築地市場の豊洲移転問題(20):1979年の日本プロジェクト産業協議会(JAPIC)設立時から連綿と続く東京利権土建政治を甘く見てはいけない=「築地でええじゃないか、ええじゃないか」はこのままでは危ない
- 2017年 4月 12日
- 評論・紹介・意見
- 田中一郎
- (故)高田渡「値上げ」 → 「戦争」 – Sixteen Tones
- (故)高田渡 値上げ 歌詞
- 沿革|JAPICとは|一般社団法人 日本プロジェクト産業協議会
- 一般社団法人 日本プロジェクト産業協議会
- BS朝日 – BS朝日 ザ・ドキュメンタリー:築地・豊洲 誰が市場を殺すのか
(最初に若干のことです)
==================================
1.(別添PDFファイル)村田光平元スイス大使からのメール
http://kurionet.web.fc2.com/murata.html
皆様、菅官房長官宛メッセージをお届け致します。
竹本修三先生の2号機問題に関する報告書の最終版とご報告した朝日Withnewsのインタービュー記事をお届けするものです。再稼働の動きが報じられる一方、マスコミは取り上げませんが4月1日に広島大学で「日本の歩むべき道」と題する小泉元総理の講演会が開催され、出席者は1000名を上回ったと聞きます。福島事故の教訓を全く無視する再稼働は頓挫するものと信じます。自主避難者に対する支援打ち切りという無責任を国民は放置しないと思われます。皆様のご理解とご支援をお願い申し上げます。
村田光平(元駐スイス大使)
2.(4.16)築地移転の闇をひらく―都民の食の安全は守られるのか?(フォーラム杉並第4回企画)
http://www.labornetjp.org/EventItem/1491531546095ylaur
3.(売れてる本)『一九八四年[新訳版]』 ジョージ・オーウェル〈著〉高橋和久〈訳〉:朝日新聞デジタル
http://www.asahi.com/articles/DA3S12883867.html?ref=nmail_20170409mo
4.誰もが犯罪者? 共謀罪に反対します
http://blog-imgs-102.fc2.com/d/e/m/demosaiban/IMG_0114.jpg
5.台風の目、台頭の芽 小池新党に移籍次々、政策は見えず 東京都議選:朝日新
聞デジタル
http://www.asahi.com/articles/DA3S12883872.html?ref=nmail_20170409mo
http://www.asahi.com/articles/ASK475251K47UTIL02K.html?ref=nmail
==================================
(この懐かしい歌をご存知ですか?)
http://blog.goo.ne.jp/ablerail1007/e/2253e6627856478d94f448adb8e520e9
http://j-lyric.net/artist/a0027b4/l004d8a.html
「値上げ」の部分を「築地市場の豊洲への移転」(「移転」)と読み替えて歌ってみてください。
ところで、築地市場の豊洲移転問題ですが、いよいよ正念場に差し掛かってきた様子です。昨今の報道などから若干のことをお伝えいたします。
<別添PDFファイル>
(1)「豊洲を政争の具に 邪道だ」、下村・自民都連会長 小池知事を牽制(朝日2017.3.22)
http://www.asahi.com/articles/DA3S12853004.html
(2)「豊洲」持越し、知事、移転判断なお慎重(日経 2017.3.31)
http://www.nikkei.com/article/DGKKASFB30HCE_Q7A330C1L83000/
(3)築地・豊洲市場移転問題③:豊洲市場の安全宣言は可能か(音喜多駿 『東京都の闇を暴く』(新潮新書))
http://www.e-hon.ne.jp/bec/SA/Detail?refShinCode=0100000000000033577931&Acti
on_id=121&Sza_id=A0
(4)豊洲時限爆弾:4300億円問題(日刊ゲンダイ 2017.3.31)
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/202497
(5)豊洲移転「目指すべき」55%、「やめるべき」29%:本社都民調査(朝日2017.4.4)
http://www.asahi.com/articles/DA3S12875311.html
(6)PTが築地市場建て替え案を試算、透ける小池知事の抜け目なさ(『週刊朝日2017.4.14』)
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170405-00000069-sasahi-pol
(7)築地のまま再整備なら、期間7年、工費734億円、都PT案(東京 2017.4.8)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201704/CK2017040802000135.
