萩生田文科大臣が、国会で「最高裁判決で『軍隊慰安婦』という用語が使われている」と指摘され、面目まるつぶれ!
- 2021年 5月 28日
- 評論・紹介・意見
- 従軍慰安婦政府見解規則歴史教科書高嶋伸欣
藤岡「つくる会」の仕掛けに乗った「日本維新の会」議員が閣議決定を経て得た『答弁書』が「政府は『従軍慰安婦』等の用語ではなく、単に『慰安婦』との語を用いている」旨の回答であったことに勢いづき、同党議員が萩生田文科大臣に歴史教科書から「従軍慰安婦」などの表記を排除するように、国会で繰り返し迫りまっています。
この様子はすでに多くの方がご存知で、怒りを感じられていることだと思います。
萩生田大臣は、もともと安倍晋三議員の側近中の側近で、歴史教科書は「自虐史観一色!」と吠え続けてきたタカ派議員の中心人物です。上記の要求を萩生田大臣は即時受け入れたのは当然です。これまで大臣としては抑制気味だった萩生田氏の本性が、いよいよ露わになった場面でした。
加えて、国会の委員会に同席していた文科省の上級官僚・総括審議官も大臣発言通りの行政行為を実行する由、答弁してしまいました。
以後、文科省は霞が関一帯で「とりわけ政治家の言いなりの官庁」という評判さながらに、この件についての行動にひた走っています。
その一つが、歴史教科書からの「従軍慰安婦」等記述排除を、文科省からの指示ではなく、教科書会社の自主的判断に見せかける「訂正申請」手続きをするように各社一斉に”指導(事実上の指示・強要)を実施済みである、ということです。
ところがそのように既成事実を進めている萩生田大臣たちに、冷水を浴びせる事実の指摘が、昨日(26日)の衆議院文部科学委員会での畑野君枝議員(共産党)からされ、萩生田大臣たちは大恥を晒しました。
その様子は、下のURLによる国会ビデオ中継の同議員の質問場面(30分間)の最終10分間部分で視聴できます。
彼らの主張のポイントは、2014年1月に下村博文・文科大臣(当時)が「検定基準」に新たに盛り込んだ「閣議決定その他の方法により示された政府の統一的な見
解又は最高裁判所の判例が存在する場合には、それらに基づいた記述がされていること」(「政府見解規則」)を、先の『答弁書』に適用できるというものでした。
ところが、畑野議員に「それなら最高裁判決にある『軍隊慰安婦』表記についてはどうなのだ?」との指摘をされ、彼らの主張の土台が崩壊したというわけです。
昨日午後4時半ごろに委員会審議が終了して以後、今日までの文科省初等中等教育局では、事態の収拾のために大騒ぎをしながら、逃げの答弁準備に必至ではないかと思われます。
どのような言い訳をしてくるかもまた見ものですが、我々はこの機会に一連の策動の不当性を摘出して、責任問題を含めけじめをつけさせたいです。
加えて、彼らが今回悪用しようとした上記の「政府見解規則」の撤廃に文科省・検定審議会等を追い込みたいです。
これらについての具体的方策の私案の用意が幾つかあります。それらについては、別建てのメールで説明いたします。
まずは、下記のURLで萩生田大臣が憮然としている様子をご覧ください。そして件の最高裁判決文(2004年11月29日)を添付してありますので、こちらもご確認下さい。
https://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&deli_id=52295&media_type
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://chikyuza.net/
〔opinion10940:210528〕
「ちきゅう座」に掲載された記事を転載される場合は、「ちきゅう座」からの転載であること、および著者名を必ず明記して下さい。