福島県「『県民健康調査』 検討委員会・甲状腺検査評価部会 中間とりまとめ」と過剰診断について
- 2015年 7月 12日
- 評論・紹介・意見
- 熊王信之
福島県の「『県民健康調査』 検討委員会・甲状腺検査評価部会について」は、その審議録を始めとして、添付資料等も全て公開されている。
「県民健康調査」 検討委員会・甲状腺検査評価部会について (福島県)
今回、憲法正文に関わる解釈論議の如き「論争」が蔵田計成氏とブルマン!だよね氏との間に生じたのは、聊か奇異に思える。 ブルマン!だよね氏は、当該「甲状腺検査に関する中間取りまとめ」をそのように読まれたのみであり、他の意味合いを「中間とりまとめ」に付加される意義を認められていないのであろう。
ともあれ、住民の命と暮らしに責任を持つ自治体が実施している「県民健康調査」では、純粋な科学的・医学的立場のみでは無く、様々な思惑が交差し、夫々の立場からの主張があることは否定し得ないであろう。 また、純粋な科学・医学の立場からも充分な見識と症例が累積している訳が無いことも明らかであろう。 更に云えば、被害住民がそのような見識と症例に豊富に接して、科学・医学的立場からのみ判断を為しえることを期待するのは酷である。
ただし、冷静に検診の意義を考慮し、住民の命と暮らしを如何に守るかを考えねばならないのは明らかであり、小田原評定を何時までも継続することは許されない。 その点で以下に掲げる中西準子氏の過剰診断に関する論考は意義深いものと思われる。
雑感696-2015.3.15「福島甲状腺-過剰診断問題を考える」
-福島・甲状腺がん検診の課題」(くまにち論壇)
具体的に予防原則とまでは言わずとも、この問題では、以下のように津田敏秀岡山大学教授の云われるごとく現実的に対応しなければならないものと思われる。
「過剰診療を疑いつつその調査をしながらも、その一方で、被ばくによる多発も重視し、早急に対応しなければならないというのが、人体被害や経済的損失の最小化を目指す公衆衛生的対応としての基本であり現実的対応である。」
福島の小児甲状腺がん疑い例含め126人に〜鈴木眞一氏は退任 (投稿者: ourplanet 投稿日時: 月, 05/18/2015 – 07:17)
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion5480:150712〕
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