html
https://mainichi.jp/articles/20170409/k00/00m/040/090000c?fm=mnm
(8)豊洲移転 政治判断へ、百条委解明できず、クローズアップ2017、豊洲百条委喚問終了(毎日 2017.4.5)
https://mainichi.jp/articles/20170405/ddm/001/010/181000c
https://mainichi.jp/articles/20170405/ddm/003/010/050000c
(9)豊洲派は反発、欠席、都PT案提示 業界内の対立鮮明(東京 2017.4.9 他)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201704/CK2017040902000151.
html
<関連サイト>
(1)解除できるのか 豊洲“時限爆弾”(日刊ゲンダイDIGITAL)
https://www.nikkan-gendai.com/articles/columns/2730
(2)同じ東ガス工場跡地なのに…小学校NOで市場OKの奇っ怪 日刊ゲンダイ
DIGITAL
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/202017
(3)ずれる論点 豊洲百条委は“吊るし上げ”が成果のドッチラケ 日刊ゲンダイ
DIGITAL
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/202889
ある方から、下記のメールをいただきました(以下はメール転送です)。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(中略)都民の石原慎太郎という人物に対する評価は、百八十度変わったものと思います。「神話が雲散霧消した」と言っていいかとも思います。石原都政は、鈴木俊一都政の継承であり、多少の焼き直しでもあったのですが、彼が実行したことの一番の「実績」は、東京という一地方自治体から、「福祉の心」を奪い取ってしまったことでした。一方で、ゼネコン・大企業・大銀行奉仕型の「伏魔殿都政」を築きあげてしまったことに、最大の問題があったのでした。これに追随しつつ、自らの役割を果すのが官僚というものでした。都の官僚とは、政府官僚よりも、じつは、金権的なる権力を保持しているのです。
鈴木都知事は、「マイタウン構想」をぶち上げ、あの臨海副都心建設構想をぶち上げ、大型開発に「湯水のように都税をつぎ込む」という構造を作りあげました。その受け皿づくりを一手に引き受けたのは、「JAPIC」(じゃぴっく:日本プロジェクト産業協議会)でした。この団体が発足したのが革新都政が沈没した年、つまりは鈴木都知事が誕生した年の1979年でした。72年の田中角栄の「日本列島改造論」の実行促進部隊として編成されたものが母体となっての発足でした。構成団体を少しあげると、建設、鉄鋼、流通、金融、不動産、セメント、マンション建設、広告に関する「大企業」・「大銀行」がまずは立ち並びます。つまり、都民の税金を食い物にしようかという企業や団体です。これらは、行政や大学が加盟する経団連の公共事業・都市再開発事業に大きな影響力を行使してきた団体と言えます。全部で190団体ほど。
これが「バック・ボーン」となっての大開発最優先主義都政を構築させていったというわけでした。国の、政官財の癒着構造が、そのまま東京都レベルに下りてきたことになります。年額2兆円ほどの大型公共事業、大型開発や大型道路建設、大型施設等の建設や、八ッ場ダムや……と、そこに都の官僚たちも参画して、「湯水のように都民の税金を投入する」という構造が、つくられていったのでした。石原都知事のバック・ボーンもまた、このJAPICを事実上の「シンクタンク」としての都政であったわけです。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
