3月10日、NHK「ニュース7」は、明らかに放送法第4条違反~毎度おなじみの尾身茂氏
- 2020年 3月 11日
- 評論・紹介・意見
- 内野光子
きょう、午前中から参議院予算委員会の公聴会が開かれていた。「公衆衛生・新型コロナウイルス対応」「新型コロナウイルスが内政に与える影響」「内政・外交の諸課題」の公述項目ごとに公述人2名が出席したのだが、午前中には、「公衆衛生・新型コロナウイルス対応」について、自民推薦の、政府の専門家会議の副座長で地域医療機能推進機構理事長の尾身茂と医療ガバナンス研究所理事長の上昌広の二人が、意見を述べていた。
夜7時「ニュース7」のコロナウイルス関連のニュースの解説者として尾身氏が登場、前日の専門家会議の記者会見、公聴会での公述で話していたことの繰り返しで、国民の心がけみたいな話が続き、まさに、自民党政府の代弁に過ぎなかったのである。コロナウィルス対応に限らず、今日の公聴会のニュースは後ろに回るのかな、とみていたが、ついに伝えられなかった。政府の第2弾の緊急対応策や海外イタリアや中国の感染・対応状況などを詳しく報じ、最後に、ローソンが学童保育におにぎりを配ったというニュースなどで締めくくるのである。
これって、おかしくない?と、NHKふれあいセンターに電話した。
〇なぜ、自民党推薦の公述人の解説だけなのか、公聴会の報道がなぜなされないのか。
⇒そういうご意見があったことを伝えます。
〇考え方が違う、意見が分かれる場合は双方を提示するのが公共放送ではないのですか。
⇒そういう意見があったことを伝えます。公聴会のほかの公述については、データ放送、、ウェブニュースで読むことができます。
〇7時のニュース内で、他のニュースを排しても、異なる意見も伝えないといけないのではないか、こういう意見は多いのではないですか。
⇒そういうあなたのような意見もありますが、尾身さんの話を聞きたいという視聴者もいます。
一瞬「?」、私の方が言葉に詰まったが、いつも”の対応である。一方通行の”ふれあい”センターなのである。センターののスタッフはNHKの職員ではなく、外部委託の人たちだからか、放送法を全く理解していないのだろう。 これは、あきらかに、放送法の「第4条 放送事業者は、国内放送及び内外放送(以下「国内放送等」という。)の放送番組の 編集に当たつては、次の各号の定めるところによらなければならない。 一 公安及び善良な風俗を害しないこと。 二 政治的に公平であること。 三 報道は事実をまげないですること。 四 意見が対立している問題につては、できるだけ多くの角度から論点を明らかに すること。」の「政治的な公平」「意見が対立している問題には多くの角度からの論点明示の必要」に違反しているのだ。
そして、改めて「NHKwebニュース」を検索してみた。「参院予算委公聴会新型ウイルスへの対応で有識者2人が意見( 2020年3月10日 13時21分)」の記事は、以下の見出しで確かに掲載されていたのだが、午後のニュースで放映されたかはわからない。
自民推薦 尾身(茂)氏「人的・財政的な支援を講じるべき」
立民など会派推薦 上(昌広)氏「 検査体制の拡充を」
さらに「参院予算委公聴会 新型コロナウイルス影響などで4人が意見 (2020年3月10日 18時59分)」というニュースも出てきた。「ニュース7」ではもちろん放映されなかったニュースであるが、「4人」は、以下の見出しが付けられ、紹介されていた。
自民推薦 熊野(英生)氏「五輪 最悪でも延期など中止避けるアイデアを」
共産推薦 野村(幸裕)氏「すべての働く人たちの条件向上を」
公明推薦 大日向(雅美)氏「子どもたちは窮屈な思い」
維新推薦 三浦(瑠璃)氏「率先してリーダーシップを」
こうしてみると、webでは、その日の公聴会の計6人の7時間に及ぶ公述・質疑は、大きな写真とともに掲載されても、各人数行づつしかその内容が紹介されなかったことになる。しかも、上の小見出しに見るように、各公述人の意見の相違点や論点はまるで見えてこない。
民放の報道番組の解説者としても登場している上氏は「PCR検査が進まないのは、厚生労働省とその下にある国立感染症研究所のコントロールがあるからだ」という意見を公聴会でも述べていたが、もちろんそれへの言及はなく、NHKは、一番視聴率の高いニュース番組では、専門家会議の副座長尾身氏の解説だけを重用したことになる。編集権なんて言うものではない。もはや、情報操作、印象操作による政府広報ではないか。
初出:「内野光子のブログ」2020.3.7より許可を得て転載
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〔opinion9530:200311〕
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