マンション生活で知り得た社会問題を考える -(10)「管理会社マンション」の横暴を誰が止めるのか
- 2015年 8月 2日
- 評論・紹介・意見
- マンション住宅問題住民自治羽田真一
昨年12月20日から今年3月7日にわたって、上記テーマで9編の報告を本サイトに投稿し掲載された。そこには本テーマは小さいけれど大きな社会問題と通底する基本の事象が含まれると思い、できるだけ多くの関心ある人々に知って考えてもらいたく訴えて来た。現在当マンションで起っている問題を位置づけると、[マンション管理組合で一組合員が組合会計に疑問を持ち、文書で「会計の閲覧公開」を求め住民にも広く訴えたところ、理事会はその要求を巧妙に無視してかわし、逆に「文書配布差止請求」で羽田を刑事告訴することで、その言論を封じようとしている]。こんな理不尽がまかり通るのかと怒りを覚えると共に、[一自由人の市民権(市民として生きる権利)を持つ個人が、(管理会社主導)居住マンション理事会が持ち出す掟(おきて)に従わねばならないのか]との命題に疑問を持ち、社会の公の場で公平な裁定を受ける良い機会と捉えて不服従の抵抗を続けている。例え、羽田個人対その他大勢の管理組合であろうと、正しいことは正しいという当たり前の主張が認められる社会が実現するために、その後に知り得た事実と考えをお知らせする。
1. [管理会社マンション]管理組合の実態を解析する(経緯は既報)
これまでの経緯から当マンションの管理を一括りにすれば、「強大な権力を持つ企業(大手不動産)が支配する[管理会社マンション]となっている」と言える。その対極には住民が主役となっている[住民マンション]がある(その例を多数知っている)。[管理費*]を全て負担している住民が主役であるべき管理組合(管理会社は1銭も出していない)で、どうして個人住民を排除する管理運営ができるのかを、羽田が知り得た経験と情報を基に考えたい。
[管理費*]=管理費+修繕積立金+各種専用使用料
1.1 組織及び人事を意のままに
管理会社を頂点とする管理中枢[現在は、管理会社(含管理人)、理事会役員(含旧専門委)、コンサルタントと有力OBで構成]が形成され、長年にわたって基本的に密閉たらい廻し人事が出来上がっている。長期就任の専門委ボス(大半が理事長経験者)が有力者となって、管理会社の意向を汲んで本来の建物維持管理の仕事から逸脱して管理組合を支配してきた。さらに第2管理会社として建築コンサルタントが委託を受けて組合運営実務全般をサポートしている(その名の下に長期修繕計画・修繕工事全般を差配し、委員会を利用して自らを受注させる。トラブルに付け込んで仲間のマンション管理士と弁護士を導入)。監視のない役員選挙は順番くじ引き制で介入し、いつの間にか要所に旧専門委が返り咲いている。短期交代の理事会役員(住民の代表にあらず)は決議の駒、肝心の会計理事・監事はメクラ判押しの役目にされ、管理会社直接雇用の新管理人は管理会社側に立った住民支配の接点役で、時に理事会の指南役までやる。真の監視役のいない、形骸理事会機能では、当マンションは[管理会社マンション]であり、何でも素通りさせる、もの言わぬ住民群を作っている。
1.2 総会、理事会、管理規約は支配に都合よく
総会も理事会も管理中枢の意のままの運営となっている。極めて重要な総会事項が生じても彼らに不都合ごと、例えば、「会計不正疑惑」は完全無視して採り上げない。管理事務は全て事務所・管理人を通すから、重要な総会の成立不成立すら工作されても住民は手が出ない。会議での住民の不規則発言は抑え込まれ、管理中枢仲間に八百長質問をさせて悪用実施する。理事会もオープンを標榜しながら、難癖をつけて羽田の傍聴を拒否する(羽田は権利のある区分所有者)。管理会社公認の議題のみが審議決議されてゆく。過去の羽田の提案、①苦情処理委員会の設置、②前管理人の履歴書提出、③公認会計士による会計監査、④組合の法人化、⑤議事録の全戸配布などは、理事会で理由にならない理由を付けて悉く反対決議された。結局は、住民が損するだけと思っているが。
