都知事選結果へのコメント このままでは前途がない野党勢力
- 2020年 7月 8日
- 時代をみる
- 岩垂 弘都知事選野党
「小池勝利」は予想されていたことだから、とくに感慨はない。だが、野党勢力について言えば、敗北するにしても、もう少し健闘するのではないかと私は思っていた。
なぜなら、小池候補はこの4年間の都政にこれといった業績を残していない上に、選挙直前に、その経歴に疑問を呈する本が刊行されたからである。さらに、このところ、安倍政権への支持率が下降しつつあることに象徴されるように、小池候補が属する保守陣営に対する有権者の信頼がゆらぎ、その分、リベラル・左翼を中心とする野党勢力への期待が増すのでは、などと考えていたからだ。が、野党勢力は予想以上の惨敗ぶりであった。
なぜ、惨敗したのか。それについては、すでに論評され尽くされているから、ここで繰り返すのは野暮というものだろう。でも、すでに言い尽くされたことを、この際、あえて一言いっておきたい気持ちを抑えることができない。
政治の世界では、野党が与党に勝つためには、これだけは忘れてはならないという必須条件が2つあると思う。一つは、野党が別々に候補を立てるのではなく、統一候補を立てるということだ。「敵」が候補を一本化して迫ってくるというのに、野党の側がバラバラでは勝てっこない。こんなことは、いわば常識である。もう一つは、選挙戦を開始するのは早ければ早いほどいい、ということだ。これもまた常識だ。
しかし、今回の都知事選では、こうした常識が顧みられなかった。野党勢力が小池都政に代わる都知事を誕生させたいという意欲があったら、4年前の都知事選の直後から、次期都知事選に向けての準備をスタートさせるべきであった。具体的には、その時点で野党統一候補を決め、それを支える地盤固めと有権者への働きかけに全力を傾けるべきであったが、そんな気配はついにみられなかった。
結局、今回の知事選では、公示直前に統一候補の擁立に失敗し、都知事選に臨む野党陣営の陣立ては、立憲民主・共産・社民、国民民主、れいわ新選組という3頭立てになった。これでは、勝てっこなかった。こうなってしまったのには、野党第1党の立憲民主党の執行部の責任が大きい、と思えてならない。
私が強調したいのは。こうした野党陣営の「常識違反」が今回の都知事選に留まらないということだ。いや、終戦から75年間、野党陣営はずっとこうした「常識違反」を国政で繰り返して来たように思う。こうした状況から脱しない限り、おそらく野党陣営は政権を
取れないだろう。
総選挙が近い。そこでは、こうした「常識違反」を繰り返さないで、と望む有権者が少なくないはずだ。
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