8月に衆議院解散か。「脱原発」「再生エネ」をスローガンに / 延命図る管直人首相。新たな不経済や利権を生む恐れ
- 2011年 6月 24日
- 時代をみる
- 浅川 修史
内閣不信任案や民主党内の退陣要求をしのいだ管直人首相は、一時のうつ状態?を脱して意気軒昂な様子である。危機をばねにするタイプで、さすがに市民運動家出身らしいタフな政治家である。
管直人首相は政権維持のために、8月に「脱原発・再生エネルギー促進」を旗印に衆議院解散を狙っているのではないか、という観測が出ている。
「郵政民営化が日本の改革」とした小泉純一郎元首相の郵政選挙の再現を狙っているという観測である。
管直人首相が本当に「脱原発」を意図しているのか、かなり疑わしい。延命のためと批判されるのは当然だろう。海江田経済産業大臣が、定期検査で休止中の原発の運転再開を福井県などに要請している。整合性があるのか。解散・総選挙になって、民主党から20年先、30年先に原発廃止するといわれても、その担保があるのか。
「首相退陣見えず」 東京新聞
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2011062302000034.html
再生可能エネルギーについて、管直人首相は「太陽光発電」や「風力発電」の拡大を挙げているが、電力問題の解決にならないばかりか、原発に代わるあらたな不経済や利権を生むことが指摘されている。筆者も同感である。
電力問題の解決には、発電と送電・配電分離、スマートグリッド化など電力系統の再編成(=9電力独占体制の解体)、企業の自家発電機の活用、LNG火力、石炭火力拡大が基本的な方向になるだろう。
LNG火力や石炭火力はコストが低く、即効性があり、安全な発電方式だが、それを拡大するには、日本人に深く浸透している「温室効果ガスによる地球温暖化説」や日本が25%削減しなければならないという「京都議定書」的思い込みを再検証してその呪縛から脱する必要がある。
浜田和幸著「石油の支配者」(2008年 文春新書)の第7章では、「京都議定書はエンロンの陰謀」「CO2排出権をトレーダーに」「環境保護運動を動かした策士」「代替エネルギーで莫大な利権を狙う」「エンロンが後押ししたブッシュ政権」「京都議定書がメシのタネ」という構成である。京都議定書で地球温暖化対策をさんざん煽ったゴア元副大統領。この功績でノーベル賞を受賞したが、世界最大の温室効果ガス排出国である米国は、「京都議定書は国益に反する」として批准していない。ちなみにゴア家の電気代が月30万円を超えていると報道されて話題になった。米国の電気代は日本の2分の1から3分の1なので、どれだけ電気を使う生活をしているのだろうか。その後ゴア家はアリバイ的に太陽光発電装置を付けたという。
「誰もが反対できない環境保護や地球温暖化対策」を米国政府と米国企業が新たな世界的利権として構築した経緯と動機を解明している。
「エンロンは19994年から96年にかけて、100万ドルを超える政治献金をアメリカ最大の環境保護団体であるネイチャー・コンサーバンシーに提供している。このネイチャー・コンサーバンシーは大手投資銀行ゴールドマン・サックスが最大のスポンサーとして関わっているNGOに他ならない」(188ページ)という。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
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