原子力規制委員会は、むつ「中間貯蔵施設」と六ヶ所再処理施設の「合格」を撤回せよ! ~東京電力の「適格性無し」は柏﨑刈羽・イチエフだけに留まらない~
- 2021年 3月 26日
- 評論・紹介・意見
- 木村雅英
~東京電力の「適格性無し」は柏﨑刈羽・イチエフだけに留まらない~
原子力規制委員会は原発再稼働推進委員会・被曝強要委員会! その243
3月24日に規制委が定例会議で「東京電力ホールディングス株式会社柏崎刈羽原子力発電所における核物質防護設備の機能の一部喪失事案に係る規制措置」を決定した。
(https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/kisei/010000625.html)
例えば東京新聞は3月25日朝刊一面トップに<東電に「運転禁止」命令へ 柏崎刈羽原発で規制委 テロ対策不備「資格ない」>と報道した。
規制委が、遅ればせながら、東電の核物質防護姿勢を問題視し、柏崎刈羽原発内の核燃料の移動を禁じる是正措置命令を出し、東電に原発稼働「適格性無し」がより鮮明になった。当然だ。
2月の本シリーズ<その240 東電にはイチエフ廃炉をやりきる覚悟も実績も無い! 直ちに柏崎刈羽合格を撤回せよ~ID不正使用核セキュリティ問題を原子力規制庁と東電が隠蔽! 廃炉も汚染水対策も賠償も事故原因追及もできない東電~>の指摘どおりだ。
一方、今週は東電のみならず関係会社もぼろぼろであることが判明した。
1 むつ「中間貯蔵施設」の設工認審査が難航
3月23日(火)の「第399回核燃料施設等の新規制基準適合性に係る審査会合」(https://www2.nsr.go.jp/disclosure/committee/yuushikisya/tekigousei/nuclear_facilities/190000232.html)を観て驚いた(開始後52分頃から)。東電(8割)と日本原電(2割)が出資しているリサイクル燃料貯蔵(株)(坂本隆社長は元東電)の対応がぼろぼろなのだ。
リサイクル側が「設工認申請について」を説明するが、経緯説明において赤ペン文字で「2月 申請中の変更認可申請の取下げ、新たに変更認可申請(分割1回目)」と、自信なさそうな説明。これに対して原子力規制庁担当が、「約束を守っていない」、「設置変更審査で急がしておいて何だ」、「この状態で社長が出て来ないのは不誠実」、…と厳しく追及。
リサイクル燃料貯蔵の本社(むつ市)と東京事業所(港区)がたじたじになってひたすら詫びるばかり。最後に山中委員が「緊張感を持ってやってほしい。設工認の審査が始まったばかりだが、説明のロジックを整理し、検討と準備をしてほしい。質の高い申請書を準備してもらいたい」と苦言を呈して終了した。
「中間貯蔵施設」は、規制委が昨年11月に多くのパブコメ反対意見を無視して設置変更許可「認可」した。
今や「核物質防護もできない」東電の子会社の「中間貯蔵施設」の安全性は全く信用できない。
おまけに、同施設には、東電の柏﨑刈羽からでなく、関電の老朽原発(高浜1・2、美浜3)から使用済み核燃料を運ぶ算段を、電事連と経産省など原子力ムラが進めている。当然、むつ市が「核のゴミ捨て場のように扱われ」て反発している。
一方、福井県が関電に対して使用済み核燃料の県外搬出を迫り、福井県議会・福井県知事が「地元理解」を渋っている。
原子力マネー問題・稼働原発トラブル多発の関電が危険な老朽原発を稼働して「核のゴミ」使用済み核燃料を青森県むつ市に運び出すなんて許されない。関電は直ちに高浜1・2、美浜3の再稼働を断念するべきだ。
2 六ヶ所保障措置センターで火災(24日定例会議トピックス)
日本原燃(代表取締役社長は元東電執行役副社長増田尚宏)が六ヶ所再処理工場の稼働を目論んでいる中、3月16日に同敷地内にある六ヶ所保障措置センターで火災が発生し2人が負傷した。保障措置ゆえこのことをIAEAが注視している。
東電は、柏﨑のみならずむつ「中間貯蔵施設」も六ヶ所再処理施設も稼動を断念すべきだ。関電は、危険な老朽原発をうごかして行き場のない使用済み核燃料を増やしてはならない。東電にも関電にも原発稼動の「適格性」がない。
以上
木村雅英 KIMURA Masahide e-mail : kimura-m@ba2.so-net.ne.jp 携帯TEL : 080-5062-4196 Twitter : @kimuramasacl 経産省・規制委・放射線被曝の批判ページ:http://www.jca.apc.org/~kimum/
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〔opinion10683:210326〕
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