1999年エセ自主管理導入に先立って、理事会は管理規約を自分たちに有利な条項に削除・改変・追加をおこなっていた。前管理人が突然辞めて2012年に管理会社直轄管理に戻ったが、管理規約を変えなかったので規約違反となる運営が目立ってきた。それで唐突に理事長が管理規約の全廃・新設を宣言したが、理事会にその能力・意欲もなく一向に進まなかったところで、昨年先述のマンション管理士を入れて来た。その結果は管理中枢支配に有利な管理規約への改悪であろう。管理規約の改正は[管理会社マンション]から[住民マンション]へのラストチャンスと見ているが、無関心な住民ではその意識もなく、本当に自分たちが後々まで苦しめられるだけだろう。
1.3 広報活動を住民の情報操作に使う
管理中枢に不都合な課題は一般住民には徹底的に情報操作で隠す。広報は掲示板の「管理組合ニュース」と時期遅れの回覧の「理事会議事録」(内容なく不記載と改竄で悪用)と不親切な「総会資料」のみである。広報活動は極めて消極的でしかも恣意的である。これらを一般住民の意識操作に巧みに利用している(全体で「寝た子を起こすな」の精神)。「会計報告があった」とだけ記載されて何の意味があるのか、住民はバカにされている。
だから、羽田のマンション内外への情報発信は彼らの情報操作を無意味にしかねず、管理会社の営業や会社の存続にも関わる可能性があるから、何としても止めさせたいのだ。マンションと言う閉鎖可能な集団では、強力な企業支配力で住民を手懐けたら、異を唱える個人の存在などやっつけられると考えているようだ。住民が自由な情報交換ができるインターネットの時代に、閉鎖集団[管理会社マンション]の実態はもっと暴かれてよい。
1.4会計システムは支配者の力の源泉
この管理組合問題の元凶は、住民が納める多額の[管理費*]を、管理会社中心の独占会計システムに取り込み、住民支配の道具としていることである。羽田には数々の会計不正の疑惑が見えてきたので、管理規約第78条に則り「会計の閲覧公開」を要求(組合員の権利)したら、理事会は「見せている」と工作して、見せないための防御策を次々と打って来た。裏に見せられない不正が隠されているのかと、逆に疑惑の正当性を確信する。住民の[管理費*]が全てなのに、会計システムを管理会社とその代理人:前管理人の間だけで密閉し、実質住民が踏み込めない聖域にしている。総会で報告される[管理費*]の予算決算表も不十分な上、ごく最近まで証明書類が添付されることは無く、検算もできなかった。理事会での管理費月次報告は前管理人の手書きまとめを基にしており(どこに証拠証明?)、しかもその書類は理事止まりで一般住民にまで降りてこない。誰も調べないし声も上げない。小口現金会計の不明朗さを指摘したら、凍結後再開し、最近管理会社は住民に説明もせずこそっと廃止した。実質管理会社だけで密閉運営し、正しさを確認させない会計システムに住民が疑問を抱くのは当たり前である。オープンにできない会計を持つ組織の行動は裏で不正に繋がっている可能性が大きい。具体的に高額の修繕積立金に纏わる裏金会計の存在、小口現金会計の不正使用と、関係者はここまで書かれても反論しないのか。
既述のごとく[管理会社マンション]として管理会社に繋がる多数派管理中枢集団が支配すると、異常を異常とも感じない横柄な小社会集団が出来上がる。まさしくファシズムの世界である。自分たちの意向に従わないで主張を続ける住民など、マンションの共同利益に反するから警察に引き渡してしまえ(刑事告訴)、という集団が出来上がる。会計システムで内密の利益分配の仕組みもできていたから、既得権益を損ねる奴は排除しろと。それが今回の羽田刑事告訴問題である。羽田は自身の騒音問題に端を発し、襲ってきた前管理人と組合幹部・旧専門委たちの行動の異状さに気付き、自主調査を開始した。[管理会社マンション]の実態を知って、微力ながら [住民マンション]への移行を願って、知り得た情報を記述し論評した上で改善計画案も提示し、それを文書配布とインターネットで内外に情報発信してきた。不思議にある時から一般住民の反応が全くなくなった(情報統制?)が、前管理人は突然逃亡し、専門委は説明もなく大半が辞め、疑惑の小口現金会計は廃止、補助金不正の老人会は活動を停止するなど反応ありと見えて来た。しかし、未だ管理会社・コンサルタントを中心とする強固な管理中枢が支配する[管理会社マンション]に変わりはない。組織も法律も資金も経験もある集団の悪知恵が襲いかかってくるが、個人の乏しい知恵ながら、自分の言論活動を基に強い信念を武器に彼らに潰されないように頑張るだけである。
