「護憲のハガキ」をどうぞ - 個人で憲法9条擁護を訴える -
- 2018年 6月 22日
- 評論・紹介・意見
- 岩垂 弘憲法
改憲をめぐる論議が盛んだが、こうした状況に危機感を抱き、1人で護憲の運動を起こした人がいる。東京都立川市在住の竹内良男さん(68)。日本国憲法第9条全文が刻まれた碑の写真を刷り込んだハガキをつくり、「憲法と戦争と平和を考えるきっかけになってほしい」と、希望者に配布している。
竹内さんは東京で高校教員をしていたが、30年ほど前、修学旅行の生徒たちを引率して広島を訪れた。その時、被爆者の証言を聞き、衝撃を受ける。それを機に、悲惨極まる原爆被爆の実相をもっと知るために広島、長崎を訪ねるようになった。退職後も、広島を訪れ、慰霊碑を訪ねたり、被爆者の証言に耳を傾けてきた。ここ数年は、希望者を募って、慰霊碑や原爆や戦争に関する遺跡を巡るフィールドワークを組織する活動に取り組んできた。こうした活動により、竹内さんの“広島詣で”はすでに100回を超える。
その一方で、“広島詣で”のかたわら、自らが主宰して2016年1月から、東京都北区でトークセッション「ヒロシマ連続講座」を開いている。ヒロシマに関わってきたさまざまな分野の人に原爆被害や戦争の実態を明らかにしてもらい、これを何を次の世代に伝えるのが狙いだが、この講座を思い立ったのは、首都圏在住の人たちの間では、ヒロシマへの関心が低いと痛感してきたからだという。
原則として月2回、土曜日に開いており、この6月16日の講座で50回になった。
竹内さんは、昨年10月の総選挙で改憲を目指す政党が議席の3分の2以上を占めたのを受けて安倍政権と自民党による改憲への動きが本格化したことに危機感を抱き、今こそ護憲の運動を起こさねば、と思い立った。そこで、思いついたのが、以前訪れたことのある、広島市出身の詩人・栗原貞子さん(1923~2005年)の墓地に立つ「護憲の碑」の写真を刷り込んだハガキをつくり、広く普及しようということだった。なぜなら、そこに日本国憲法第9条の全文が刻まれているからだ。
栗原さんは“被爆詩人”として知られ、代表作は「生ましめんかな」「ヒロシマというとき」など。核問題にも終生、積極的に発言した。
栗原さんの墓は、広島市安佐北区可部大字勝木にある。墓石の横に大きな石碑があり、表面に「護憲」と、裏面に第9条全文が彫り込まれている。9条全文のわきには「父栗原唯一 母貞子に捧ぐ」「一九九一年二月 長女眞理子建立」と刻まれている。眞理子さんは5年前に亡くなった。
自治体や団体によって建てられた「護憲の碑」はあるが、個人によって建てられた「護憲の碑」は極めてまれだ。
竹内さんは、この表面と裏面を写真に撮り、これをはめ込んだ私製ハガキ2枚をつくった。「改憲に向けた動きが本格化するような報道がなされている今、改めてこの碑の訴えに、私たちはもう一度真摯に向き合うべきではないでしょうか」「このハガキが平和を願う人々の思いを乗せてあちこちに運ばれ、そのことを通じて、憲法と戦争と平和とを考えるささやかなきっかけになるといいな、と思います」「必要なら連絡くだされば、幾らでもお送りします」と竹内さん。
竹内良男さんの連絡先 メールアドレスqq2g2vdd@vanilla.ocn.ne.jp 電話090-2166-8611
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