ローマ教皇のメッセージに賛同する - 平和アピール七人委がアピール -
- 2019年 11月 30日
- 時代をみる
- ローマ教皇岩垂 弘平和
世界平和アピール七人委員会は11月28日、「ローマ教皇の長崎・広島でのメッセージに賛同する」と題するアピールを発表した。同月23日に来日したローマ・カトリック教会のフランシスコ教皇は24日、原爆被爆地の長崎と広島でメッセージを発したが、七人委はその内容を高く評価し、それに全面的に賛同するとの見解をまとめ、それをアピールという形で発表した。
アピールは、教皇がメッセージの中で述べた内容は、日本国憲法第九条の精神に合致するものであり、さらに、一昨年に国連で採択された核兵器禁止条約の趣旨にも合致すると述べている。
世界平和アピール七人委は、1955年、物理学者・湯川秀樹らにより、人道主義と平和主義に立つ不偏不党の知識人有志の集まりとして結成され、国際間の紛争は武力で解決してはならない、を原則に日本国憲法擁護、核兵器禁止、世界平和実現などを目指して内外に向けアピールを発表してきた。今回のアピールは135回目。
現在の委員は、武者小路公秀(国際政治学者)、大石芳野(写真家)、小沼通二(物理学、慶應義塾大学名誉教授)、池内了(宇宙論・宇宙物理学、総合研究大学院大学名誉教授)、池辺晋一郎(作曲家)、髙村薫(作家)、島薗進(宗教学、上智大学教授)の7氏。
アピールの全文は次の通り。
ローマ教皇の長崎・広島でのメッセージに賛同する
世界平和アピール七人委員会
武者小路公秀 大石芳野 小沼通二 池内了 池辺晋一郎 髙村薫 島薗進
2019年11月24日、フランシスコ教皇は長崎爆心地公園と広島平和公園で二つのスピーチを行った。そこで教皇は、1945年8月に広島・長崎に投下された原爆により尊い生命を失った人々、その後も苦しみと悲しみのなかで生きてこられた方々の苦難を思い起こしながら、その悲劇を忘れてはならない、繰り返してはならないと述べている。
教皇は「原子力の戦争目的の使用は、倫理に反します。二年前に私が言ったように、核兵器の所有も倫理に反します」「核兵器は、今日の国際的また国家の、安全保障への脅威からわたしたちを守ってくれるものではない、そう心に刻んでください。人道的および環境の観点から、核兵器の使用がもたらす壊滅的な破壊を考えなくてはなりません」、さらに核兵器や大量破壊兵器の所有について「それは、恐怖と相互不信を土台とした偽りの確かさの上に平和と安全を築き、確かなものにしようという解決策です。人と人との関係をむしばみ、相互の対話を阻んでしまうものです」と明言している。
現代世界の代表的な宗教指導者のこれらの言葉は、すべての人々の良心に訴えたものであり、とくに原爆投下による悲惨な結果を忘れることない日本の多くの人々の心に響くものである。同時に、それは日本国憲法第九条の精神に合致したものである。
フランシスコ教皇の二つのメッセージは、2017年に国連で採択された核兵器禁止条約の趣旨にも合致したものである。そして日本を含め、この条約を受け入れようとしない国々の政治指導者が頼る「核抑止力」という偽りの理論を問い直してもいる。核兵器をめぐる日本の政府与党の現在の姿勢が厳しく問われていることも明らかである。
私たち世界平和アピール七人委員会は、この力強いメッセージに深く共鳴し、その趣旨に賛同し、それが広く共有されることを願う。とくに、現代世界の宗教や学術や文化活動に携わる人々からも、こうした声がさらに高まっていくことを強く期待したい。
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