日本にとっての脅威は、トランプ政権だ!北朝鮮ではない――日本・安倍政権が主張すべきこと
- 2017年 4月 29日
- 評論・紹介・意見
- 矢沢国光
本日(4月29日)早朝の北朝鮮ミサイル実験(失敗)にたいして、日本の安倍政権は、おどろくべきことに、北陸新幹線と首都圏鉄道の一部を「念のため10分間」運行中止させた。安倍政権は、3月以来、小学生も動員した避難訓練を実施したり、都道府県に対して防災無線での避難や、「屋外にいる場合は、できるだけ頑丈な建物や地下街などに避難する」などを指示して、北朝鮮の日本ミサイル攻撃の脅威」をひたすら煽っている。
これは現下の事態に対する正しい対応だろうか?
まず第一に、日本にとっての「脅威」は、北朝鮮にあるのか?そうではなかろう。
アメリカ・トランプ大統領は「外交的に解決したいが困難」と、北朝鮮への先制武力攻撃をほのめかしている。日本にとっては、トランプ大統領のこうした姿勢こそが「脅威」だ。
アメリカから北朝鮮への先制武力攻撃のないかぎり、北朝鮮の側から韓国や在日米軍基地に対する武力攻撃を仕掛けることはない。韓国・日本が北朝鮮のミサイルに攻撃される可能性は、アメリカの先制攻撃があってはじめて生ずる。日本がこの危険を取り除くためには、アメリカに対して、「北朝鮮への武力行使を(脅しも)即時やめる」ように強く申し入れることである。
北朝鮮のミサイルが届かないイギリスの『エコノミスト』誌でさえも「北朝鮮に先制攻撃を加えることは、信じがたいほど無謀な行為だ」と、トランプ大統領に自制を求めている。http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/49833
日本の政府がすべきことは、トランプ政権の「武力行使」の脅しに対して、「支持する」のではなく、強くきっぱりと反対することではないか。
第二に、北朝鮮のミサイル実験・核実験が(アメリカが北朝鮮を武力攻撃する)「デッドライン」であるかのように論議されている。はたして、そうだろうか?
北朝鮮が求めているのは「現政権の存続」をアメリカが認めることである。北朝鮮のミサイル・核武装をやめさせる道は、米朝会談による北朝鮮の政権存続保障しかない。
アメリカは、自身の価値観に合わない政権の存続を否定してきた。イラクのサダム・フセイン政権、リビアのカダフィ政権、そしていま、シリアのアサド政権。こうしたアメリカの「武力による改革」はことごとく失敗した。
北朝鮮の金正恩政権は、人民を抑圧する非道な独裁政権であるが、その改革は、外部の勢力にできることではなく、北朝鮮の人々の仕事である。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
〔opinion6643:170429〕
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