矢沢国光氏「・・・9条改憲阻止の理論的深化を」への所感
- 2017年 6月 14日
- 評論・紹介・意見
- 岩田昌征
矢沢国光氏が私の「日米安保・九条体制のワンセット撤廃」論を批判して下さった。有難いことだ。半月留守をしていて、6月8日に帰宅。返事が遅れたこと了解されたし。私の論は基本線・方向について述べたのであって、矢沢氏が指摘しているような具体性に欠けている。その点に関してはこれから勉強せねばならぬ。
矢沢氏は、三項目にわけて私を批判している。夫々について所感を述べる。
「(1)日本とアメリカの関係についての認識」において、私の認識「自衛隊はアメリカ軍とだけは絶対的に論理的に戦争できない宿命を構造的に背負っている。」について、「これは正しくない。」とされる。とすると、自衛隊は米軍とも戦争できる構造を有している、と言うことになる。氏が(1)で指摘されている諸具体例は、「これは正しくない。」と言い切るには全く不十分である。「一寸の虫にも五分の魂」と諺にあるが、はるかにそれに及ばぬ「一寸の虫にも五厘の魂」の例証であろう。ここで言う虫とは、言うまでもなく自衛隊のことである。
「(2)外交と軍の関係についての認識」において「国軍をもたない国は、外交できないだろうか?」と問われる。自国の巨大武装力が米軍の日本部隊として構造化されているような国の外交は、本来の潜在的外交能力に比して質量ともに限定されざるを得ない。これが問いへの答えである。また外交相手諸外国も真に受けない。私の見る所、感ずる所、文部強国日本が自立国家となり、NATOともロシアとも中国とも異なる国際的役割、例えばかつての非同盟武装中立諸国の指導国・旧ユーゴスラヴィアの如き役割を演ずる事を期待する中小諸国は、かなり多い。
「(3)軍と国家の関係についての認識」において、私の基本論「いくさはしない。しないができる。できてもしない。但し、しかけられたら受けて立つ。」に関して、「ちょっと、待ってほしい。『受けて立つ』のは誰なのか。」と自問して、矢沢氏は、「国家の軍隊ではない。・・・、住民の治安防衛組織――警察力と住民自治組織――が日本人を守る。」と自答する。それは、現時の北朝鮮ミサイル問題で新幹線や地下鉄を止め、住民のミサイル避難訓練をする安倍政権の方策と重なる。安倍政権は、それに加えて接近する米空母艦隊を海上自衛隊をして護衛せしめる。
私の言う日本国軍の海軍ならば、日本近海から米空母に去っていただく。私の言う国軍の陸・海・空軍ならば、まず第一に日本海側の原子力発電所の再稼働停止・稼働停止と原発防衛の態勢をとる。必要ならば、地下鉄の運休や住民避難の用意をする。同時に自立外務省は朝鮮民主主義人民共和国と外交関係を築き、堂々の外交に踏み切る。遠交近攻策をとらない。
平成29年6月12日(月)
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://chikyuza.net/
〔opinion6729:170614〕
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