「原発のない経済考えよう」 -傾聴すべき浜矩子教授の発言-
- 2011年 4月 26日
- 時代をみる
- 「原発なしでいける日本経済を」岩垂 弘浜矩子連合通信社
「原発なしでいける日本経済を」。経済関係の評論で知られるエコノミストの浜矩子・同志社大学教授が、東京電力の福島第一原子力発電所事故を受けて、そう語った。連合通信社のインタビューに答えたものだが、注目すべき発言と言っていいだろう。
浜矩子教授へのインタビューは、4月12日に行われ、同通信社発行の「連合通信 隔日版」8451号(2011年4月19日付)に掲載された。
それによると、記者の質問とそれに対する浜教授の回答の一部は次のようだ。
――原発事故で住民が避難を強いられ、福島県を中心に雇用や生活を壊されている現状をどう見るか。
「あってはならないことで腹立たしい。責任を取るべき人たちの愚行で、罪なき人が犠牲を払わされている。
事故が起きたのは、政府や電力業界が原子力しという未解明の分野に対する畏敬の念を忘れて、ごう慢になっていたからだ。日本はロボット開発で世界一流の技術を持つのに、米国やフランスから借りて事故拡大を防ごうとしている点からも分かる。最悪の事態への備えは当たり前だが、『それは起きない』と間違いを認めてこなかった。金融界が金融に対する『健全なる恐れ』を欠いてリーマンショックを招いた構図と同じだ」
――政府や電力業界の原発推進政策への見解は?
「原発の周辺地域に活性化名目で多額の補助金を出して、地元もその論理に押し切られた。その結果、日本中がまるで石を投げれば原発に当たるようになってしまった。補助金の代わりに米軍基地を引き受けさせている沖縄なとに対するやり方と似ているのでは」
――原発は日本に必要?
「畏敬の念をもって使いこなせないのであれば、原発なしでいける経済生活を考えたい。日本は人口減少社会で、電力需要は将来的に伸びないだろう。震災後から続く節電でも生活できることが明らかになった」
――東日本大震災も含めて世界経済への影響も心配されている。
「東北地方でシェアを占めていた部品供給が止まり、スペインで自動車が製造できなくなる事態が生じている。グローバル経済とはそういうものであり、日本は国際的に大きな責任を負っている事態もよく見えてきた。それだけ日本政府と首都圏の電力供給を担う東京電力は、世界経済に重責を担っている。事故認識の甘さや閉鎖的な体質をさらしていることは恥ずべきことだ」
(注)連合通信社(本社・東京都港区芝1-4-9。電話03-3454-1105)は労働団体、市民団体などにニュースを配信している通信社。
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