「高レベル廃液をどうするつもりか?」などー地震と原発事故情報 その42より
- 2011年 4月 15日
- 時代をみる
- たんぽぽ舎
高レベル廃液をどうするつもりか?海に捨てる無能さ。
提言-使用済燃料輸送船を使え!
山崎久隆
・4月7日、韓国の金首相は日本の対応について国会での質問に答え「日本に無
能と言いたい」と発言したという。これは低レベル廃液を海中投棄したことに関
連してのものと言われているが、枝野官房長官は「真偽を確認中」とし松本外相
は「そのような主旨のコメントでは無いことを確認した」と、問題視しないのだ
そうだ。
しかし本当のことを言われて問題視するもしないも、それ以前に事前の説明も
通報も無しに放射性廃液を太平洋に放出する日本の、どこに反論できる立場があ
るというのだろう。事実、無能では無いか。
・さらに連日無能さをさらけ出しているのが、汚染水処理問題。
現在、太平洋に排出してしまった「低レベル放射性廃液」の入っていた「集中
廃棄物処理施設」に送るつもりだそうだが、この施設に「毎時1シーベルト」
(数時間で致死量に達するという恐るべき線量)という高レベル廃液を収納する
ような能力があるとは思えない。
低レベル廃液を処理する設備には低レベルの、高レベル廃液を処理する設備に
はそれ相応の能力で設計施工をするのが常識で、低レベルしか入れない設備を高
レベルでも使えるだけの防護をするのはオーバーデザインなので普通は行わない。
従って中に入れてしまえば、接近不可能な線量のγ線を放出し、漏えいが見つか
っても修理さえ出来ないだろう。
そのうえ高レベル廃液を「メガフロートに入れる」というとんでもない案が出
ている。
このメガフロートがどんな構造物なのか定かでは無いが、少なくても廃液タンク
として使えるような密封性があるとは考えられない。メガフロートとして浮かん
でいる分には多少の隙間が喫水線上にあっても問題にはならない。しかし高レベ
ル廃液タンクにはいかなる隙間も許されないのだが、そんな厳しい条件を満たす
とは到底思えない。思いつきにしても質が悪すぎる。
仮にこんなものに高レベル廃液を入れて、津波に襲われたらどうなるか。2、
3m程度でも岸壁にたたきつけられ、ばらばらになって沈没し廃液を全量海中に
放出してしまうだろう。
・ではどういうものが良いのか。
例えば世界中にある使用済燃料輸送船を全て持ってきたらどうか。使用済燃料
輸送船はダブルハル構造であり、さらにもともと使用済燃料輸送容器という高レ
ベル放射性物質を格納する容器を搭載する目的で建造されているので、タンカー
のような単なる沈没防止機構としてのダブルハル構造では無く放射性物質の放出
を防止するための構造となっている。また、火災に対する消防・防火機能、放射
性物質の漏えい監視機能、さらに放射線測定や防護設備が完備し、対テロ用機関
銃も装備している。機関銃はこの際役に立たないが、それ以外はまさしく今回の
ような放射性物質の格納にもってこいの船だ。おそらく世界中でこれほど高レベ
ル委廃棄物を格納するのに適した船舶は存在しないだろう。
これに放射性物質の回収設備を横付けすれば、そのまま福島第一原発の真ん前で
放射性廃液からの回収作業も可能だ。津波に対しても沖合に避難するなどで被災
を避けることが出来る。
いまからでも世界中の使用済燃料輸送船を集めて、廃液処理に当たるべきだ。
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この夏、本当に電力は足りないのか
自民党本部で東京電力からヒアリング
-河野太郎公式サイトから転載-
・自民党本部で東京電力からヒアリング。
東電は、今年の夏の需要をピーク時で5500万kWと予測して、それに対する
供給が、3月25日時点で揚水発電なしで3600万kW、揚水発電を入れると
3800万kW。それが今年の夏までに揚水発電なしで4650万kWに復旧す
るという。
さらに、そこから常磐共同火力と鹿島共同火力が復旧し、ガスタービン、ディー
ゼルエンジンなどを設置し、さらに自家発電の余剰購入等で揚水発電なしで50
00万kWまではめどがついたと発表。
揚水発電のベースがそれに200万kW上乗せされ、さらに揚水発電が増える可
能性もあることから、かなり供給が需要に追いついている。
・これに、さらに需給調整契約がある。今日、東電が出してきたのは需給調整契
約の一部だけ。「あらかじめ休日に工場の操業を振り替えたり、一時停止しても
らう契約」が130万kWと「電力需給逼迫時に使用を控えてもらう契約」が1
10万kW。このうち130万kWは需要予測にカウント済というが、東電の言
い値でも110万kWは需要を減らせる。
東電が出してきた以外の契約形態もあるはずだか、それについては東電は今日は
資料を出してこない。
・こうしたプレゼンに対して、1.需給調整契約の内容をきちんと出すこと、2.
中長期的な対策として火力発電所の増設が載っているが、アセス抜きなどという
無謀なことはしないこと、3.「マスメディアと提携した情報提供」という項目
に堂々とテレビCM、新聞広告、雑誌、各検索エンジンへのバナー広告などとう
たっているので、これから東電の損害賠償を議論しようという時に、これまでの
ようにコマーシャルでマスコミを黙らせようというのはとんでもない、節電を訴
える必要があるならば政府広報なり、AC(電力も入っているが)でやればいい
ことで、マスコミに資金提供するのはやめることを主張したが、まともな回答が
ないまま本会議の時間になった。再度、東京電力の出席を求め、散会。
・夏にどれだけ電力が足りないのか、それをどう補うのか、きちんと情報が公開
された状態で議論する必要がある。
・また、これまで環境省所管の法律は、原子力発電所は全て適用除外になってい
た。この国会に水質汚濁防止法の改正案が政府から提案されるので、まずこの改
正に当たり、自民党から議員立法で、原発由来の水の汚染が適用除外になってい
たのを改める改正を提案するように環境部会で提案した。この他の法案について
も全て適用除外を外し、経産省が利権を守るために環境省に手を出させないとい
うこれまでの負の構図をきちんと直す作業が必要だ。
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政策の大転換(原発やめろ)を図れ―4/15毎日新聞の社説―
・4月15日の毎日新聞社説は注目される。全体は2200字の文章。大見出しは『政
策の大転換を図れ』、中見出しは2つで「想定外」許されぬ、と依存度下げる決
意を。社説の結論は次の通り=「原発やめよう」だ。
「日本は電力の3割を原発に依存してきた。安定した電源として擁護論は強い。
原発なくして日本の経済が成り立たないのではないかという懸念もある。
しかし、経済と安全をてんびんにかけた結果としての原発震災を直視したい。
最終的には国民の判断ではあるが、原子力による電源に頼らなくても、豊かに暮
らすための知恵を絞りたい。
そのためには、温暖化対策で注目された再生可能エネルギーの促進や低エネル
ギー社会の実現がひとつの鍵となるはずだ。地震国日本に適した電源と、それに
基づく暮らし方を、今こそ探っていく時だ。」
・大手新聞の中で初めて見る見解文だ。
私たちはこの見解を歓迎する。(柳田)
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