怒りの年末、次から次へ(1)やはり、ドーハも
- 2022年 12月 17日
- 評論・紹介・意見
- 内野光子
腹立だしいことこの上なく、何から言い出しても怒りは収まらない年末である。
メディアが勝手に盛り上げていたサッカーW杯も日本が負けてホッとしたのだが、全く関心のない者には苦痛でもあった。どのニュース番組も、どの局のワイド番組でも、他に報道すべきニュースはあっただろうに、日本の敗因は、勝因はとか、選手の生い立ちや周辺のエピソードまで、実に騒々しかった。サッカーの好きな人は、テレビの中継やネットで見ればよい。しかし、ホッとしてもいられない事態が生じていたのである。
東京五輪開催の経過も見ても、東京開催誘致の裏にもお金が動いたことはほぼ確実だったし、スタジオ建設、ロゴ問題の騒動、コロナによる延期、マラソン開催地、コロナ対策・・・、問題はあげれば切りがなかった。そして、ようやく明るみに出た五輪の談合疑惑は、泥沼の様相を呈している。W杯についても、開催地誘致や放送権などの利権をめぐっての汚職は、絶えることなく、広く知られるところである。動くお金も多額だし、国を越えての広がりを見せ、W杯の歴史は汚職の歴史、まさに黒歴史といってもいいだろう。マス・メディアは、まったくと言っていいほど報道されてこなかった。
決勝戦を待たず、ドーハ大会をめぐっては、やっぱりというか、EUの欧州議会の副議長が汚職嫌疑で逮捕され、副議長職を解任された。時事通信によれば「欧州連合(EU)欧州議会は13日、汚職などの容疑でベルギー検察当局に逮捕、訴追されたエバ・カイリ副議長の解任決議案を賛成625、反対1、棄権2で可決した」という。彼女は、ギリシャ出身で、元テレビのキャスターだったというが、カタール政府から開催地誘致をめぐって、金品を受け取っていたという(「欧州議会副議長を解任 カタール巡る汚職疑惑で」12/13(火) 23:13配信)。ベルギー捜査当局は、前議員ら4人も逮捕、家宅捜査により現金も押収している。
カタールは、すでに、11月、欧州議会によって移民労働者や性的少数者(LGBTQなど)に対する非人道的な扱いを非難する決議を採択されていた。その人権問題というのが、今回、初めて知ったことなのだが、想像を絶するものだった。
カタールは人口が約280万人で、その大部分が外国人労働者で構成されている。具体的には200万人以上の外国人労働者が働いており、今回のW杯に向けた8つのスタジアムやホテルなどの施設建設のためにも、インド、ネパール、バングラディシュ、パキスタンをはじめとする国外から来た何万人もの外国人労働者が働いているのが現状で、虐待と言えるような状況に置かれていることが明らかになり、大きな問題となっていたのである(Aoi Yagi「カタールW杯の期待に隠れた現実」GNB 2022年10月17日、https://globalnewsview.org/archives/19824)
選手はあずかり知らないことだし、まして観客や中継の視聴者が熱狂するのがどこが悪い?!と、済まされるものなのだろうか。
2022年12月14日、ヤマボウシのえさ台にやって来たメジロのつがい。ガラス窓越しなので、早く直接撮りたいのだが。それにしても仲がいい。
初出:「内野光子のブログ」2022.12.16より許可を得て転載
http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2022/12/post-cef994.html
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://chikyuza.net/
〔opinion12647:221217〕
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