本間宗究(本間裕)の「ちきゅうブッタ斬り」(367)
- 2022年 7月 16日
- 評論・紹介・意見
- 本間宗究本間裕金融
生命の謎
日本の探査機「はやぶさ2」が、小惑星リュウグウから持ち帰った石や砂から、23種類のアミノ酸が見つかったという報道がなされたが、このことは、「生命の謎」を解き明かすうえで、重要な一歩になったものと感じている。そして、この「謎」は、人類史上、最も難解であると言われているが、実際には、その他にも、「お金の謎」や「心の謎」など、数千年前から人類が悩み続けてきた問題が、数多く存在することも見て取れるのである。
また、「謎の解明」については、「人々の悩みや苦しみを減少させる効果」があるものと感じているが、具体的には、「お金の謎が解明できたら、お金の問題に悩まなくなる状況」のことであり、また、「心の謎が解明できたら、心の問題に悩まなくなる状況」のことである。別の言葉では、現在の問題点として、「時間とともに、お金の価値や形態が、どのように変化するのか?」が理解できないために、結果として、「大膨張し、大量に存在するデジタル通貨」に惑わされている状況とも考えられるのである。
また、「心の謎」についても、「脳」と「悩」の文字が示すとおりに、「肉体と心の関係性」が、大きなヒントになるものと思われるが、実際には、「肉体に精神が宿った時に、心が誕生する可能性」のことである。そして、「心」は「コロコロ」に繋がり、「時空を超えて、自由自在に動いている状況下では、執着や囚われが存在せず、本来の機能が発揮できる状況」のようにも感じられるのである。
このように、「人類の絶えざる進化と創造」に関しては、基本的に、さまざまな「謎」の解明が、大きな役割を果たしてきたものと思われるが、現時点での問題点としては、やはり、「理論物理学」などの「自然科学」において「11次元までの進化」が見られながら、「経済学」や「哲学」などの「社会科学」では、いまだに、「3次元の段階にとどまっている事実」が指摘できるものと感じている。
つまり、基本的には、「時間の経過とともに、人類の進化が継続している状況」を想定しているが、現在では、反対に、「終末時計」などのように、「人類が、いつ、終わりに到達するのか?」という、一種の「末法思想」のような意見も見られる状況となっているのである。別の言葉では、「西洋の唯物論」が行き詰まりの状態となっているために、「800年前の日本や中国」などと同様に、「この世の終わり」を信じる人が増えたものと思われるが。実際には、その時から、「東西文明の大転換」が発生し、その結果として、「全く新たな時代」が始まる展開とも想定されるのである。(2022.6.14)
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FRBの損失計上
ダドリー前ニューヨーク連銀総裁の指摘によると、「米連邦準備制度理事会(FRB)は、来年に損失を出す方向にあるようだ」とのことであり、この理由としては、「保有資産で稼ぐ以上の利子を、銀行の準備預金に支払う可能性」が挙げられている。別の言葉では、「短期借り、長期貸し」という「金融機関が最も避けるべき手法」を、「世界各国の中央銀行が、過去数年間、採用し続けてきた結果としての損失」とも言えるのである。
より詳しく申し上げると、「国民の預金」などを利用して、「中央銀行の準備預金」を増やし、「その資金で、低金利の国債などを買い増す方法」が取られてきたのだが、この時の注意点は、「低金利が継続する限り、問題が露見しない事実」とも言えるのである。しかし、今回のように、「世界的なインフレ率と金利の上昇」が始まった場合には、「中央銀行が受け取る利息」が長期間にわたり固定されていながらも、一方で、「中央銀行が支払う利息」については、「短期金利の上昇により、急速に増える可能性」が憂慮されているのである。
そして、この点を「日銀のバランスシート」に当てはめると、「約540兆円の当座預金」が、いわゆる「銀行の準備預金」に相当し、また、「ほぼ同金額の国債残高」が、主な「日銀の保有資産」とも考えられるのである。つまり、今後の金利上昇に関して、「短期金利」が「1%」に上昇しただけで、「日銀が支払う利息」が、「約540兆円×1%=約5.4兆円」にまで増加する結果となるものの、一方で、「日銀が受け取る利息」は、「約540兆円×0.25%=約1.35兆円」にすぎず、結果として、「5.4兆円-1.35兆円=4.05兆円」もの「損失」が計上される計算となるのである。