2. 管理組合のその後の展開
2.1 給排水管交換工事の強行
2015年度実施予定であった給排水管交換の大規模修繕工事(予算総額:約2億5千万円)は、何故か計画を早めて2014年10月から2015年3月まで、半年で6棟分全240戸(足止め6日間)を完了した。理事会は先立つ臨時総会で強引に工事予算と施工会社・工事監理会社(コンサルタント)を承認させ(要望の戸別の工事費用を含めた予算総額を提示しないまま)切り抜けた。今回の定期総会では理事長が工事終了を宣言し、「これで漏水事故がない、マンションの資産価値の向上が実現できた」と自画自賛したが、総会後回覧されたその前日(5月23日)の理事会議事録には、その日に一役員宅で漏水?が発見されたとあったが、それへの言及はなかった。追加工事費用を含む総工費の決算報告は1年後であり、工事結果の評価には時間が必要であり、理事長の結論付けは彼らの得意とする「早すぎる幕引き」と考える。私の経験では、1年後には住民の関心は薄れており、誤魔化しは見逃される。
2.2 マンションの真の『資産価値』とは
総会で理事長は給排水管交換工事が当マンションの資産価値を上げたが、羽田の文書配布が資産価値を下げたと断言した。しかし、刑事告訴の件は12月の臨時総会から8か月が経つのに、未だ「地元の警察署への羽田告訴を請求中」以上に進まない。「資産価値」の下落を言うなら、是非、羽田が納得する科学的根拠に立った具体的数字を示してもらいたい。管理中枢は何でも『資産価値』と言えば、住民が味方になると使いたがる。
マンションの「資産価値」など絶対重視すべき指標であろうか。ハード面:端的に言えば、建物の築年数・間取り広さ・保守工事などの価値と生活環境利便性などの不動産売買の売値に過ぎず、むしろ、毎日の居住生活に軸を置いた管理運営のソフト面[管理組合が正しく機能しているか、管理費に見合った管理を受けているか等]の方が重要と考える。「資産価値」などに一喜一憂しない本当の住居生活の豊かさを持つことを財産としたい。住民自身の努力で作り上げる「住民マンション」の『資産価値』が本物ではないだろうか。具体的には理事会運営に置ける住民組合員の関与(管理費の使い方・役員の選出方法・苦情処理など)、オープンな情報広報、会計の明朗さ、管理規約の完成度・長期計画の充実内容等である。こう見ると当マンションの管理『資産価値』は最低に近い。それだけ居住者の権利が支配者に食いものにされている[管理会社マンション]だと言える。
3. 理事会の横暴を止めなければならない
上記のごとく企業の力を利用して住民を蔑にする、管理会社とそれに追従する組合の有力者(虎の威を借る狐ども)は指摘されても無視を決め込んでいる。マンションは住民の安心な暮しの場であって、一部の私腹を肥やす人間に支配されて、正しい意見を持つ個人を排除することが許されるのか。
3.1 会計不正疑惑はその一端
既に述べたように、管理中枢の総力を挙げて羽田排除を仕掛けて来ている。彼らが繰り出してくる種々の嫌がらせはいずれも[匿名]であるが、解析して一括りすれば、管理人を中心にした管理組合の中枢が震源と考えると納得できる。個々の住民の自発の行動でなく、いやに統制順序だった嫌がらせ(要所々々でかかってくる数々の無言電話、配布ごとに一通だけの文書返し、毎回人を変えた玄関来訪など)がそれを示している。羽田はその後ろに絶対に暴かれたくない、陰湿かつ悪質な組合管理運営の不正を疑っている。
なぜ、理事会は「刑事告訴」を持ち出して、わざわざ高額な費用(住民の管理費予算:\200万)と長く煩わしい時間と手続きを懸けてまで「会計の公開」を避けるのか。要求があれば役員自身が中身を確認して、堂々と「不正会計はありません」と宣言するのが役目であろう、会計証拠書類とも公開すれば済む簡単な話である。外部の公認会計士に委託するのも次善の策であろう。それを、[公開しているのに羽田が見に来ない]と、羽田のせいにするのは全くお門違いである。不思議なことに、理事会が会計は「正しい」と返答したことは過去一度もない。羽田は自ら調査し発見した会計不正疑惑の事実を文書で具体的数字を挙げて何度も指摘してきたが、無視され無回答のままである。