朝鮮半島でのディール(取引)における名刺交換会大成功
- 2018年 6月 15日
- 評論・紹介・意見
- 熊王信之
トランプ大統領と金委員長の初会談は、大成功でした。 妬みと偏見に満ちたこの国の政府と多くの国民の眼には真実が映らないのでしょうが、トランプ大統領からの北朝鮮非核化に関わる代金請求書は必ずこの国の政府宛に届けられるでしょう。
この国では、アベ政権と同等の猜疑心と妬みに依る偏向報道ですので、真実を伺うことは出来ません。
日本以外では、特に経済、金融面から期待に満ちた眼差しが注がれていた懸案の米朝会談ですので、その成功が歓迎されたのは云うまでもありません。
ピーター・ヴァン・ボーレン(Peter Van Buren)氏は、ロイターのコラムでこう書かれています。 「『われわれは過去と決別すると決めた』と、トランプ大統領と並んで共同声明に署名した金委員長は語った。
平壌では、変革機運が高まっている。米ドルや中国元で潤い、外国メディアの情報にも接しやすくなった準市場主義経済では、消費に慣れ親しんだ中間所得層が拡大し、変化を求めている。
これに、北朝鮮には協力しないというこれまでのルールを破る意思を持つ米大統領という条件が重なる。よく見れば、条件は半分以上整っていることが分かるだろう。」
コラム:米朝首脳会談を「成功」と呼べる理由 Reuters 2018年6月13日 https://jp.reuters.com/article/vanburen-northkorea-idJPKBN1J90NT
そして、投資の面では、凄い大物が今まで眠っていた、と虎視眈々と狙う投資家が多くいるのです。 Bloombergに依れば、著名投資家ジム・ロジャーズ氏もその内の一人です。 同紙曰く。「著名投資家ジム・ロジャーズ氏のような楽観主義者は、北朝鮮には事態好転を生み出す源があるとみている。その根拠は同国でのインフラ開発ニーズの大きさとよく訓練された労働力、韓国や中国、ロシアといった比較的大きな市場への近さだ。」と。
北朝鮮は「1980年代の中国」とロジャーズ氏楽観-投資好機かリスクか Bloomberg
2018年6月8日
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-06-08/P9ZKZZ6TTDS501
そして、不動産市場は既に動き出しているようです。
アングル:究極の未開市場か、雪解けで中国が北朝鮮不動産に食指 Reuters
2018年5月8日
https://jp.reuters.com/article/nk-china-real-estate-idJPKBN1I80HA
それにしても既視感がありますね~、今回の会談。 その昔、テレビの報道では、当時のニクソン大統領が突如(とこの国の政権と国民には受け止められた)訪中し、周恩来首相と毛沢東主席との会談に臨む場面を呆然と観ていたことを思い出します。
トランプ大統領が書かれたツイートです。
Donald J. Trump??認証済みアカウント? @realDonaldTrump ? 20時間20時間前
Before taking office people were assuming that we were going to War with North Korea. President Obama said that North Korea was our biggest and most dangerous problem. No longer – sleep well tonight!
(私訳:就任前には、我々は北朝鮮と戦争することになる、と思われていた。 オバマ大統領は、北朝鮮は、我々の最も巨大で危険極まり無い問題と云った。 もうそうでは無い。今夜は良く眠りなさい!)
今回の会談成功は、トランプ大統領もそうですが、有能な国務長官と防衛長官を得て、憎まれ役の補佐官を配置した人事の成功でもあったのでは、と考えてもいます。 北朝鮮相手に、大統領御自身が憎まれ口を叩く時ではありませんでしたので、補佐官にその役を譲ったのでしょう。
非核化その他の手続に関わる詳細は、爾後になるでしょうが、戦争に至る危機を回避し得たのは世界にとって幸いでした。 何しろ、米軍は、本当に戦争の準備をしていたのですから。
議会に呼ばれた米軍将官が「大統領の命令があれば攻撃出来るように準備を整えている」と答弁したのを読んだ時には、これは本当に戦争になるかも知れないと心配したのですから。
下のような発言をする有能なマティス国防長官が、最後の砦とは思っていましたが。
北朝鮮問題の軍事的解決、「想像絶する悲劇」引き起こす=米国防長官 Reuters
2017年5月20日
https://jp.reuters.com/article/north-korea-us-idJPKCN18F2A7
しかし、トンネルを抜けた今、この国の首相が掲げた世界地図を俯瞰する外交、とは一体何であったのでしょうか。 首相と外相に訊いてみたい気もしますが、無駄、と分かっていることですので云うだけ阿保らしいし、空しい気分です。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://chikyuza.net/
〔opinion7730:180615〕
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