日本人の一人として、求めます
- 2022年 5月 31日
- 評論・紹介・意見
- 松井和子
ウクライナへロシアが侵攻、日本をはじめ世界中が「ロシア叩き」一色になりました。
私は、その判断をする知識を持ち合わせていませんでした。ただ2013年秋に訪れたキエフの様子、ベルリンへ行くたびに出会う東欧の人びとの姿がよみがえりました。
真珠湾攻撃の一か月後に生まれた私の戦争の記憶はわずかです。
でも、戦争はいけない、武力は罪もない子どもたち・無辜の民を殺す、それは攻撃された側だけでなく攻撃する方も同じなのだと思っています。戦後、小・中・高の教育の中で先生に、親に、多くの書物で教えられたことでした。
そして大学で出会い結婚した夫から、戦争というものの姿を、それがもたらすものを教えられました。彼の心深く、消えることのない痛みを知ったのです。それと同時に、侵略され痛みつけられた人たちの深い深い傷を、中国など調査の旅で目にし、聞き、知りました。今回の危機が起こったのは何故なのかを調べたいと思いました。
戦争を経験した日本の人たちが直ぐに「ロシアが悪い」となったのに驚きましたが、それ以上に驚いたのは、日本の同盟国であったドイツ、ナチスヒトラーの大罪に戦後厳しく向き合って来たドイツの変貌でした。ドイツもあっという間に「ロシア叩き」となったのです。どちらも流される情報は、西側・アメリカからの膨大な情報でした。新聞で、テレビで、インターネットを通じて、切れ間なく流されました。それまでの自国の取材は影を潜めました。ウクライナの歴史、ロシアの歴史を私たちは知ることができたでしょうか。何が原因でぶつかり、何が起こっていたのか耳を傾け、知ることができたでしょうか。
戦後すぐに始まった東西の「冷戦」と軍事同盟。戦争を防げなかった反省に立って出来た国際連合は、今回もまた、その使命を果たすことができなかったのです。
戦後からこの77年、知っているだけでもたくさんの戦争がありました。朝鮮、ベトナム、カンボジア、ラオス、中近東、チリ、パナマ、ニカラグア、キューバ、イラク、アフガニスタン、イラク・・・、きりがないくらいです。その都度きちんと対処されたのかといえば、そうでなかったと思います。国連で決められている法もザル法だったともいえます。指導的な立場にいる大国には大きな責任があると、今回のウクライナ危機を知って、そう思いました。
いま起きていることは、ウクライナとロシアだけにとどまりません。世界中の国々、世界中の人びとに大きな影響を与えるでしょう。
何びとも、どの国も、対等であるべきです。同じように主権を尊重し、国際法規を尊守、対話による解決をすることを、侵略戦争の反省に立ち、武力による解決を永久に放棄した「日本国憲法」を持つ日本人の1人として、求めます。
5月21日「憂慮する日本の歴史家の会」から署名を知らせるメールが届きました。
ウクライナで起きている戦争を、停戦仲介で世界核戦争と命の危機を防ごう「日本、韓国、そして世界の憂慮する市民は、ウクライナ戦争即時停戦をよびかける」というものでした。
■5/9記者発表動画: https://youtu.be/4w4doDsfko8
声明と経緯:https://peace-between.jimdosite.com/
第2次賛同署名の入力フォーム:https://forms.gle/6NBQJY2hUkuc5ukS6
国を超え、名もなき市民が手をつないで声を上げ、一日も早く停戦が実現することを願っています。
2022年5月29日
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://chikyuza.net/
〔opinion12082:220531〕
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