 2015.5.9)
(3)応援メッセージ (1)
(4)「原発被害者団体連絡会」記者会見資料(南相馬・避難勧奨地域の会 2015年5月8日)
(5)「南相馬・避難20ミリシーベルト基準撤回訴訟支援の会」にご参加を!!
(6)南相馬・避難20ミリシーベルト基準撤回訴訟支援の会規約(案)
(7)申込用紙_南相馬・避難20ミリシーベルト基準撤回訴訟支援の会
(8)要請書(福島原発被害弁護団)
(9)公正な判決を求める署名(用紙)(あやまれつぐなえなくせ原発・放射能活染)
(10)(ちらし)5.27 原発被害者の救済を求める全国集会in東京
<当日の録画>
●▶ 20150509 UPLAN 南相馬の地点解除訴訟(「20ミリ基準撤回訴訟」)を応援する全国集会in東京 – YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=k3itjdvbw_U
<関連サイト>
(1)(必見)被ばくの南相馬報告(小澤洋一さん:2015年5月9日)
https://drive.google.com/file/d/0B2RU9YH6MrPtUHBrWU1ORUdXdFE/view
(2)南相馬・避難勧奨地域の会とは?
https://sites.google.com/site/minamiswg/home/aboutus
(3)ネット署名:原告への応援メッセージを募っています。2015.05.06現在、約3千人!
https://pro.form-mailer.jp/fms/61dbc2ac75976 にて入力
または minamis.wg@gmail.com まで、お名前とメッセージをお寄せ下さい。
(4)背景情報をコンパクトにまとめた、紙の署名用紙(PDF)も用意しました。以下からダウンロードできます。
https://dl.dropboxusercontent.com/u/23151586/minamisouma_ouen2.pdf
(5)ママレボ通信 民主主義はどこへ?――強制解除される南相馬市・特定避難勧奨地点
http://momsrevo.blogspot.jp/2014/12/blog-post_28.html
(6)(必見)ママレボ通信 20ミリシーベルトの違法性を問う!南相馬の住民たちが、特定避難勧奨地点の解除取り消しを求め提訴
http://momsrevo.blogspot.jp/2015/04/blog-post_19.html
(7)避難勧奨地点解除は不当と提訴 福島・南相馬の住民 どうしんウェブ/電子版(社会)
http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/society/society/1-0124454.html
(田中一郎コメント)
1.20mSvだって危ないのに、20mSvどころか猛烈な放射能汚染がいたるところにあるのに、どうして特定避難勧奨地点の指定が解除できるのでしょうか? 昨年、南相馬市の特定避難勧奨地点の解除を目的に、各地点にある家屋及び敷地の線量を計測に来た人間たちは、環境省から委託を受けた東京電力の人間たちでした。いわば加害者が被害者の被害を否認しにやってきて、それを背後から環境省が後押しをしているようなものです。このこと自体が私には信じがたいことです。明らかな「利益相反行為」です。国や環境省は、南相馬市の被害者の方々を馬鹿にしているのでしょうか?
2.しかも、その東京電力の人間たちは多くが放射能測定のど素人で、環境省が定めた線量測定のマニュアルさえ、きちんと見ておらず、計測の仕方自体がマニュアル違反続出でした。しかも、各計測地点では、地域一帯の放射能汚染実態を表していないような、低線量の場所ばかり数か所を選んで計測して帰っていきました。案の定、この南相馬市の特定避難勧奨地点全域では、いたるところに20mSvどころか数百mSvの高線量の場所があり、また土壌汚染では、何と最高で1億数千万ベクレル/m2もの汚染があるという状態でしたが、環境省は、上記の東京電力職員による出鱈目な線量調査だけをもって、つまり、きちんとした放射能汚染状況の調査もしないまま、「20mSvを大きく下回っており、健康被害の発生は考えられない」などとしました。そして、すでに特定避難勧奨地点を解除した伊達市や川内町との公平な扱いの観点からなどと称して、南相馬市についても昨年12月に、特定避難勧奨地点指定地域のほとんどの住民の反対を押さえつけて、特定避難勧奨地点指定を解除してしまっています。
3.特定避難勧奨地点指定が解除されると、住民への補償は打ち切りとなります。原発事故で仕事を失い、放射能汚染で農林水産業もできず、生活の糧も乏しい中で補償を打ち切られることは、いわば被害者が兵糧攻めに見舞われるようなもので、結局、経済的な困難から避難していた住民は強引に放射能汚染地域に帰還させられることになってしまいます。そして、政府・環境省としては、それが目的の特定避難勧奨地点解除なのでしょう。当事者ではない私から見ていても、住民や地域の実態を無視した、理不尽・強引極まる、人権無視の国家権力による暴力と言わざるを得ません。まさに卑劣極まりない「帰還」政策です。いったい、政府・環境省は南相馬の方々に何の恨みがあるというのでしょうか?
4.南相馬市の特定避難勧奨地点地域の方々は、地点解除までの間、地域の人たちが一体となって何度も何度も政府関係省庁などに足を運び、きちんとした対応をしてくれるよう、本当に気の毒なくらいに要請・懇願を続けてきましたが、ことごとく政府・環境省・文部科学省などに足蹴りにされました。私も何度か東京での院内集会&政府交渉の場に参加して、住民の方々と政府役人とのやり取りを見聞きしてきましたが、それはひどいもので、政府役人の口からでる「回答」ともいえない回答は、はぐらかし、を絵にかいたような背信的なものでした。許せないと思います。
5.このままでは、原発被害者であるのに、理不尽な形で切り捨てられてしまう、とても帰還して元の住居に住み続けることは困難だ、もし帰還したら猛烈な放射能によって焼き殺されてしまう、恒常的な低線量内部被曝で健康被害に陥ってしまう、・・・・・何故、南相馬の方々が,かようなひどい状態に陥れられなくてはならないのでしょうか。
住民の方々は怒りをもって裁判に立ち上がりました。他に手段がないからです。目的の一つは、南相馬市の特定避難勧奨地点解除を撤回させることです。しかし、目的はそれだけではありません。そもそも特定避難勧奨地点解除の基準を、危険極まりない20mSvに置くことにも「NO!」を突き付けるためです。何故なら、南相馬のこの特定避難勧奨地点解除の基準が一般化してしまったら、これからの原発事故や放射能汚染発生時の対応も20mSvが基準となり、とんでもない放射線被曝の押し付けが合理化・合法化され,一般化・広範化されてしまうからです。その意味では,私たちすべてが,この裁判の当事者であるとも言えるでしょう。
6.みなさま、どうぞ、この「南相馬の地点解除訴訟(20ミリ基準撤回訴訟)」をご理解下さり、ご支援くださいますようお願い申し上げます。どうぞ「支援の会」の会員となって、この訴訟を支えてくださいますようお願い申し上げます。
(上記資料について)
UPLANの三輪さんが集会当日の模様を録画してくださいました。上記サイトをご覧ください。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion5339:150512〕
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