上記に記載されていることは非常に重要で、今後の東京都政や街づくり・都市計画の在り方を考える際の基本認識としておく必要があります。そして「都政を私たちの手に取り戻す」とは、こういう利権まみれの人たちとは縁を切って、たとえば公共事業としては、都営住宅の新規建設・拡充や空き家利用の活性化を図り、東京都の脱貧困の出発点にするほか、福島県他の原発被害から逃れてこられた方々に入っていただく住宅を確保するなど、従来とは正反対の、私たちのための、私たちの生活のための都政を実現させていくことが重要なのです。都知事選挙も都議会選挙も、そのためにあるといっても過言ではありません。
http://www.japic.org/profile/history/index.html
実はついこの間、かねてより話題になっていましたBS朝日のドキュメンタリー番組「築地・豊洲 誰が市場を殺すのか」を見たのですが、その番組に上記の「JAPIC」が出てきます。私の記憶に間違いがなければ、当時の通産省がこの「JAPIC」に調査研究依頼をしていて、その報告書に東京都心の再開発PJの提案が複数掲載されているのです(昭和58年度「内外産業経済情勢に関する研究」委託調査報告書:通商産業省)。その報告書には豊洲市場の建築を請け負った鹿島建設他のゼネコンや日建設計などの名前もあります。
http://www.bs-asahi.co.jp/documentary/prg_048.html
その報告書には、有楽町駅周辺の再開発、日比谷再開発、都庁の移転、築地市場移転、汐留の再開発、大川端再開発、赤坂六本木再開発の7つが列記されていました。そして驚くべきか、この7つの計画PJのうち、築地市場の移転以外の6つのPJはすべて実現して実施済み・終了しているのです。驚きです。東京都政が一体誰のために行われてきたのか、これほど明確明瞭に示すものはないのではないでしょうか。
まさに、日本の巨大資本と自民・公明という東京都与党の政治家たちが、都政を食い物にしてきた、その大きな「食い扶持」を、この「JAPIC」が計画を策定し、それを東京都の知事や与党が都庁の役人たちを使って実施させていくことで、甘い汁を吸い続けていく、そんなことを、もうずっと繰り返してきたということでしょう。TV番組に出てきた「JAPIC」の調査研究報告書は1984年に仕上がっていますから(通産省の調査依頼は1983年)、築地市場の移転とその跡地の再開発はその頃から狙われていたということです。
1990年代の中ほど、築地の現在地での改修工事が途中で頓挫していますが、それがなぜなのかよくわからない。誰がなぜ、どういう手続きを踏んで止めたのかもわからない。ただ1995年ころから、この築地市場現地での改修を押しつぶすように豊洲への移転話が浮上してきたというのです。私は、おそらくは「JAPIC」族という「都政へのタカリ推進本部」に集う連中の仕業であろうと推測します。築地市場は移転をしてもらい、その跡地を再開発しなければ困る人たちがいたということに違いないのです。
なお、築地市場の豊洲移転問題については、私が見るところ、非常に危ない状態になってきています。少なくない人が小池百合子都知事は築地市場の豊洲への移転をやめるだろうなどと甘い見方をしているようですが、私は逆の見方をしています。
(1)まず、百条委員会を、あの中途半端なままに予定終了にして、過去の責任問題の幕引きをする。そりゃそうでしょう。あまりやると石原都政の与党であった自民・公明、場合によっては民進も、知られたくないことが飛び出てくる可能性があるからです。ゼネコン談合問題も含めて過去の黒い話とドブネズミ駆除はやらずじまいでおしまい。水面下で総理官邸とお約束なのかもしれません?
