選択肢はデモ・国会論戦・内部告発 ―後期高齢者の安倍政権評価―(4)
- 2020年 9月 26日
- 時代をみる
- アベスガ半澤健市
菅義偉政権が目指すのは安倍「ファシズム体制」の継続である。
そのための具体的な目標は次の三つであろう。
一つは、「モリ・カケ・サクラ・案里」の実態を開示しないこと。
二つは、新自由主義政策を強力に推進すること。
三つは、「日米同盟」を深化させること。
《「ファシズム体制」の理屈と現実》
過去三回で述べたように、安倍政権は「戦後民主主義」の常識を食い破って、国民を「体制」内に包み込んだ。議員数で自己を正当化し、内閣人事局で官僚を、自党執行部の公認権独占で国会議員を、独裁権力下に置いた。メディア制圧は、企業経営者層との会合と電波法をタテにした総務省による恫喝で完成に至った。
私のいう「ファシズム体制」の構図はあくまでも「理屈」である。政治の現実は「人間関係」が入るから構図とちがう展開もあるだろう。「モリ・カケ・サクラ・案里」は、その一つでも真相がばれれば内閣が吹っ飛ぶ案件だ。だから菅は、加藤官房長官と二階幹事長を主軸に「絶対国防圏」の体制を敷いた。
《しぶとく生き続ける「新自由主義」》
菅が発した唯一の理念である「自助・共助・公助」は自らネオリベの原理を公然と表現している。安倍は世間の苦労を知らぬ人生を、菅は苦労を知りすぎた人生を過ごしてきた。そこで「自助」の精神が「理念」となった。「俺は自助で成功した」のだから「自助」が最初にきて何が悪いのかというわけである。
新自由主義は、90年代の幾つかのバブルとその崩壊、今世紀のリーマン恐慌を経て、大きな視野でみれば批判の対象となっている。しかしアジアの新興国では、国民の欲望をバネにして、まだこの過酷なリアリズムへの支持が続いている。
日本でも小泉純一郎が「自民党をぶっ潰す」と言って以来、全国民的な批判は起こってはいない。若者にはこのイデオロギーは自明の思想である。菅首相は組閣直後に竹中平蔵と会談している。新自由主義による新既得権者から更に学ぼうというメッセージである。
《「日米同盟」=「主人とドレイの関係」は深化する》
米エスパー国防長官は最近、全ての同盟国に防衛費をGDP比2%にするよう要望した。日本の場合なら約11兆円であり現状に更に6兆円程度の増額となる。
トランプ再選の有無に拘わらず、米国の同盟国への要求は次第に増大するだろう。中古武器を買わされて「日米同盟」は深化する。通訳なしで英語をしゃべる河野某のような人物が軍産複合体の愛玩犬に擬せられているかも知れない。
《この惨状から脱出する選択肢は何があるか》
内戦・革命・テロ・クーデター・内部告発・街頭デモ・国会論戦。2020年代の日本では、後ろ三つが実現可能であろう。それも強い圧力を撥ねのけてだ。難関である。後期高齢者による安倍政権評価の第四弾を終わる。(2020/09/20)
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