第三者委報告も打開策とならず、暗礁に乗り上げた辺野古移設
- 2015年 7月 12日
- 時代をみる
- 池田龍夫
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)辺野古(名護市)移設について衆院特別委員会は7月6日、那覇市で参考人質疑を行なった。
同委は7月下旬に結果を翁長雄志知事に報告する方向で調整しており、翁長氏が承認取り消しに踏み切る可能性が高まった。関係者によると、第三者委は、国が埋め立て承認申請の前段で実施した環境影響評価(アセスメント)が新型輸送機MV22オスプレイの使用を想定していなかったことや、県側のサンゴ礁保全などに関する疑問に具体策を示さなかったことなどを指摘。そうした問題点にもかかわらず承認を決定した当時の県の判断について、承認の基準を満たしていないと結論づける見通しである。
第三者委は、辺野古移設阻止を県政公約の柱に据える翁長県知事が今年1月に設置したもので、環境分野に詳しい学識者や弁護士ら委員6人で攻勢されている。
集団的自衛権の行使容認を危惧
3人の野党推薦のうち嶺進名護市長は「集団的自衛権行使容認は違憲で、立憲主義にも反する。米軍の戦争に巻き込まれるリスクが高まる」と述べ、安保関連法案の撤回を求めた。大田昌秀・元知事も「安全保障は大切だが、沖縄戦では本土防衛のために沖縄を『捨て石』にして今日に至っている」と厳しく糾弾した。与党推薦の2人のうち石垣市の中山義隆市長は「日本の平和をより確かにする」と政府方針を支持したものの、「現状において国民の理解が深まっているとは思えない」と証言した。
普天間移設は宙に浮く
辺野古移設は完全に暗礁に乗り上げた格好で、いくら話し合っても打開の糸口は見えてこない。現状では、市街地で最も危険な普天間飛行場の移転先は宙に浮いたまま。日本政府は事態を深刻に受け止め、別の移転先を探すべき局面ではないか。それこそ、普天間で不測の事故が起これば一大事である。
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