本間宗究(本間裕)の「ちきゅうブッタ斬り」(294)
- 2021年 2月 9日
- 評論・紹介・意見
- 本間宗究本間裕金融
1945年の日本
今後の注目点は、「デリバティブの時限爆弾」が破裂し、「世界的な大インフレ」が始まる事態、すなわち、世界的な「金融戦争」が終戦を迎える事態だと考えているが、この点に関して参考になるのが、「1945年の日本」のようにも感じている。つまり、「神風特攻隊」という「自殺的な行為」ができなくなった時に、国内で「空襲」が始まり、その後、「原爆投下」という悲惨な事件にまで至った展開のことである。
あるいは、「史上最悪の作戦」と呼ばれた「インパール作戦」が実施され、数万人の犠牲者が出た状況のことでもあるが、基本的には、「軍部の暴走が極まった結果、国民が甚大な被害を受けた状況」を象徴した時期だったようにも感じている。つまり、終戦までの数か月間については、日本の歴史において、最も悲惨な時期だったものと感じているが、今回の「デジタル革命バブル」を考えると、「2021年が、どのような年になるのか?」について、きわめて危機的な想いを抱かざるを得ないのである。
具体的には、「紙幣の大増刷」が世界的に実施され、「金融界の白血病」が世界全体を襲う事態のことでもあるが、基本的には、「大膨張したマネー」が、「目に見えないデジタル通貨」から「目に見える紙幣」に変化する状況のことである。別の言葉では、「デジタル通貨で成り立っている金融商品」が消滅することにより、「大量に印刷された紙幣が、一挙に、小さな市場規模の実物資産に流れ込む事態」のことである。
つまり、人類史上、最大規模の「ボトルネック・インフレ」が発生する可能性、すなわち、世界中の人々が、一斉に、「貴金属や食料品などに殺到する事態」を憂慮しているが、実際には、「日々刻々と、さまざまな商品価格が上昇中」という展開となっているのである。そして、この点に関して、驚かされる事態は、いまだに、「国家の借金が増えても問題はない」という意見が、頻繁に見られる状況である。
別の言葉では、いまだに「アベノミクス」に対する「過度な信頼感」が存在する状況とも思われるが、この点については、第二次世界大戦の時期に、「大本営発表」が繰り返され、また、「特高警察」の存在により、国民の行動が制限された状況が参考になるものと考えている。つまり、「日本国民の無明(むみょう)」という「どのような事態が発生しているのかを、国民が、ほとんど理解していなかった」という理由により、「1945年の日本」という悲惨な状況が発生したわけだが、この点を、現在の状況に当てはめると、「今回の方が、はるかに悪化した事態になっているのではないか?」とも感じている。(2021.1.4)
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悪魔のひき臼
名著「大転換」の著者である「カール・ポランニー(1886年-1964年)」は、「マネー理論」についても卓越した意見を持っていたが、具体的には、「貨幣の量は、たまたま貨幣として機能している財の需給によって決定される」と述べているのである。つまり、当時の状況としては、「たまたま貨幣として機能している財」、あるいは、「間接的交換手段として使用される商品」が「金や銀などの貴金属」だったことも見て取れるが、私の関心事としては、「仮に、ポランニーがニクソンショック後の世界を見たら、どのようなコメントを述べるのか?」ということである。
つまり、現在のように、「デジタル通貨」と呼ばれる「影も形も存在しない、単なる数字」が「貨幣の財」となっている状況については、大きな驚きと危機意識を持つものと思われるが、その理由としては、「土地と労働の市場経済化、あるいは、商品化」に関して、痛烈な警告を発していたからである。具体的には、「大自然を象徴する土地」、そして、「人間を象徴する労働」が「貨幣の量」によって決定されるとすると、「マネーの大膨張」がもたらすものは、まさに、「悪魔のひき臼」という言葉のとおりに、「大自然」と「人間の心」の「破壊」とも想定されるのである。
このように、「ポランニーのマネー理論」については、きわめて重要なポイントを指摘しているが、残念なことは、実際の「市場経済」、あるいは、「人間社会」の分析に関して、より複雑な要素を加える必要性が存在した点である。別の言葉では、「大転換」の時期に関して、「第二次世界大戦の終了時」を想定したようだが、実際には、「戦争による破壊」だけでは不十分な状況だったものと考えられるのである。
つまり、現在は、「悪魔のひき臼」により、「人間の心」が完全に「粉々の状態」となり、また、「大自然」が「人間を淘汰し始めている状況」とも思われるが、この点については、「たまたま貨幣として機能している財」である「デジタル通貨」が、無制限に大膨張が可能な性質を持っているからとも考えられるのである。
別の言葉では、「西洋文明の産み出した富」については、最後の段階で、「目に見えないデジタル通貨」となり、大量の「デリバティブ」という金融商品を生み出したわけだが、現在では、本当の「大転換」である「西洋文明から東洋文明への移行」が始まっており、この点に関して時に重要なポイントは、「心のルネッサンス」であり、実際には、「粉々の状態となった人々の心が復活を始める事態」だと考えている。(2021.1.6)
本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。
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〔opinion10541:210209〕
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