本間宗究(本間裕)の「ちきゅうブッタ斬り」(298)
- 2021年 3月 10日
- 評論・紹介・意見
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権力の暴走からマネーの暴走へ
カール・ポランニーの「大転換」という著書では、「労働、土地、そして、貨幣の市場経済化、あるいは、商品化」が説明されているが、実際には、「多様な社会の結合や画一化」によって引き起こされる「マネーの大膨張」、すなわち、「悪魔のひき臼」により「西洋の唯物文明が完成とともに崩壊の時期を迎える状況」が述べられているものと感じている。ただし、この書が完成した「1944年」は、ご存じのとおりに、「第二次世界大戦の終焉期」であり、この時に彼が感じたことは、「第二次世界大戦により、市場経済化の大転換が発生する」ということだったものと想定されるのである。
つまり、「労働や土地、そして、貨幣の商品化が終了し、今後は、たいへん素晴らしい時代が訪れるのではないか?」と理解した可能性のことだが、実際には、「1945年から現在までが、彼の理論が具現化した状況」だったものと考えられるのである。別の言葉では、「グローバル化の進展」という「実体経済のみならず、マネー経済のグローバル化」までもが具現化した状況のことであり、実際には、「貨幣の商品化」のことである。
より詳しく申し上げると、「1971年のニクソンショック」以降、私が提唱する「信用本位制」の時代が始まり、「金融商品の大膨張」という「貨幣の商品化」が実現し始めた状況のことである。そして、「2008年前後に、デリバティブの残高が約8京円にまで大膨張した」という展開となり、このことは、「世界全体が、商品化された貨幣であるデジタル通貨を求めて、金融戦争を繰り広げた事態」とも考えられるのである。
別の言葉では、「金融商品を奪い合う第三次世界大戦」だった可能性のことだが、現在では、本当の意味での「大転換」である「東西の文明交代」が、はっきりと姿を現し始めた状況とも想定されるのである。つまり、「実体経済」の「約10倍」にまで膨れ上がった「マネー経済」を維持するために、今まで、世界的な超低金利政策が実施されてきたわけだが、現在では、徐々に、さまざまな「綻び」が見え始めているのである。
そして、今後は、「わずかな金利上昇で、世界全体の金融システムが崩壊し、デリバティブの時限爆弾が破裂する可能性」が高まっている状況となっているが、このことは、「労働や土地、そして、貨幣の商品化の終焉」を意味しているのである。つまり、今後は、「東洋の唯心論」の時代、すなわち、「大自然と共生できる社会」が到来するものと考えているが、この時に必要なことは、やはり、「心のルネッサンス」であり、実際には、「心の謎」が解明される事態だと考えている。(2021.2.7)
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自然科学と社会科学
現在の「最大の問題点」は、「自然科学と社会科学の発展のズレ」にあるものと考えているが、実際には、「重力の発見」以降、飛躍的に発展した「自然科学」に対して、「人間社会の法則」を解明する「社会科学」の解明が遅れている状況のことである。具体的には、「お金の謎」が解けていないために、既存の「経済学」が、全く実践の役に立たない状態のことでもあるが、この理由としては、「デカルト」から始まった「近代哲学」に関して、「1800年頃から、誤った展開となった可能性」が指摘できるようにも感じている。
つまり、「社会科学」の基本は、「心の謎」を解明することにあり、実際のところ、「古代のギリシャ哲学」や「東洋の仏教」などが最も興味を持っていたのが、「人間とは、いったい、何なのか?」、あるいは、「心とは、いったい、どのようなものなのか?」ということだったのである。別の言葉では、「人類史上、最古で最大の難問」が、「心の謎を解くこと」とも考えているが、この時の問題点は、「産業革命以降、哲学から経済学への移行」が始まった状況のようにも思われるのである。
具体的には、「アダム・スミス(1723年-1790年)」から「ヘーゲル(1770年-1831年)」、そして、「マルクス(1818年-1883年)」の期間において、いつの間にか、「心の謎」を解明する努力が消滅してしまった状況のようにも感じられるのである。そして、「宗教はアヘンである」、あるいは、「神は死んだ」などの言葉に代表されるように、「人類は、富を求めて、自然破壊だけではなく、同朋の殺害までをも平気で行う人種」となったようにも思われるのである。
つまり、「悪魔のひき臼」により、「人々の人間性や精神性が、完全に崩壊した可能性」のことでもあるが、今後の展開としては、「人類全体が、地球環境と共生できる社会の発展」に向かわない限り、「人類が、地球から淘汰される可能性」が高まっている状況のようにも感じている。別の言葉では、「SDGs」と呼ばれる「持続可能な開発目標」の本質は、「社会科学の発展」、すなわち、「心の謎」の解明にあるものと考えているが、この点に関して、大きな役割を果たすのが、やはり、「神から紙への大転換」とも言えるようである。
具体的には、現代の神様となった「デジタル通貨」が、ほぼ瞬間的に、「紙のお札」に取って代わられる展開のことである。つまり、すでに始まった「世界的な金利上昇」により、「世界各国の中央銀行」のみならず、既存の「金融システム」が崩壊し、この時に、人類の大きな覚醒が発生する可能性のことである。(2021.2.13)
本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
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