右翼過激組織全国一斉蜂起 標的は就任式のバイデン新大統領
- 2021年 1月 17日
- 時代をみる
- 鈴木顕介
今アメリカでは20日(米東部時間、日本時間21日)のバイデン新大統領の就任式を前に、13日(日本時間14日)下院で民主党のペロシ下院議長が提出したトランプ弾劾決議案が成立した。一方、右翼過激グループによる20日の就任式襲撃計画が次々明らかにされ、首都ワシントンでは厳戒態勢が取られ、緊張が高まっている。
トランプ大統領弾劾決議は民主党のペロシ下院議長が提出、共和党下院議員10人を含む
賛成232反対197で可決された。トランプ大統領が6日議会周辺に集めた支持者に「徹底的に戦わなければ、国は成り立たない」と議会乱入をした責任は、弾劾による罷免に値するとして出された。通常裁判の起訴に当たるもので、罷免には上院の裁判で出席議員の2/3の賛成が必要。現上院は共和党が多数派、マコーネル共和党院内総務は、トランプ弾劾裁判を任期内に開かない意向。新上院の両党議席は50対50で議長の新副大統領の票によって民主党が過半数を抑える。成立には共和党議員18人の賛成が必要となる。
治安当局が最も警戒しているのは、極右過激派組織によるバイデン大統領就任式を武力攻撃して、アメリカの民主主義制度そのものを破壊する企てである。
FBI(連邦捜査局)レイ長官は14日―20日の就任式前にもバイデン次期大統領、ハリス時期副大統領、ペロシ下院議長を襲って危害を加える。過激組織が連携して16日から20日にかけ武装した抗議行動で全米50州の州都で政府機関、裁判所を襲撃する―計画をつかんでいることを明らかにした。
NBC放送はトランプ支持の過激派がインタネット上で「19日に武器を持って軍、警察を圧倒する勢力でワシントンに結集する」と呼び掛けた。議場乱入者を”英雄”とたたえるサイトには「20日の第2場はお慈悲抜きだ。トランプ支持はどうでもいい。やるのは戦争だけだ」と匿名の人物が書き込んだと報じた。
バイデン大統領の就任式はこの治安不安によって非常事態宣言が出され、一方コロナ感染者世界最大2353万人(16日現在)のパンデミック下で開かれる。
大統領警護のシークレットサービスの指揮下、周辺各州から動員された15000人の州兵によって議事堂とその周辺には立入り制限が敷かれ、19日からワシントン全体が完全に封鎖される。
伝統的な議会西側の階段上での就任式は20日正午から始まる。式次第には変わりはない。見物人であふれる議事堂に続く芝生のモールの完全封鎖も検討され、ホワイトハウスに通じるペンシルべニア通りはには見物席は設けられない。20万人の一般市民着席券が出される就任式場前の席は1000枚に止められた。バウザーワシントン市長は、この状況下での就任式参加を止め、ネット上に止めるよう呼び掛けている。
敗北を認めないトランプ氏は列席を拒否、共和党からはペンス副大統領、トランプ氏の長女イバンカさんが列席を表明している。トランプ氏はこの朝ホワイトハウスを去り、大統領専用機でフロリダに飛ぶ予定。そこに集めた支持者に改めて不正選挙をアピール、次期大統領選への立候補表明と支持を呼び掛けるのではないかとの推測を呼んでいる。
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