新新新型コロナウィルス?
- 2020年 5月 10日
- 評論・紹介・意見
- 藤澤豊
新型コロナウィルスが一般名としてすっかり定着しているところに、面倒なことを言いだすなって思われるだろう。でも新型の新型がずいぶん出てきているのに、今定着している新型と新型から派生してきた新型をなんて呼ぶんだろうと、要らぬ?心配をしてしまう。
2020年2月13日付の日経メディカルに「病名はCOVID-19、ウイルス名はSARS-CoV-2」と題した記事がある。何か月も前のもので、マスメディアも含めた報道機関が知らないはずはないと思う。
要点だけ引用する。
「WHOは2月11日、新型コロナウイルス感染症の正式名称を「COVID-19」とすると発表した」
「COVID-19の「CO」は「corona」、「VI」は「virus」、「D」は「disease」の意味」
「ウイルス名については、国際ウイルス分類委員会(International Committee on Taxonomy of Viruses:ICTV)が2月7日までに、SARS(重症急性呼吸器症候群)を引き起こすウイルス(SARS-CoV)の姉妹種であるとして「SARS-CoV-2」と名付けている」
記事のurlは、https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/t344/202002/564301.html
Yahoo Japanニュースでも4月21日付けで「どんなウイルスで、どのように感染するのか? 新型コロナウイルスのそもそも論」と題する記事で詳しく解説している。
記事のurlは、https://news.yahoo.co.jp/byline/minesotaro/20200421-00174406/
COVID-19もSARS-CoV-2も学術名だし、分かりにくいから新型コロナウィルスでいいじゃないかと思わないわけじゃない。社会的な立場のある人たちや報道機関がそう言ってるんだし、それでいいんじゃないかというのも分かる。
ところが新型が突然変異を起こして、新しい新型(というのもへんな呼び方)がいくつも出てきたら、なんて呼ぶんだろうと気になりだした。それと言うのも、4月15日には、Yahoo Japanニュースで新型コロナウィルスと呼んでいるものに、少なくとも既にA型、B型、C型の三種類があると下記のニュースで伝えている。
「ウイルス発生源、欧米学者が突然変異説:武漢発生源という証拠なし?」
urlは、https://news.yahoo.co.jp/byline/endohomare/20200415-00173491/
まあ新型の新型が三種類ぐらいなら、コロナウィルス新型A、コロナウィルス新型B、コロナウィルス新型Cとでも呼べば事足りるかもしれないと思っていた。
下記、素人の雑な説明で至らない点があると思う。ご容赦を。
新型コロナウィルスは寄生主に感染してRNAを複製して増殖する。NDAのように二重らせんであれば、二重らせんの 一方が他方の鋳型の役を果たして、複製の際のミスを修復する機能があるが、RNAは一本のため、発生したミスが修復されないまま残る。遺伝子がRNAのウィルスは突然変異を起こしやすい。
突然変異がA型、B型、C型の三種類で終わるわけもないだろうとWebで情報を漁っていたら、驚くものが出てきた。
Hindustan Timesに5月8日付けの下記のニュースがあった。
「Not every virus mutation is issue of concern, say experts」
urlは下記の通り。
https://www.hindustantimes.com/india-news/not-every-virus-mutation-is-issue-of-concern-say-experts/story-P5Ta4Av0aHGG7Qo6uaS1pO.html
表題を意訳すれば、「突然変異で生まれた新しいウィルスのすべてが健康被害をもたらすわけではない」とほっとする記事にみえる。ところが、読み進めると次の記述がある。
「Researchers around the world have identified dozens of mutations that they said has made the virus more lethal or transmissible, or both, which has fuelled uncertainty about the future, but experts say there is no significant mutation to suggest change in viral behaviour.」
意訳すれば、「(A型、B型、C型どころか、) すでにdozens of mutations=数ダースの新型が発見されていて、どれもが生命を危険にさらす、感染し易さの点では強力で先が心配だが、新型コロナウィルスと性格に大きな違いはないと考えられる」になる。
続けて次が心配になる。
「Los Alamos National Laboratory in the US recently caused alarm when they identified 14 mutations, of which “the mutation Spike D614G is of urgent concern」
アメリカのLos Alamos国立研究所で14種類の突然変異を発見しているが、そのなかのSpike D614Gは緊急の懸念としている。
突然変異はまだまだ続くだろうし、蔓延しているA型やB型、C型より強い新種がでてくる可能性がある。そこで、新型とひとまとめにしているわけにはいかないだろう。新型の新型の新型もないだろう。となると行き渡っている新型コロナウィルスという名称に続く通称を作り続けるのか、それとも学術用語をそのままか、簡略化した名称を使うのことにするのか。いずれにしてもそう遠くないうちに、新しい名前がでてくるだろう。
そしてワクチンはそれぞれの型に特化したものとして開発されるから、手ごわい新型が出てくるたびに、専用のワクチンの開発ということになる。やっと開発したはいいけど、次の流行は新種の新型コロナウィルスで大した効果がないなんてことも起きる。
インドの新聞記事、と思われる方もいらっしゃるかもしれない。あまり知られていないが、インドは世界で最も進んだワクチン開発国であり、最大の生産国でもある。アメリカの大手製薬メーカが販売している薬のなかには、インドの製薬会社が開発して製造しているものもある。
Google Chromeで「エイズの薬はインド製」とでも入力して検索すれば、興味深い記事がいくつも出てくる。
Private homepage “My commonsense” (http://mycommonsense.ninja-web.net/)にアップした拙稿に加筆、編集
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://chikyuza.net/
〔opinion9735:200510〕
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