「脱原発100万人アクション」の報道点検─大手紙と地方紙に大きな落差
- 2011年 6月 14日
- 時代をみる
- 「脱原発100万人アクション」新聞報道の落差鈴木顕介
「6.11脱原発100万人アクション」の呼びかけで6月11日全国で集会、デモ行進など様々なイベントがあった。新聞各紙の報道を通じてみると、6.11行動はネットを通じた呼びかけに応え全国的に大きく広がった、不特定多数の市民が参加する新しい形の市民運動であった。地方都市では一つ一つの規模は地域の大きさを反映して小さいものが多かったが、組織とかかわりのない自主参加が際立った。もうひとつ目立ったのは、この行動の報道をめぐる大手紙間の取り上げの大きな違いと、地方紙の熱心な姿勢である。在京各紙の紙面点検と、共同通信社のウェブサイトから見た地方紙の扱いから報告する。
6.11行動が全国でどのくらいの広がりを見せたかその実数をつかむのは難しいが、6日にアップされたちきゅう座「催し物案内」を見ただけでも、数多くのイベントがあったと推測できる。朝日新聞は国内約140カ所、毎日新聞は130カ所と伝えた。その中でも東京の規模が最大で、新宿駅周辺の集会に主催者発表で2万人(朝日)が参加した。「催し物案内」から見ただけもこれ以外に8カ所で集会、デモがあったとみられる。
全国各地での6.11行動を地方各紙をつないだ共同通信のウェブサイト「47NEWS」からみると[( )内は地方紙名]、次の各地でイベントがあった。
『さよなら原発、思いを込めて3千人がデモ』(神奈川)、東京以外では横浜が最も大きな集まりだった。次いで福岡、『音楽鳴らし「脱原発」、天神で若者1000人がデモ』(西日本)、『「脱原発」岐阜でも集会、トラクター先頭に500人が行進』(岐阜日日)、『脱原発訴えデモ、つくば』(550人参加、茨城)、『原発廃止訴え街頭パレード 岡山、倉敷で連呼、被災者と交流会も』(500人参加、山陽)。『もう原発はいらない、全国各地で集会やデモ』(500人参加、神戸)─同紙は小出裕章京都大助教の市民学習会「原発の安全神話を考える」は定員の5倍の参加と伝えた。『震災3カ月で脱原発パレード』(300人参加、中国)─同紙は広島のほかは福山市、山口市、松江市でもパレード、署名活動があったと報じた。
これら以外に活動のあった都市は─青森70人(東奥日報)、秋田50人(秋田)、さいたま120人(東京)、大町70人、下諏訪150人、松本200人(信濃毎日)、福井100人(福井)、伊勢70人(伊勢)、高島100人(中日)、大津120人(同)松江、鳥取での署名活動(日本海)、松山200人(愛媛)、高知、四万十で計180人(高知)、長崎170人(西日本)、鹿児島100人(同)、熊本100人(熊本日日)、奄美40人(南日本)。
地方各紙はたとえ少人数でも地元の活動をきっちりと伝えている。報道した新聞は17紙(在京紙である東京を除く)、29都市での運動が報じられた。地方紙に比べ在京大手紙の扱いは朝日を除いて極めて小さいか、全くの無視であった。朝日は1面と第2社会面4段、ともに写真付きで大きく報じ、脱原発へと舵を切った紙面構成を見せた。それ以外の在京各紙は読売、毎日、東京新聞が第2社会面で一段扱いと目立たない小記事にとどまり、日経、産経新聞は取り上げなかった。東電福島原発事故をきっかけに原発存否が国民的論議となる中で、注目されるマスメディアの対応姿勢が「6.11脱原発100万人アクション」の報道で浮き彫りにされた。(注:東京新聞が遅番で掲載したので差し替えました)
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
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