本間宗究(本間裕)の「ちきゅうブッタ斬り」(361)
- 2022年 6月 4日
- 評論・紹介・意見
- 本間宗究本間裕金融
パンデミックの大津波
今回の「コロナウイルスのパンデミック」は、まさに、「大津波のような状態」で、何度も世界を襲ったが、この点に関する私自身の感想は、「今後の『インフレの大津波』に応用可能ではないか?」ということである。つまり、世界各国で、いろいろな違いはあるものの、「現在の日本で、第六波から第七波のコロナ流行が訪れている状況」は、「人々の認識」と「実際の被害」との関係性で、今後の参考になるものと思われるのである。
具体的に申し上げると、「第一波」の時には、「人々の驚き」は大きかったものの、「実際の被害」としては、ごく一部の人々に限られていた状況だったが、その後、波の数が増えるにつれて、「実際の被害者数」は増えるものの、「人々の驚き」は、反比例して減少していったことも見て取れるのである。そして、最後の段階では、「集団免疫の獲得」というように、「普通の風邪のような状況」となって収束するものと思われるが、前述のとおりに、私自身は、現在の「インフレ」も、今後、同様の展開が想定されるものと感じている。
つまり、現在の「世界的なインフレ」については、各国で違いはあるものの、「第二波」から「第三波」に差し掛かった状況であり、実際には、「人々の驚き」が大きいものの、「実際の被害」については、まだ、「徐々に、多くの人々が感じ始めている段階」とも想定されるのである。そして、今後は、「第三波」から、「第六波」、あるいは、「第七波」前後までの移行を予想しているが、具体的には、「1923年のドイツ」や「1991年のソ連」などのように、「最後の段階で、高額紙幣の大増刷が実施される展開」のことである。
そのために、現時点で必要なことは、「正確な現状認識を持ち、決して、慌てたり、騒いだりしないこと」であり、また、実際の対応としては、「中央銀行が、国債価格の暴落を受けて、いつ、紙幣の増刷を始めるのか?」に注目することだと考えている。つまり、現在は、まだ、「インフレ率の上昇」に見舞われながらも、「日本」を筆頭にして、「国債価格の暴落」を防ぐための「国債の買い支え」が継続して実施されている状況とも言えるのである。
しかし、今後は、「時間の経過とともに、インフレ率や金利の上昇圧力が増える展開」となり、「国債価格の大暴落とともに、一挙に、紙幣の大増刷が始まる事態」が予想されるのである。つまり、「インフレの大津波」に関して、「第六波」や「第七波」という最終波動が訪れる展開のことだが、実際のところ、現在は、すでに「時間的な余裕」が無くなるとともに、間もなく、「人々の被害や混乱が増えるとともに、インフレが当たり前になる時期」が訪れるものと考えている。(2022.5.4)
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人類の脅威となったプーチン大統領
ロシアの「プーチン大統領」は、現在、「核兵器を使用した第三次世界大戦」までをも示唆することにより、「人類の脅威」となったものと考えているが、現時点で必要なことは、「決して、過剰な恐怖心を抱かないこと」であり、また、「なぜ、このようなことが起こったのか?」という原因解明に注力することだと考えている。つまり、決して、「次のプーチン大統領」を産み出すべきではなく、反対に、「二度と、今回のような惨事が繰り返されないこと」に力を注ぐべきだと思われるのである。
そして、「なぜ、プーチン大統領が人類の脅威となったのか?」については、やはり、「西洋文明の唯物論」が、大きな役割を果たしたものと思われるが、実際には、「目に見えるもの」、すなわち、「地位や名誉、そして、お金」などの「人間の爵位」が基本的な価値観となった状況のことである。別の言葉では、「この世が全てであり、あの世などは存在しない」と考える人が増えた結果として、「資金力や軍事力などの権力を握ることが最も重要なことである」と錯覚されたものと思われるのである。
つまり、「時代錯誤の帝国主義」が、「21世紀の現在において、再び、具現化した状況」となったわけだが、この点については、「地球環境の悪化」と同様に、「人類の生存を脅かす大事件」とも言えるようである。より具体的には、「人類が核戦争で滅ぶのか、それとも、環境悪化によって滅ぶのか?」という選択を、現在、人類が迫られている状況のようにも感じられるのである。
そのために、現時点で必要なことは、「歴史を遡り、過去の事例に学ぶこと」だと考えているが、実際には、「文明法則史学」が教える状況、すなわち、「1600年前の西ローマ帝国崩壊時に、どのようなことが起こったのか?」を、深く分析することである。つまり、「軍事力により巨大な権力を獲得した西ローマ帝国」は、その後、「経済の金融化」や「精神面の堕落」などにより、「パンとサーカスの生活」を送った後、「インフレと財政赤字で、短期間のうちに滅んだ」という状況だったのである。
しかも、このことは、「今から1600年前」というように、「きわめて正確な『時間のサイクル』で示されている事実」とも思われるが、この法則から推測される「今後の展開」としては、やはり、「東西文明の大転換」であり、実際には、「大インフレが導く唯物論から唯心論への移行」、すなわち、「精神面でのレベル向上」という「天の爵位」を求める動きが活発化する事態だと考えている。(2022.5.6)
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金融メルトダウンの現状
「ロシアによるウクライナへの軍事侵攻」や「中国のゼロコロナ政策」などにより、現在、世界の金融市場は、大混乱の状態となっているが、現時点での市場の認識は、「スタグフレーション」という「景気低迷下のインフレ」が主流となっているようにも感じている。別の言葉では、「実体経済の動向」だけが注目され、いまだに、「マネー経済の実情」が理解されないために、今後の展開が予測不能な状況のようにも思われるのである。
より詳しく申し上げると、「1980年代の初頭から始まったデリバティブのバブル」や「2000年前後から始まった世界的な超低金利状態」に関する正確な分析が欠如しているために、いまだに、古典的な経済理論が横行している状況とも言えるのである。別の言葉では、「1971年から始まった信用本位制と呼ぶべき通貨制度」や「1980年代から急成長を始めた金融商品」に対する理解ができないために、「実体経済の成長が最も大切である」というような「時代錯誤の考え方」に固執している状況のことである。
また、「経済の成長」が意味することは、「新たな商品の産出」と、それに伴う「マネー残高の増加」でもあるが、過去数十年間に発生した変化は、「世界的なコンピューターネットワークの発展」に伴う「デジタル通貨の大膨張」だったことも見て取れるのである。このように、現在は、詳細、かつ、正確な「マネー理論」を抜きにしては、現状説明が不可能な状況でありながら、ほとんどの人々は、いまだに、「DX革命の亡霊」に囚われ、「金融メルトダウンが、実物資産にまで行きついた状況」に気が付いていないのである。
そのために、現時点で必要なことは、「金融の逆ピラミッドにおいて、金融メルトダウンが、どこまで進展したのか?」、あるいは、「世界的な金融混乱下で、世界各国の中央銀行が、今後、どのような手段を講じるのか?」を理解することである。つまり、「中央銀行のバランスシート残高を減らすのか、それとも、増やすのか?」ということでもあるが、実際には、「最後の手段である紙幣の大増刷を、いつ、実施するのか?」という一点に絞られた状況とも考えられるのである。
そして、このキッカケとなるのが、「金利デリバティブのバブル崩壊」、すなわち、「国債の買い手が消滅する事態」だと考えているが、今後の「先進各国の金融政策」については、現在の「プーチン大統領」のように、「なりふり構わず、どのような手段でも講じる展開」が想定されるとともに、今後の「世界的な大インフレ」については、人類史上、未曽有の規模になるものと感じている。(2022.5.10)
本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。
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