脱原発運動、反転攻勢へ - 9月22日(秋分の日)に大規模集会へ ー
- 2016年 9月 9日
- 時代をみる
- 原発岩垂 弘
「さようなら原発 さようなら戦争大集会」と銘打った集会が、9月22日(木、秋分の日)、東京・代々木公園B地区・けやき並木で開かれる。原発の再稼働を推進する安倍政権と電力業界に対し再稼働停止を迫ろうという狙いで、脱原発を掲げる大規模集会は今年3月26日にやはり東京・代々木公園で開かれた「原発のない未来へ!つながろう福島!守ろういのち!3・26全国大集会」以来だ。
主催は「さようなら原発」一千万署名市民の会。これに、「止めよう!辺野古埋立て」国会包囲行動実行委員会、戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会が協力する。集会では、次のスケジュールが予定されている。
12:00 第1部 トーク&ライブ
報告:福島の現状と課題 長谷川健一(ひだんれん)他
13:30 第2部 トーク
呼びかけ人あいさつ:鎌田慧(ルポライター)、澤地久枝(作家)
発言:アーサー・ビナード(詩人)、木内みどり(俳優)、武藤類子(ひだんれん)
15:00 デモ出発
渋谷方面コース:代々木公園~渋谷駅~神宮通公園
原宿・青山方面コース:代々木公園~原宿~表参道~明治公園周辺
この時期に脱原発団体が大規模な集会を計画したのは、安倍政権と電力業界が、昨年から、ますます原発の再稼働に突進しているからだ。
東京電力福島第1原発の事故から5年余になるが、事故はまだ収束していない。そればかりでない。東電が原発建屋に流れ込む地下水を遮断する対策の切り札としてきた凍土遮水壁方式の破綻が、いまや明らかになりつつある。
にもかかわらず、安倍政権と電力業界は昨年8月には九州電力・川内原発(鹿児島県)1号機を再稼働させ、続けて同10月には川内原発2号機を、今年1月には、関西電力・高浜原発(福井県)3号機を、2月には高浜原発4号機をそれぞれ再稼働させた(ただし、高浜原発4号機は再稼働直後にトラブルで自動停止。これに続き、今年3月には、高浜原発3、4号機に対する大津地裁の運転差し止め仮処分決定を受け、3号機が停止)。さらに、安倍政権と電力業界は、8月12日に四国電力・伊方原発(愛媛県)3号機を再稼働させた。
稼働中の川内原発1、2号機については、こんなこともあった。三田園訓・鹿児島県知事が、熊本地震を受けて県民の不安の声が高まっているなどとして、8月26日、九州電力に「原発を直ちに停止し、安全性を再検証するよう」要請したことである。川内原発に関しては画期的なことだが、九州電力は9月5日、「直ちに停止する」との求めには応じず、10月以降の定期検査入りまで稼働するとの方針を知事に伝えた。
こんどの「大集会」は、これらの動きに抗議し、改めて全ての原発再稼働に反対する意思を示すためのものだ。
さらに、先の参院選中は、大規模な脱原発集会を開きたくても開けないという事情もあった。脱原発団体に参加している組織の中には精力を参院選に集中せざるをえないところもあって、そうした組織は、選挙中は脱原発のための集会にエネルギーをさけない、というわけだった。「参院選は終わった。次は脱原発だ」。そんな声も聞こえる。
それに、参院選では、市民諸団体と野党4党の共闘が初めて実現したが、双方が合意した選挙政策は「安保関連法の廃止」「立憲主義の擁護」「安倍政権打倒」などで、「脱原発」は入っていなかった。野党の中に「脱原発」ではまとまれない政党があったため、合意項目に「脱原発」を加えることができなかったわけである。いずれにせよ、そうしたことが、この時期、脱原発団体の動きを鈍くしたとという面があった。
テント強制撤去に抗議して経産省包囲へ
「経産省前テント」が国の提訴により撤去されたことも、脱原発団体関係者を勢いづかせている。
経産省前テントとは、脱原発を訴える市民団体が東電福島第1原発の事故から半年たった2011年9月11日に東京・霞が関の経済産業省の敷地内に設置したテント。市民団体のメンバーがここに常駐して国の原発政策を批判する看板を掲げ続けた。脱原発運動の象徴的な場所として知られるようになったが、国は立ち退き訴訟を起こし、団体メンバーに撤去と土地使用料の支払いを命じる判決が、7月28日、最高裁で確定した。それを受けて、8月21日未明、東京地裁によりテントの強制撤去が行われた。
市民団体「経産省前テントひろば」は、9月11日(日)15時から「テント設営5周年 脱原発9.11・怒りのフェスティバル」を経産省周囲一帯で行う。18時45分からは、経産省包囲ヒューマンチェーンを行うという。
このフェスティバルは、テントの強制撤去前からテント設営5周年記念行事として企画されていた。が、強制撤去を受けて、フェスティバルは抗議の行動となりそうだ。
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