謹んで新年のご挨拶を申し上げます
- 2016年 1月 1日
- ちきゅう座からのお知らせ, 時代をみる
- 2016年、新年のご挨拶ちきゅう座運営委員会
(1)
過ぎ去った一年(2015年)を振り返ってみますと、ある意味で歴史的転換点に立った年だったことを実感いたします。
新年早々から再開された沖縄・辺野古基地建設のための調査、その後、県民の圧倒的な反対を無視し、東京から警視庁機動隊までをも動員しての住民運動の弾圧排除は今日に至るまでつづいています。
また、兵器産業中心の産業再編成をもくろむ本格的な産・軍・学複合体に向けた一連の動き、防衛産業への国税を使っての支援、「戦争法案」を憲法論議もろくにしないままで上程、可決。「秘密法」また日本版NSC(国家安全保障会議)の発足、自衛隊の海外派遣の恒常化、防衛予算はついに5兆円を上回る、等々。
その一方で、「アベノミクス」の上っ面の成果を宣伝するために「5頭のクジラが買い支え」と揶揄された、日銀、年金積立金管理独立行政法人、ゆうちょ銀行、かんぽ生命、三つの共済年金による株の買い支え、東証株価の値上がり演出。
福島原発事故の引き続く汚染水垂れ流しをよそに、2020年オリンピック招致とそれに向けた巨大な建造物建設への国税投入。
しかも、老人世帯はもとより、今や若年層にまで及ぶ失業と貧困、「ワーキング・プア」、限りなき格差の拡大は、文字通り日本社会を「地獄絵図」さながらに浮き立たせています。
世界情勢に目をやっても、各地域で同様な悲惨ばかりが目につきます。
シリアやイラク、アフガニスタンでの悲劇は申すまでもなく、家を焼かれ、一家離散、住処を追われた大量の難民がヨーロッパをはじめ、世界中に流浪し、あちこちで様々な摩擦を引き起こしていることは周知のとおりです。
そのほか、ウクライナ情勢も全く予断を許さない緊張状態にありますし、スペインの今回の選挙結果に見られるように、EU圏内の火種(ギリシャ危機の新たな再炎)は、いつ爆発してもおかしくないほどの緊迫した状態にあります。
これは中南米においてもしかりです。メキシコ危機の再燃、コロンビアでの右派勢力の台頭、プエルトリコのデフォルト危機…、それどころか、アメリカ本国ですら、その見せかけの景気浮揚とは裏腹な深刻な経済危機(かろうじて「軍事ケインズ主義」によってその場をしのいでいるにすぎない慢性的な財政赤字)を抱えて苦しんでいます。1%対99%という恐るべき格差拡大がこの事態を雄弁に物語っています。
中国経済の減速も、このような世界経済の情況と無関係ではないでしょう。
来るべき年は、私たちに否応なくこのような現実を突きつけ、その何らかの解決を迫ることになります。大いなる覚悟を持ってこの現状と向き合わなければならないと考えます。
(2)
さてここで、ちきゅう座の1年間を簡単に振り返りたいと存じます。
2015年の日本の社会的政治的課題の最大の焦点は、原発再稼働・戦争法案・沖縄辺野古基地をめぐる民衆的闘争でした。川内、伊方、経産省前テントの現場報告、国会を包囲する数万人の抗議行動と全国各地での闘い、国策に抗議する「オール沖縄」の決起。動画を含むこれらのなまなましい現場報告が全国各地から多数投稿されました。大マスコミがほとんど報道しない状況の中で、新たな民衆闘争の現状を全世界に発信できました。
またここ数カ月の記事を眺めても、中国問題における矢吹晋氏、ウクライナ情勢での塩原俊彦氏、スペイン選挙情勢分析での童子丸開氏、朝鮮半島情勢分析の森善宜氏、あるいはいち早くケネディ駐日大使の「辺野古発言」を批判したアメリカ国内の記事を紹介した「ピースフィロソフィー」など、世界的な動向に関する時事問題だけをとってみても、商業新聞に比べても決して引けを取らないだけの内容を持っているものと自負しています。
もちろん、それ以外の学術的、ないし評論的な記事においても、内容的にも記事本数でも他に見劣りしないだけのものになって来たのではないでしょうか。
これもひとえに論文の寄稿者、また読者の皆様方の篤いご支援の賜物と心から感謝いたしております。今後はますますの良質な記事を集め、広く皆様方のご見識に供し、また逆に皆様方から一層のご意見、ご指導・ご鞭撻を賜って行く所存です。
なにとぞ今後ともちきゅう座を宜しくお願いいたします。またぜひご一緒にこれを「共同の討議の場」として育てていくためのご協力をお願いいたしたいと思います。
以上、新年にあたり簡単なご挨拶とさせていただきます。最後に皆様方のご健勝とご活躍を心より祈念いたします。
2016年 元旦
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