マンション生活で知り得た社会問題を考える - (12)羽田の文書配布の思想
- 2016年 2月 7日
- 評論・紹介・意見
- マンション管理組合羽田真一
勝とうと思うな、でも負けないと思え。これが現在の羽田の「管理会社マンション」管理組合中枢との問題対決への基本的精神である。ここに至るまでの経緯は、ちきゅう座報告1~11報で伝えてきた。今では、このマンション紛争は単なるトラブルにあらず、社会問題の一つとして民主主義の根幹に関わる重大問題「一般住民の基本的人権を守り、社会正義を実現する」ための抵抗と位置付けている。だから相手からいくら非難されようと文書配布を止める訳にいかない。その後、インターネットでの投稿など外部社会への発信・情報交換にまで展開する状況に至っている。
1. いきさつ
2011年4月から居住するマンション管理組合の理事長となり、前管理人による管理規約違反が目立つ組合運営、すなわち[前管理人(管理会社代理人)が取り仕切り、専門委(本来が修繕工事の補佐役、後ろにコンサルタント)が理事会より優先される運営]に出くわし、管理組合正常化の必要性を強く感ずるようになった。その後約5年間を経て得た管理組合の実態をまとめると、管理費全てを住民が納めているにもかかわらず、管理会社を含む前管理人たちが管理中枢を形成し、人・法・金・情報の力を背景に、主役役員人事のたらい回し・管理規約の恣意的改訂・会計運営実務の独占・非公開情報操作などの手練手管を駆使して組合運営を支配し、それに異論を唱える住民が出てくると集団の力で脅し、沈黙、排除を強いている。理事・監事は数合わせ決議の駒に過ぎず、総会・理事会もお上(管理会社)から降りてくる方針原案の承認機関とされ、住民不在で機能停止したエセ「自主管理」体制が出来上がっていた。
国交省の標準管理規約の精神を基に、全て住民の納める[管理費*]で運営される管理組合は管理会社支配の管理運営ではなく、住民が主役でなければならないと考えている(管理会社は委託に見合った支援アドバイザーに徹すべき)。理事長就任の挨拶が「管理組合運営の正常化」になったのは当然であったと思っている。始めると直ぐに前管理人中心の実務独占の弊害が見えてきた。手持ちの資料を調査してみると、住民の異論を排除、管理規約の改悪、議事録の改竄、不都合な重要事項の審議無視、管理人を中心にした会計の不正疑惑などが分かってきた。羽田が異を唱え始めると、種々の手段を使って脅し・排除を仕掛けられ、僅か半年で理事会の勧告を受け辞任に追い込まれた。すると違法にも専門委が理事会に乗り出してきて理事長辞任承認の総会手続きもせず、「新管理体制検討」と称して管理会社の直轄管理を復活させた(乗っ取り)。重要なことは、このような違法行為が行われても、羽田以外誰も異議を唱えない全体主義空間の「管理会社マンション」が出来上がっていたことである。結局、建設分譲以降35年間ずっと同じ「管理会社マンション」の継続(運営や会計を管理会社中心で特定多数の管理中枢が支配)となっている。
2. 文書配布の始まり
一般住民には理事会議事録の実質公開もなく、広報活動は皆無に等しかった。これらの事実を一度マンション住民に知ってもらう必要があると考えるようになったが、その方法については全く経験がなく自分で考えるしかなかった。当の管理人は事務所にいて電話・掲示板・パソコンなど情報伝達手段を駆使して全戸を意のままに動かしている。一組合員の羽田が限りある費用と時間で区分所有者(200戸程度)に均等に確実に知らせる手段は無いものかと悩んだ末の結論が「手紙文書の全戸配布」であった。確実に事実を伝える手段として、2,3枚の原稿なら費用も作成・配布の労力も何とかなるだろうと考えた。嫌なら捨てていただくか返却してもらうしかないが、紙なら住民の手元に残る可能性がある。その代り、各戸の宛先を書いた封筒に入れポステイングして少しでも当方の誠意を尽くそうと考えた。社会集団の中で文書配布を受ける相手の倫理観に訴えるだけである。捨てるも自由、受け取るも自由、賛否両論があって思考も行動も自由であると考える。
2011年7月15日早朝、一週間ほどの準備を懸けて最初の文書配布の実行に及んだ。「これから何が起こるか」との不安はあった。相当数の返却があるかと予想したが、せいぜい時に文書1通が裸でポストに戻ってきた程度で、文書・メモによる意見反応はなかった。
3.文書配布の展開
始めると、自然に2度/月程度の配布になった。内容は組合の管理運営批判、各種資料の調査報告と羽田の組合運営改善策の提案が主であるが、理事会は配布文書の完全無視を決め込んできた。その代り、匿名(明らかに前管理人周辺)による電話・ビラ・来訪など各種の手段を使った非難・脅しがあり、邪魔者の排除ねらいと見てとった。初め2か月ほどは組合の改善を求め賛同する住民の声が10数件ほど寄せられたが、その後は不思議にも沈黙に変わった。
