「沖縄と日米安保」読後感
- 2010年 6月 6日
- 交流の広場
- ネノ
塩川喜信編集の「沖縄と日米安保」を読みました。特に鈴木顕介氏の:アメリカの世界戦略と日本:はとても勉強になりました。
私は60年安保のとき、しゃにむにガンバッタ年代の人間ですが、あきれたことに安保そのものを読んだことがなかった。資料が載っているのに助かりました。
そして、鈴木氏の論文によって、まず吉田茂一人が署名した講和条約と同時の安保は、日本が希望して日本を守っていただく形の安保(吉田は冷戦が目に見え始めるのを、泣くまで待とうほととぎすの姿勢で待ち、アメリカが不沈空母がほしくてたまらなくなったときに安保を持ちかけ基地を提供し、戦争賠償金をほとんどゼロの形で講和をした古狐)、60年の改定安保は一応対等のかたちをとってフィリッピン以北をその範囲とする安保、さらに2005年10月の「日米同盟:未来のための変革と再編」というのは、何と日本を世界戦略に組み込むためのものであり、しかも当然国会で審議され承認されるべき重大な改定であるにもかかわらず2+2という外交で決めてしまっていることを知った。なんということだろう、この時こそ大安保闘争をせねばならなかったのに、ほとんど国民は眠っていた。
その他、いくつもの示俊に富む言葉を得た。例えば、「志願兵制度のアメリカ軍の兵力供給の難しさは・・・パートナー国の組み込みは、人的体制の難問を解くカギである。」、また、中国の北朝鮮対策の裏話てきなもの、そして、05年5月のロードマップの発表によって、沖縄の海兵隊のほとんどはグアムへ行く、そのために日本は莫大な金を出す、にもかかわらず、第31海外遠征部隊を残留させる、*それは、そこに居ることに意味がある、いわば立ち入り禁止の赤ロープのようなもの、またげば入れるが、はってあることで入らせない、(ようするに、出番はないのに、お手付きだけはしておく)*・・・などの指摘、分析を読みとりました。
私としては、それでもまだ疑問は残ってます。アメリカは現在いまだ軍事的には最強国であるにしても、地球は多極化し始め、アメリカも同盟国の取り込み再編成に気を使っている(在外国のアメリカ基地はそこの住民に歓迎されなければいけない)など。そして、沖縄に残る海兵隊は、出番のないそこに居るだけの任務であり、滑走路もいらないはずの部隊(ヘリは持っているかもしれないが鈴木氏はおそらく出番がない部隊という)。それなのに、なぜ辺野古に滑走路を造ろうとするのか。そしてなぜ民主党内閣はもっとガンとして基地撤去を主張することができないのかです。利害関係で政府の裏には何かあるのでしょうか。
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