しかも、この時の注目点は、「1%の金利上昇では収まらない可能性」であり、また、「保有している大量の国債を売却し、いわゆるQT(中央銀行の資産圧縮)を実施しようとした場合」に、「国家財政の破綻」という事態にまで追い込まれる可能性とも考えられるのである。そのために、「中央銀行に残された手段」は、過去のパターンのとおりに、「紙幣の大量増刷により、国家の借金を棒引きにする方法」であり、この結果として発生する現象は、必ず、「ハイパーインフレ」とも理解できるのである。
また、今回は、「信用本位制のもとに、世界全体の資産や負債が、ほとんどデジタル通貨で保有されている状況」となっているために、「発行された大量の紙幣を、どのようにして運搬し、取引の決裁を行うのか?」という大問題、すなわち、「金融界の白血病」が発症する可能性も憂慮される事態となっているのである。(2022.6.17)
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論語の従心
論語では、70歳が「従心の歳」、すなわち、「心の欲するところに従えども矩(のり)を超えない境地に達する年齢」とも言われているが、この点には、より深い理解が必要なものと感じている。つまり、私自身の「心の仮説」では、「肉眼と心眼を分ける必要性」が存在するとともに、「年齢を重ね、数多くの苦難を経験することにより、肉眼(目指すもの)と心眼(志すもの)とが一致するような心境」にまで達するものと思われるからである。
別の言葉では、若いころに大きかった「肉眼と心眼との差」が、苦難を経験することにより、徐々に縮まっていく展開のことであり、このことが、「ヘーゲルの指摘する弁証法」であり、また、「仏教が教える悟り」とも考えている。つまり、「悟り」は、神と人間との「差取り」に通じ、仏教の「成仏」という言葉のとおりに、誰でも、「動物的な本能」を脱却しながら、「仏様のような境地」に達することが可能とも理解されているのである。
ただし、この時の条件としては、「輪廻転生」という「数多くの生れ変り」が必要とされており、決して、「王道」のような「安易な方法」が存在しないものと考えられているのである。つまり、「現世において不平等と思われる事実も、輪廻転生を考慮すると平等になる可能性」が想定できるわけであり、この点については、「積善の家には余慶あり、積不善の家には余殃あり」という言葉のとおりに、「自分の霊的な生れ変り」のみならず、「子孫の運命」にまで影響を与えるものと理解されているのである。
より具体的には、「ヒットラー」や「プーチン」などのように、「現世で権力を掌握し、独裁的な地位にまで上り詰めた状況」に関して、「来世の運命」や「子孫の幸福度」を考えた場合には、「決して、満足できるような状況」とは言えないものと思われるのである。つまり、「大きな反動が訪れることにより、結果として、平等な状態になる可能性」のことでもあるが、彼らの存在に関して、歴史的な観点からは、やはり、「人類全体に、独裁者の脅威を知らしめる役割」が存在した可能性も考えられるのである。
別の言葉では、「人類全体に、気付きや覚醒を与える役目」という可能性のことだが、この点については、「過去の歴史を振り返りながら、より深い吟味が必要な状況」とも言えるようである。つまり、「人類が、肉眼で、どのような時代を望んだのか?」、そして、「一方で、心眼では、どのような展開が見えていたのか?」などを考えながら、「過去の数千年間に、人類が、どのように進化したのか?」、あるいは、「これから、どのような時代が訪れるのか?」などを、深く研究することである。(2022.6.18)
本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。
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