本間宗究(本間裕)の「ちきゅうブッタ斬り」(121)
- 2016年 5月 12日
- 評論・紹介・意見
- 本間宗究本間裕金融
北朝鮮と国際金融情勢
現在の「北朝鮮」は、まさに、「窮鼠、猫を噛む状態」とも言えるようであり、すでに、海外との対話を諦め、ミサイルの発射などを繰り返すことにより、破滅を待っている状況とも考えられるようである。しかも、この時に、「高官の脱北」が相次いでいるとも報道されているために、「国家の崩壊」は、時間の問題のようにも思われるが、この時に考えなければいけないことは、「いつ、帰還不能点(ポイント・オブ・ノーリターン)を超えたのか?」ということでもあるようだ。
そして、この点に関して、思い出されるのが、今年の初めの「二つの打ち上げ花火」でもあるが、「一つは、北朝鮮の水爆実験」であり、「もう一つが、日本のマイナス金利」のことである。つまり、この時が、「北朝鮮」のみならず、「世界の金融」についても、「帰還不能点」を超えた時期だったようにも感じているが、かりに、この推測が正しいとすると、今後は、予想以上の大混乱を考える必要性があるものと考えている。
具体的には、「BIS(国際決済銀行)」や「IMF(国際通貨基金)」などが指摘するように、「金融政策の限界」であり、また、「マイナス金利の副作用」のことだが、実際には、「近い将来に、実物資産価格のバブルが発生する可能性」のことである。つまり、現在の日本では、「信託銀行の預金に関して、4月の半ばから、マイナス金利が実施される」と報道されており、このことは、「個人の預金が、実質的に、目減りをする状況」とも言えるのである。
そのために、「個人投資家」を中心にして、「マイナス金利でも、目減りをしない資産への資金移動が起こる」という状況を、「IMF」は想定し始めたようだが、実は、このことが、本当の「インフレ(通貨価値の下落)」を意味しているのである。つまり、今まで、たびたび、申しあげてきた『ギャロッピング、インフレ』から「ハイパーインフレ」への動きのことだが、現在では、ようやく、いろいろな国際金融機関が、この点を危惧し始めたようである。
そして、このキッカケとなるのが、「国債価格の暴落」だと想定しているが、現在では、この時期が、近づいており、実際には、「北朝鮮の崩壊」か、それとも、「国債価格の暴落」の、どちらが早いのかを考える段階に入ったようである。換言すると、「権力の暴走」が、「北朝鮮」のみならず、「日本」を始めとした先進諸国で発生している可能性であり、この点に関して、「金融大混乱」という「人災」が発生する状況のことである。(2016.4.12)
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バドミントン選手の違法賭博事件
今回の「バドミントン選手の違法賭博事件」については、いろいろと考えさせられたが、基本的には、「スポーツ選手が、なぜ、高額の収入を得ることができるのか?」を考えることが、最も大切なようにも感じている。別の言葉では、「なぜ、多くの人が、スポーツに熱狂するのか?」ということでもあるが、実際には、「社会の部品」となった現代人が、「疎外感」や「空疎感」を埋めるために、「スポーツ」や「ゲーム」に、多くの「時間」と「お金」を使っている可能性もあるようだ。
そして、この時に思い出されるのが、「パンとサーカス」という言葉だが、実際に、現在の状況は、「1600年前の西ローマ帝国の時代」と、よく似てきたようにも感じられるのである。つまり、「生活(パン)」のために、必死になって働くものの、仕事に対する充実感が存在しないために、「娯楽(サーカス)」を求めている可能性のことだが、当時の「西ローマ帝国」において発生したのが、「財政赤字」と「インフレ」だったのである。その結果として、「西ローマ帝国」は、きわめて短期間の内に滅んだのだが、今回も、決して、安心できるような状況ではないものと考えている。
ただし、私自身としては、決して、スポーツを拒否するつもりはなく、反対に、「野球のイチロー選手」や「サッカーの三浦選手」のように、尊敬すべき人物が、数多く存在するものと考えている。別の言葉では、どのような分野においても、ひたむきに、目標に向かって努力する姿は、たいへん尊いものだと考えているが、この時の問題は、「仕事の内容により、収入に、大きな格差が存在する点」とも言えるのである。
つまり、「マネー経済の大膨張」により、現在では、いろいろな分野で、「貧富の格差」が激しくなっているが、この結果として、人々の間に、「本末転倒した意識」が生まれているようにも感じられるのである。具体的には、「お金儲けが目的となり、本来の仕事が、後回しになる可能性」であり、また、「お金儲けのために、いやいや、仕事をするような状況」のことである。
別の言葉では、「職業に貴賤なし」という言葉のとおりに、本来は、「自分の好きな仕事をして、他人の役に立つ」ということが、本来の「仕事」、あるいは、「仕える事」が意味することだと考えている。しかし、実際には、「お金が無ければ生きていけない」という考え方が広まり、「いやいやながら、仕事をする人」が増えているようだが、結局のところは、このような考え方が、西ローマ帝国の崩壊に繋がったようにも感じている。(2016.4.13)
本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
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