反原連が「金曜官邸前抗議」の休止へ 福島第1原発事故10周年を前に休止を惜しむ声
- 2021年 1月 13日
- 時代をみる
- 原発反原連岩垂 弘
東日本大震災に伴って生じた東京電力福島第1発電所事故以来、毎週金曜日に東京・霞ヶ関の首相官邸前で続けられてきた首都圏反原発連合(反原連)による「原発再稼働反対!首相官邸前抗議」(金曜官邸前抗議)が、今年3月末に休止する。この金曜官邸前抗議は、福島第1原発の事故以来、東京都内で継続的に行われてきた反原発運動のシンボル的な催しだっただけに、その休止を惜しむ声が反原発運動関係者から上がっている。
反原連は、福島第1原発事故をきっかけに、反原発を目指す個人やグループによって2011年9月に設立された。そして、2012年3月から毎週金曜日に首相官邸前の歩道に集まって「原発再稼働反対」を叫ぶ活動を始めた。それまでの、公園などで大規模な集会を開き、都心をデモ行進するという反原発運動とは違ったスタイルの運動だったこともあって注目を集め、時には多数の人々が官邸前の歩道を埋め、道路に溢れた。こうした活動が9年間も続けられたので、それは国会議事堂周辺の一風景として定着した感があった。
ところが、その首相官邸前抗議を今年3月末で休止するとのステートメントが、昨年10月2日、反原連から発表された。そこには「休止の理由としては、マンパワーの温存に限界があること、脱原発運動が市民運動の中心から外れてくるに従い寄付金が減少し、これまでの多岐にわたる活動内容に対し、運営資金の捻出が難しくなってきたことがあげられます」とあった。
そして、ステートメントは、これまでの自らの活動を「何かあれば官邸前、国会前に集まり意思表示をするという方法とスタイルは、SEALDs(自由と民主主義のための学生緊急行動)の活動などに広がり、現在も多くのグループ・団体が様々なイシューで実施しており、市民運動において、ひとつの役割は果たしたものと考えています」と総括していた。
これに対し、反原発運動関係者は「金曜官邸前抗議がなくなるなんて、なんとも残念だ」ともらす。
関係者によれば、金曜官邸前抗議は、「経産省前テントひろば」と並んで、福島第1原発事故以来、東京都内で日常的に継続されてきた反原発運動のシンボルだった。
「経産省前テントひろば」とは、福島第1原発事故が起きた2011年の9月に、脱原発を訴える市民グループが、東京・霞ヶ関の経済産業省の敷地内に張ったテントのことだ。市民グループの人たちは24時間体制でテントに詰め、脱原発を訴え続けた。テントは2016年8月、不法占拠として強制撤去されたが、市民グループはその後も経産省前の歩道で、毎日正午から夕方まで、「脱原発」の旗を掲げて座り込んでいる。
その関係者が言う。「金曜官邸前抗議がなくなれば、日常的な反原発運動はおれたちだけになってしまう。今年は福島第1原発事故から10年だが、事故はまだ終息していないし、被災地の復興も未達成。なのに、菅政権は原発再稼働を推進しようとしている。反原発運動を再び盛り上げなくてはならない時なので、金曜官邸前抗議の休止は痛い。思い直してこれからも続けてくれるといいのだが」
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