NHKを変えられるのか、いま、できることはなにか
- 2016年 9月 10日
- 評論・紹介・意見
- 内野光子・歌人
最近のNHKのテレビニュースを見ていると、その編集方針・内容があまりにも政府寄りなので、気分が悪くなり、消したくなるが、ウオッチの意味で、我慢してみている。これも視聴率を上げることに貢献しているのかと思うと、また腹が立つ。
この数か月の選挙報道、オリンピック報道、災害報道、原発・原爆報道、沖縄報道、景気動向報道などを思い起こしてみると良い。
・選挙報道にあっては、争点ではなく政局報道に力点が置かれ、民放の一部でしていたように、争点における各党の相違などのあぶり出しに欠けていた。
・オリンピック報道にあっては、国威発揚、メダル競争を臆面もなく前面に出して、本来のスポーツ報道の域を脱し、必ず感動物語を添える。民放の番組 を批判する資格があるのか疑わしくもある。4年後の東京オリンピックへとひたすら盛り上げるが、東京誘致のプレゼンで安倍首相が、福島の汚染水は完全にコ ントロールされているといった虚言、JOCの不正支出、東京オリンピック予算の半端でない膨張には目を向けない。
・地震や台風による被害の深刻さは伝え、その防災と復興への「課題」は申し訳程度に指摘はしても、その先の独自取材や調査による報道はない。
・原発報道に至っては、原発事故が今にもたらす重大さ、将来起こりうるリスクには触れない。熊本・大分地震報道に登場する地図には玄海、川内原発、 四国の伊方原発原発の位置も示されず、三か所のうちもっとも揺れが大きかった川内原発のある九州南部は常に切られた地図しか示されなかった、と指摘するの は福島の原発事故に仕事を奪われた知人の指摘である。NHKの籾井会長は、熊本地震への対応を協議した4月20日、NHK局内の災害対策本部会議で「原発 については住民の不安をいたずらにかき立てないよう、公式発表をベースに伝えてほしい」と指示したという発言、かつての就任会見で「政府が右と言ったら左 とは言えない」発言といい、報道機関の姿勢を真っ向から否定するものであったことと無関係ではない。
・沖縄報道、とくに辺野古や高江での基地建設工事の実態と市民による基地反対の活動報道は、スルーしても、北朝鮮、中国のマイナス情報は、毎日流す。
・政府や日銀の発表を忠実に、そしてバランスをとったような専門家の発言を流すにとどめるが、ロボットやスマホ、宇宙、医療などにおける技術開発情報は、丁寧に、こまめに伝える。
こんなNHKは、「ほめて育てる」段階をとうに超え、まさに「我慢の限界」なのである。そんな中で、NHK経営委員会は、来年1月に籾井勝人・現会長の任期が満了するのに伴い、次期NHK会 長の選考を進めている。、NHK視聴者は、受信料を支払っている方々は、一度立ち止まって、考えてみなければと思う。どんな成果を上げられるか、未知数で はあるが、私は「NHKを監視・激励する視聴者コミュニティ」の一員として、以下の署名に賛同した。全国18の視聴者団体と共同で以下の3項目について、 署名とともに、メッセージを付して、経営委員会に提出することになった。第一次締め切りは、迫っている。もし、ご賛同いただければと以下、ご案内したい。
<署名の主旨>
1. 公共放送のトップとして不適格な籾井現会長を絶対に再任しないこと
2. 放送法とそれに基づくNHKの存在意義を深く理解し、それを実現できる能力・見識のある人物を会長に選考すること
3. 会長選考過程に視聴者・市民の意思を広く反映させるよう、会長候補の推薦・公募制を採用すること。そのための受付窓口を貴委員会内に設置すること
<用紙による署名:署名用紙は次をダウンロ-ド>
http://bit.ly/2aVfpfH
<ネット署名:署名の入力フォームは次をダウンロード>
https://goo.gl/forms/G43HP83SSgPIcFyO2
*用紙による署名を済ませた方も上の入力フォームから送信可。ネット署名にはたくさんのメッセージが添えられている。そのすべてを、個人情報を伏せた上で、以下に掲載している。
https://goo.gl/GWGnYc
初出:「内野光子のブログ」2016.09.08より許可を得て転載
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://chikyuza.net/
〔opinion6248:160910〕
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