歴史的暴挙を阻止しよう 市民連合が敵基地攻撃能力保有に反対声明
- 2022年 12月 9日
- 時代をみる
- 反撃能力国防政策岩垂 弘
自民、公明両党が12月2日、敵のミサイル発射拠点などをたたく敵基地攻撃能力の保有を認めることで合意したことに対し、安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合(市民連合)が5日、「敵基地攻撃能力(反撃能力)の保有は認められない」と題する声明を発表した。
市民連合は、集団的自衛権行使に道を開いた安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める5団体(戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会、安全保障関連法に反対する学者の会、安保関連法に反対するママの会、立憲デモクラシーの会、SEALDs)の有志の呼びかけによって、2015年12月に発足した市民のプラットフォーム。全国各地に200を超える地域の市民連合がある。
∇立憲主義の再構築∇民主主義の再生∇透明性のある公正な政府の樹立∇利益追求・効率至上主義(新自由主義)からの転換∇自己責任社会から責任ある政府のもとで支えあう社会への転換∇いのちを最優先する政策の展開∇週40時間働けば人間らしい生活ができる社会の実現∇子ども・教育予算の大胆な充実∇ジェンダー平等に基づく誰もが尊重される社会の実現∇分散ネットワーク型の産業構造と多様な地域社会の創造∇原発のない社会と自然エネルギーによるグリーンリカバリー∇持続可能な農林水産業の支援∇平和国家として国際協調体制を積極的に推進し、実効性ある国際秩序の構築をめざす∇沖縄県民の尊厳の尊重∇東アジアの共生・平和、非核化といった15項目の要求の実現を求めて立憲野党との共闘に取り組んでいる。
声明は、敵基地攻撃能力保有は「明白な憲法9条および国際法違反となる先制攻撃に踏み込んでしまう可能性をはらむ重大事です」と指摘、「『専守防衛』の範囲内で抑制的に安全保障政策を組み立てることで、戦争を回避し戦火を決して拡大させない『平和国家』として存立するという、戦後日本の国是を根幹から破壊するものであり、断じて許されることではありません」と述べている。
さらに、声明は「(敵基地攻撃能力を保有しても)相手側のミサイル基地を全て破壊で きるはずもなく、報復的なミサイル攻撃を正当化する口実を相手側に与えます。これは日本の被害をより甚大なものとしてしまうことに他ならず、国民の生命、自由および幸福追求権を守るはずの防衛政策としてもまったく機能しません」と懸念を表明。そして、「いま必要なのは、地域的安定をめざす柔軟で強力な外交努力です。 断じて、敵基地攻撃能力の保有は認められません。……自公連立政権によって、平和国家日本の針路を誤ることのないよう、この歴史的な暴挙を阻止しなくてはなりません」としている。
声明の全文は次の通り。
敵基地攻撃能力(反撃能力)の保有は認められない
安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合
12 月 2 日、自民党と公明党は実務者協議において「敵基地攻撃能力」を「反撃能力」と言 い換えた上で、まもなく閣議決定を予定しているいわゆる安保関連3文書に明記し、長射 程ミサイルの開発や配備に入る方針を正式合意しました。
日本が、仮想敵のミサイル基地およびその発射を指令する中枢機能(つまり首都)をミサ イル攻撃する能力を保有することは、明白な憲法9条および国際法違反となる先制攻撃に 踏み込んでしまう可能性をはらむ重大事です。また一貫して「専守防衛」の範囲内で抑制的 に安全保障政策を組み立てることで、戦争を回避し戦火を決して拡大させない「平和国家」として存立するという、戦後日本の国是を根幹から破壊するものであり、断じて許さ れることではありません。
私たち市民連合は、2020年9月に発出した「立憲野党の政策に対する市民連合の要望書―いのちと人間の尊厳を守る「選択肢」の提示を―」15 項目のなかで「国際社会の現実に基 づき、「『敵基地攻撃能力』等の単なる軍備の増強に依存することのない、包括的で多角的 な外交・安全保障政策を構築する」ことを掲げ、さらには今年 2022 年 10 月にも「2022 年臨時国会開会にあたっての市民連合要請書」にて「憲法・専守防衛を基本に防衛費の GDP 比2%拡大、敵基地攻撃能力保有などに反対すること」を明記し、立憲野党各党に要望し政策合意を確認し、また広く市民社会にも訴えてきました。
「敵基地攻撃能力」を保有することは、ただ単に憲法をないがしろにする暴挙というだけ ではありません。底なしの泥沼のような軍事費の増大によって暮らしと経済を脅かす軍拡 競争を加速させる上に、結局、戦争を誘発した結果、相手側のミサイル基地を全て破壊で きるはずもなく、報復的なミサイル攻撃を正当化する口実を相手側に与えます。これは日本の被害をより甚大なものとしてしまうことに他ならず、国民の生命、自由および幸福追求権を守るはずの防衛政策としてもまったく機能しません。
いま必要なのは、地域的安定 をめざす柔軟で強力な外交努力です。 断じて、敵基地攻撃能力の保有は認められません。 今こそふたたび市民と立憲野党の共闘によって、カルト集団との癒着の事実をごまかし、 数々の不祥事を覆い隠そうと躍起になっている自公連立政権によって、平和国家日本の針路を誤ることのないよう、この歴史的な暴挙を阻止しなくてはなりません。
初出 :「リベラル21」より許可を得て転載http://lib21.blog96.fc2.com/
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
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