(2)次に、築地市場への誹謗中傷をマスコミを使って大宣伝し「築地市場も危険だ」という印象を都民にばらまく。今も築地市場で日々営業を行う卸業者がたくさんいるというのに、これまで食害事件を起こしたことがない、すぐれものの築地市場への悪口を言いたい放題言い続けるという暴挙です。悪意に基づく「迷惑顧みず」の営業妨害以外の何ものでもありません。
(3)さらに、毒物まみれで、土壌汚染対策もロクすっぽできていない、かつ、建築物の耐震性や液状化対策なども不十分で危険極まりない豊洲市場を、専門家会議や御用学者らを使って「安全だ」「地上と地下は違う」「環境基準は直接安全性とは関係がない」などと言わせ、豊洲=安全ないしは大して危険ではないという印象づくりを並行して進める。もちろんマスコミも駆使し、都庁役人の中の自民・公明代理店職員もマスコミへの様々なリーク源として活用。(都庁記者クラブに集うマスコミ各社が、この嘘八百キャンペーンの先兵となるでしょうし、すでにもう一部なってしまっています)
(4)その上で、築地と豊洲、どっちが安全? 豊洲は安全だけれど安心が問題、などとして、危険性をごまかして、消費者の気持ちの問題にすり替え、小池百合子に政治決断を迫る。判断は、豊洲の危険性や卸売市場としてどうなのかという問題からは切り離されて、小池百合子個人の(「愚かな消費者」の気持ちを勘案しての)政治判断問題に矮小化されていく
(5)市場問題PTの小島敏郎座長は築地市場の移転反対・現地改修を考えているようなので、小島敏郎はずしのために(豊洲築地問題を含む)「市場のあり方戦略本部」なるものを屋上屋で作って、そこで小島敏郎PTを抑えながら最終的に豊洲への移転を決める
(関連)豊洲市場問題 「市場のあり方戦略本部」初会合 NHKニュース
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170403/k10010935591000.html
(6)豊洲移転を前提に豊洲市場へ投資してきた築地市場の業者への東京都の補償が「やる気のない」いい加減なままで進んでいる。その様子は、どうせ豊洲に移転するのだから、補償は最低限でいいでしょう、という雰囲気の強いものになっていて、資金繰りに困りだしている仲買人たちの怒りに油を注ぐようなことになっている。
(7)小池百合子都知事を取り巻く政治勢力の多くが「豊洲へ行け」と言っている。
都民ファーストの過半に加え(その代表格が音喜多駿都議(北区)=別添PDFファイル(3)参照)、公明党も移転派である。もちろん黒い頭のネズミである都議会自民党は早く豊洲移転を決めろ・都議選の争点にする、と鼻息が荒い。築地市場内も、水産仲卸以外はあまり表立って豊洲移転に反対を表明せず、水産卸・中央魚類の伊藤裕康他、多くの築地有力者たちは、早く豊洲移転を決めろと怒り出している。これらに逆らって豊洲への移転中止を決めるのは、小池百合子都知事にとっては政治的にハードルが高い。
(8)そもそも、昨年9月に再度設置した専門家会議座長に、2008年当時の専門家会議座長であった平田健正(放送大学和歌山学習センター所長・特任教授)を置いたのは驚きであり、かつ非常識と言わざるを得ない。言ってみれば、豊洲の土壌汚染の安全対策に失敗をした人間を、再び、同じ事の検証の役職に就けるということを意味しており、その結論は最初から見えていたというべきか。自分たちが過去にやったことを合理化・正当化して、豊洲は安全だと言い張るのは目に見えていたでしょう。つまり、この人選をした段階で、小池百合子都知事は、築地市場の豊洲移転は、そのうちにタイミングを見て実施するつもりだったのではないかと推測される。それが想定外の土壌や地下水の汚染が明らかとなり、簡単には収束できなくなってしまったということなのではないか。
(参考)田中龍作ジャーナル 【築地移転問題】「都から完全独立ならやる」 豊洲の盛り土、専門家会議(2016年9月18日)
http://tanakaryusaku.jp/2016/09/00014465
ということで、築地市場は非常に危機的な状況になってきています。関係者による反撃を全力でしないと、小池百合子都知事に頼っているだけでは、このまま、なしくずし的に移転が決まってしまう可能性大です。状況証拠が黄色信号(イエローカード)を出しています。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion6609:170412〕
「ちきゅう座」に掲載された記事を転載される場合は、「ちきゅう座」からの転載であること、および著者名を必ず明記して下さい。