本間宗究(本間裕)の「ちきゅうブッタ斬り」(322)
- 2021年 8月 28日
- 評論・紹介・意見
- 本間宗究本間裕金融
量的緩和の正当性
最近、海外では、「テーパリングの議論」が盛んに行われるとともに、より根本的な問題である「量的緩和(QE)」とは、いったい、何だったのか?」という疑問が噴出し始めている。つまり、「量的緩和の持続」が難しくなった結果として、「量的緩和の正当性」が疑われ始めているわけだが、実際のところ、「日銀のバランスシート」ついては、「残高が約720兆円」というように、「約560兆円」と推計される「日本の名目GDP」の「約1.28倍」という「驚くべき規模」にまで膨れ上がっているのである。
つまり、今まで取られてきた「国民の資金を借りて、国債の大量買いを実施し、超低金利状態を作り出して、国家の財政破たんを先送りする」という方法論については、「国民が実情に気づかず、後生大事に、虎の子の預金を保有し続ける態度」が継続していたことが、持続可能な要因の一つだったのである。そして、海外の諸国においても、「日本の一時的な成功例」を見習って、同様の「きわめて無謀な金融政策」を実施してきたものの、現在では、「どこまで、このような政策が実施可能なのか?」、あるいは、「今後、どのような結果が待ち構えているのか?」などの疑問が噴出し始めているのである。
より詳しく申し上げると、「2008年前後のGFC(大金融危機)」の時に「約8京円」という残高のピークを付けた「デリバティブ(金融派生商品)」に関して、今までは、「量的緩和」という名のもとに、「水面下での問題解決」が図られていたものの、結果としては、「約2京円の残高縮小」しかできなかったのである。そして、現在では、「金利やインフレ率の上昇、そして、利用可能な国民資産の枯渇などにより、従来の方法が取りづらくなった状況」とも言えるのである。
別の言葉では、「紙幣の増刷」しか残されていない状態とも言えるわけだが、仮に、この方法が実施されたときには、「前代未聞の規模での大インフレが世界全体を襲う可能性」が存在するのである。つまり、「お金の価値の激減」、しかも、「デジタル通貨の完全消滅」という可能性が存在するために、「世界各国の金融当局者は、座して死を待つような状況」となっているのである。
より具体的には、「金融界の大量破壊兵器と言われるデリバティブの時限爆弾が、いつ、連鎖破裂を始めるのか?」に怯えている状況とも言えるが、基本的には、「オリンピック」が終了する「8月」、あるいは、「9月」が、過去の歴史などを研究すると、最も危機的な時期になるものと感じている。(2021.7.23)
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真理と哲学、そして、詭弁
「ヘーゲル(1770年-1831年)の精神現象学」によると、「真理は哲学でしか発掘できない」とのことだが、この点については、「投資の実践」を経験した人々にとって、簡単に理解できる意見のようにも感じている。つまり、「相場は常に正しい」ということが、私自身の「45年間に及ぶ投資の実践」から得られた「真理(神の理)」であり、また、実際には、「なぜ、このようなことが起こるのか?」という「驚き」の連続だったようにも思われるのである。
より具体的には、「さまざまなバブルの発生と崩壊」、そして、「マイナス金利の発生」などのように、「人知」や「既存の理論」では、理解不能な出来事が頻発した状況だったのである。そして、最も驚かされた出来事は、やはり、「デリバティブのバブル発生」と「史上初めての長期間に及ぶ超低金利状態」だったが、私自身としては、「根底に、どのような変化が発生しているのか?」を考え続けてきた状況だったのである。
つまり、「実際に発生する現象」である「世の中の真理」を考え続けてきたものの、実際のところ、われわれ人間にとっては、「実際に発生した出来事でしか、神の思惑を知ることができない状況」とも言えるのである。別の言葉では、「人知の未熟さ」を補う方法として、「なぜ、このようなことが起こったのか?」を考え続ける手段である「哲学」が与えられたものと考えられるのである。
このように、「人類の歴史」は「動物の肉体を持った人類が、神の智慧に到達する歴史」のようにも感じているが、実際には、「積み上げられた真理」の応用により、より高度な社会が形成された展開のことである。そして、この時に注意すべき点は、「詭弁」という「熟慮が欠けた意見」であり、具体的には、「リスクオフで資金が国債に流れ、その結果として、金利が低下している」というような「根拠なき意見」である。
つまり、「真理」に辿り着くためには「深い思索」が必要であるものの、ほとんどの場合において見受けられることは、「思考停止した結果の短絡的な意見」、すなわち、「哲学が欠けた意見」のようにも感じられるのである。そして、この点については、今回のような「歴史的な大転換期」において、頻繁にみられる傾向のようにも思われるが、重要なポイントは、「これから、どのような時代が訪れるのか?」、あるいは、「今後の金融大混乱期を、どのようにして生き延びるのか?」を考えながら、「熟慮を経た後の意見」である「真理」を求める動きだと考えている。(2021.7.27)
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神の思惑
「宇宙の歴史は138億年」、「地球の歴史は46億年」、そして、「人類の歴史は数万年」と言われているが、「過去3000年ほどの人類史」を研究すると、「ライプニッツの予定調和」や「量子力学が指摘する内臓秩序」などのように、「神の思惑により、世界は絶えざる進化と創造の過程を辿っている状況」のようにも感じている。つまり、「神や天が理想とする社会」、すなわち、「仏教が教える浄土や法界」、あるいは、「量子力学が指摘する暗在や内部秩序」などのように「時空の中に内蔵されていて私たちの感覚ではわからない理想的な状態を、どのようにして、人間社会に移行させるのか?」ということが「神や天の目的」のようにも感じられるのである。
別の言葉では、前述の「きわめて長い時間」を掛けることにより、徐々に、「人間社会の霊的な次元上昇」を望んでいるものと思われるが、問題は、この時の方法論である「二重らせん構造」が「人間の理解」を難しくしている要因の一つとも言えるようである。つまり、「文明法則史学」や「DNAの構造」などに現れる現象のことだが、現時点の感想としては、将来的に、「進化と創造のメカニズム」として理解されるものと感じている。
より具体的には、「五次元以上のレベルに存在する神の世界」と「三次元から四次元に位置する人間社会」との間で、「どのようにして智慧の移転が実施されるのか?」ということでもあるが、実際には、「物事に熱中した人々が得られる直感や霊感」などが、最も有効な方法論とも感じられるのである。つまり、「禅が教える瞑想」のことでもあるが、この時の注意点は、「雑念を払わないこと」であり、また、「すべてを真剣にとらえること」だと考えている。
別の言葉では、「雑念を払うことに全力を注ぎ、結果として、迷走状態に陥る可能性」が危惧されるわけだが、実際には、「現在の経済学」のように「堂々巡りの議論に陥り、真理に到達できない状況」である。つまり、「本質を捉えることなく、現象に惑わされている状況」のことでもあるが、この点については、「ヘーゲル」などの西洋哲学者が指摘するとおりに、「哲学の不在」が原因として指摘できるようである。
このように、現在、最も必要とされることは、「哲学(フィロソフィー)の復活」であり、また、「詭弁者(ソフィスト)の排除」だと考えているが、実際には、「ニュートン力学の発見後」に発生した状況のとおりに、「真理を掴んだ人々が、今後の成功者になる可能性」だと感じている。(2021.8.3)
本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。
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