変なオジサン
- 2021年 10月 27日
- 評論・紹介・意見
- 小原 紘選挙
韓国通信NO682
小学校からの帰り道、早稲田のグランド坂下にその人は立っていた。丸坊主に大きな顔に大きな目、いつも上半身は裸の半ズボン姿だった。
「ワッハッハー」と大声で笑い、手で胸をパンパンと叩いていた。「笑え笑え」と言っては笑った。「笑え」と書いたのぼりを持っていた。真冬も裸だった。「裸が健康には一番」と繰り返すだけ。どこから来てどこに帰るのかもわからないその人の辻説法は何年か続き、いつの間にか姿を見せなくなっていた。
駅前でブラカードを掲げながらその人を思い出すことがある。僕も変なオジサンなのだろうか。安保法制が強行採決された年から始まった運動にあわせて、駅頭でスタンディングを始めて6年目。毎月3日、午後1時から。全国で今も続いているらしい。
決まった日の同時刻に一斉にやることの意味は大きい。見知らぬ人たちとの不思議な連帯感がある。最初は金子兜太さんの書「アベ政治は許さない」から始まり、さまざまなプラカードを工夫して掲げてきた。見知らぬ通行人との会話もあり刺激的な面もあるが、ほとんどの人は黙って通り過ごして行く。
通行人と空を見上げて1時間を過ごす。どんなふうに見られているのか考えることがある。そのとき思い出すのが何十年も前のあの「変なオジサン」だ。オジサン、ボクは忘れていませんよ。
<ボクの選挙運動>
「〇✕候補をよろしくお願いします」「△◇党に一票を」という選挙運動は苦手でこれまでやったことはない。しかし今度の選挙だけはスタンディングの続きとして何か伝えたいと思った。スタンディングに込めた思いは選挙で政治を変えることなので当然のことだった。「投票に行きましょう」というアピールをしたことがある。市の選挙管理委員会の呼びかけと同じというのが面白くない。確かに選挙に行かない人が半数もいるのは民主政治の危機だが、公職選挙法に触れずにもう少し「変えたい」気持ちをアピールしたかった。
マスク姿のドラエモン、選挙で政治を「変えよう」の小看板が出来上がった。「アッ! ドラエモンだ 何て書いてあるの」と親に尋ねる子ども。いつもと違う通行人の反応に気をよくしている。何をどのように変えるのかなんて難しいことはこの際、聞かないで欲しい。戦争をさせない市民、四党共同宣言を支持する我孫子「ハチドリ市民の会」からの訴えだ。選挙前日まで変なオジサンは市内を徘徊し続けるつもりだ。
初出:「リベラル21」より許可を得て転載http://lib21.blog96.fc2.com/
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion11432:211027〕
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