正式に要望書として提出しても、理事長は「あなたの要望は私たちに全く届いていません」とウソの発言である。それなら、どうして「文書配布差止請求」を出すのか。裏で数々の反応嫌がらせをしながら、大ウソを平気で言う人間を信用できない。[管理会社マンション]の下僕に正義を期待するのは無理である。それで彼らの設定した勝手な「弁明の機会」などを無視したら、羽田告訴提起のための資料や議事録には羽田を悪人に仕立てるウソの作文があった。羽田が誹謗中傷したと言うが、配布した文書のどこがそれに当たるのか、彼らは一度も具体的に指摘したことはない。
3.2 どうしたら理事会の横暴を止められるか
できるだけ理解者を増やしたく、活動で知り得た種々の機関組織:国の関係官庁、公益法人、法務局・市役所等公共機関の関係部署、大学住宅関係研究学科・報道出版社、知人など、思いつく団体・個人に羽田の「マンション生活で知り得た社会問題を考える」集に当方の意図を1枚添えて郵送した。別に返答は要求せず、「機会があれば貴方(貴社)の思想に沿って賛否を表して下さい」とお願いした。2,3の好意的な反応やアドバイスを頂いたが、税金を食んでいる公益法人は管理組合非役員の相談はお断りと返答してきた。中立であるべき大学の教授が平気で業界の広告塔になっている現状は嘆かわしい。
世の中の間違った基調を変えるために、また自分が変えられないためにも、私は情報発信活動を止める訳にいかない。残念なことに、このような孤立 [管理会社マンション]での管理中枢の横暴な (個人住民の人権を集団の力で踏みつぶす)振舞を誠心誠意訴えても、それを汲み上げて対処してくれる機関がないことである。人権相談員は逆に文書発信を止めて話し合えとアドバイスしたが、人権問題を本質的に考えているのだろうかと思う。
3.3 本当の自主管理マンションを
マンションは住民が主役であるべきで、自分たちの [管理費*]は自分たちで守らねばならない。決して無理難題ではない。[住民マンション]に相応しい[自主管理組合]に変わるため、皆で一度何にも捉われず、自由に話し合う「住民討論会」から始めようと言っている。
①国交省の管理規約の精神(住民が主役、あくまで管理会社や管理人は従者の精神)を土台に、
自分たちの手で自分たちに役に立つ[自主管理規約]を作ろう。
②管理会社の代理人たる管理人に代って、自分たちの責任で住民の側に立つ世話好きの「自
主管理人」を選びお願いしよう。
③仲間から真に住民の意見を汲み上げ採り上げてくれる役員を選ぼう。[自主選挙制度]を。
④業務委託は長期契約を最長年月10年と限って、業者癒着の弊害を防ごう。少しぐらい失
敗してもいい、業者との癒着の損害の方がはるかに大きい。
⑤管理会社委託は最小限とし、会計は完全オープンで、いつでも自由に閲覧できる「自主
管理会計」を実現しよう。オンブズマン制度の存在は不可欠である。
しかし現実は、主役の一般住民は賛否の声を全く上げない。当マンションが[管理会社マンション]の証しであろう。羽田刑事告訴のための臨時総会では出席者と委任状の数で成立し、訴訟を進めることが承認された。出席者がいつもの総会より少なく、一般住民が少ない殆どが管理中枢関係の人間で、訴訟反対者は9名であった。状況の変化を意味するのか。支配者に逆らっても、名前を名乗って自己を主張する勇気を持つ住民が表れてこそ、事態が変わる芽が出てくる。それが第1歩である。
イジメから痛ましい犠牲者が出て始めて当事者と社会は大騒ぎする。それでもはじめ彼らは誰もが「知らなかった」「本当にイジメがあったのか」と責任逃れをし、動かぬ証拠を示されて、結局は頭を下げる。お上からイジメが起こる根本原因(社会問題)を真剣に解明しない場当たり対策でお茶を濁す、何年経っても同じことの繰り返しである。個人の人権が尊重されない集団主義の社会では集団の思考様式から外れた意見に対してはムラ八分が待っている。それが的外れな羽田告訴問題である。
(10)報終り
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
〔opinion5546:150802〕
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