次の手段として、もっと広く事実を知ってもらいたく、少しずつ近隣住民にも文書配布対象を拡げることにした。すると、今までマンション内に閉じ込めていた情報の外部洩れが困るのだろう、理事長、新管理人(管理会社子会社の雇用)や管理会社マネージャーなどが羽田と顔を合わせると、「近隣から迷惑との声が寄せられている。文書配布を止めろ」と攻められるようになった。
そうこうする内に、理事長報酬払い遅延への会計書類偽造、前管理人扱いの小口現金処理の不正や専門委員報酬以外の費用の不記載など、前管理人と管理会社間の会計処理の不明朗が明らかになってきたため、特に前管理人時代の会計資料の公開閲覧(規約78条)を何度も求めたが、理事会は無視無回答を貫いた。それで2013年に簡易裁判所の調停に訴えたところ、一転して理事長は調停の場では「見せる」と答えたが、その実行となると違法な罰則付き「閲覧細則試案」や「誓約書」を提案審議し(決議できず)、保管文書リストまで改竄し実質閲覧を拒みながら、「見せると言ったのに、見に来なかった」と羽田のせいにする対処に変わった。さすがに法的機関相手には会計問題の無視ができなかった。
埒が明かず模索する内に、インターネットのマンション管理問題の情報に接近してみると、類似の課題での情報に多々出くわした。友人の薦めもあってちきゅう座ネットへの投稿で外部一般に広く事実情報提供するように努めた。さらに近隣の同じ管理会社委託のマンション組合にも知ってもらいたく、足を運んで配布対象を拡げた。すると理事会は区分所有者の羽田の文書情報源となる理事会傍聴と資料配布を断って来た(違法と考えるが)。その後2014年10月に理事長が内容証明付き郵便で「文書配布差止請求書」を送り付けてきた。羽田の文書を無視しながら、あまりにも身勝手な差止め請求を無視した(不当なことは拒否すべき)。矢継ぎ早にその説明会、続いて12月に臨時総会を開いて文書配布による名誉棄損・信用棄損をその理由として、羽田を刑事告訴する手続きを進める決議をした。共にいやに裁判知識がかった羽田の弁明の機会を設けてきたが、敵対理事会の手に乗らないため欠席して応じなかった。5月の定期総会で住民に告訴手続きを承認させ、弁護士費用200万円を予算化した。両総会資料には羽田を悪人に仕立て上げるウソの作文を羅列していた。2014年12月の理事会の羽田刑事告訴決議からもう1年以上が経過したが、失礼にも(人権問題)それが受理されたとか手続きが進んだという報告は未だ全くなく、当方の要求する会計閲覧も再び無視されたままである(受理時にあるはずの羽田呼出しもなし)。
4. 文書配布の意義を考える
正直驚いたことに、公的機関の相談員や弁護士までが羽田の文書配布には否定的見解で意見された。でも羽田の文書配布の目的は、あくまで住民本位の組合運営の実現であり、無視された会計閲覧要求の理解であり、内容は断じて誹謗中傷ではない(誹謗中傷を持ち出すのは不正側の常套手段)。支配者は自分たちの既得権益を守るために不当な常識を利用するから、文書配布を何か悪いことのように思わせる世間常識を破らなければならない。まずは、「憲法では何人も言論の自由・表現の自由が保障されている」を正当な理由にしたい。世の中を正常にするためには内部情報通報者が保護されなければならない。やはり、羽田は周りから人権侵害(ムラ八分)や人格攻撃を喰らっている。今回の管理中枢が羽田に仕掛けて来た文書配布差止めは、どうしても見せられない過去の組合会計の公開を回避するための本末転倒のやり方である。以前から羽田が要求してきた(前管理人による)組合会計の不正疑惑への理事会対処(会計の閲覧公開)が全く無視されてきたから、文書配布によって事実を世間に訴え、賛同する動きが起こる事によって、マンション内だけでなく社会生活の正常化にまで進むことを期待している。そのための文書配布・インターネットの活用から情報交換である。従って、この活動は羽田の不当支配者への抵抗の必須の手段であり、最後まで止める訳にいかない。
残念ながら管理会社、コンサルタントは長期契約を継続し、組合を支配し続けており根本的解決には至っていない。お隣韓国には公益通報に対処してくれる大統領直属の機関があると知った(NHKクローズアップ現代)。一方日本では、企業の明らかな法律規約違反の不正行為を知って、それを個人が訴えても、直ぐに承って動くワンストップ的公的機関がなく、泣き寝入りや体力・精神を消耗して実証立てしなければ不正は是正されない。身近な社会の公的機関が、何かと強者企業との繋がりが強く、集団の力で正しい弱者個人を排撃する状況が存在する。
マンションの場で管理会社の力を除いて一般住民が自由な立場で自分の意見を自由に言えるオープンな話合いの場ができたら、今の「管理会社マンション」での紛争の多くは解決すると確信する。正しいことを正しいと言えない社会が正しい訳がない。
[第12報終り]
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
〔opinion5890:160207〕
「ちきゅう座」に掲載された記事を転載される場合は、「ちきゅう座」からの転載であること、および著者名を必ず明記して下さい。