SJJA& WSJPO【西サハラ最新情報】546 大地震・大洪水・難民大統領・国連事務総長
- 2023年 9月 16日
- 評論・紹介・意見
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2023年9月13日までに、モロッコ大地震で亡くなられた方は2,946人、怪我をされた方が5,674人を数えました(モロッコ内務省 発)。 リビア大洪水で亡くなられた方は約 20,000人、行方不明の方が20,000人超、まだまだ増え続けています。 合掌
① 「やーラッビ~(ア=私の神様)」:
「神様、助けて~~!」と、リビア大洪水を報じる映像に、悲痛な女性の叫びが入っていた。2023年9月8日、大地震に見舞われたモロッコ王室内閣が取った緊急第一号対策は、祈ることだった。地震発生当時、ムハンマド六世モロッコ国王はパリにいて、一秒を争う救出作戦を出すことができず、ただただ、国王の帰国を待つしかなかった。瓦礫の下から、「早く出してくれ!」、瓦礫の前では、「道路が封鎖されていると言い訳をして、この山村には役人が誰もこない。生き残った我々には食料も水もない」と、BBCのレポーターに村人たちが訴えた。BBCテレビクルーが入れたのだから、アメリカから戦車を購入したモロッコ軍が入れない理由はない。大量のドローンをイスラエルから購入したのだから、国王の威信をかけて臣民の救助に飛ばすべきだ。が、、
パリ帰りの国王陛下は、MAP(モロッコ国営通信)によると、最大被災地マラケシュにあるムハンマド六世病院を訪れ献血をされた。そして、モロッコ地震の援助国をまずはイギリス、スペイン、UAE、カタールの4友好国に絞った。ということは、アメリカも中国もロシアも日本もイスラエルもフランスも、友好国ではないんだ?
MAP(モロッコ国営通信)は必ず、王室ニュースから始める。地震対策に関しても、王令を受けた支援緊急計画委員会発足を報せ、「(義援金のため)開設された特別口座の取り扱いは、アルマグリブ銀行と王国の財務省が担当する」と、義援金速報を田した。9月14日にMAP(モロッコ国営通信)は、「SNSが流した、マラケシュのムハンマド六世財団が義援金を一括するため(共同治安機関が)援助分散禁止令を出したというニュースはフェイクだ」と、警告した。が、真相は闇の中、、
モロッコは、西サハラをモロッコ領土に含む特別地震被災地図を作り、被災地をアルハウズと明記し、モロッコNO1観光地のマラケシュの名を避けた。観光メッカ・マラケシュから地震のイメージを拭い去ることに必死で、外国人観光客を早々と呼び込んでいる。が、余震は数か月間続くそうだ。モロッコはマラケシュでの国内イベントを延期したが、10月9日から15日までの<マラケシュ国際塚基金・世銀年次総会>は開催する予定だ。
② 10月末が期限の宿題を、大慌てで片そうと飛び回る国連特使:
2021年11月に西サハラ国連事務総長個人特使に就任した元イタリア外交官スタファン・デ・ミストラ氏は、10月31日の任期切れを目前にして。やっと、植民地国モロッコからモロッコ占領地・西サハラ入りを認められた。デ・ミストラ国連特使は9月4日から7日までモロッコ占領地・西サハラを訪れ、その後、9月8日にモロッコの首都ラバトでブリタ・モロッコ外務大臣に会った。
9月11日に国連ニューヨーク本部で、デ・ミストラ国連特使は、ブラヒム・ガリSADR(サハラウィ・アラブ民主共和国)難民大統領兼ポリサリオ戦線事務総長と会談した。両者はこれまでも会談を重ねてきたが、今回は、デ・ミストラ国連特使によるモロッコ占領都市ラーユーンとダハラ訪問の報告から始まった。そして、デ・ミストラ国連特使は、「西サハラの人々が民族自決権を行使できるようにするために、国連決議の実施という形で、西サハラの和平交渉を前進させるべく努力を継続する」と、明言した。
一方、ガリ難民大統領は、「モロッコ占領地・西サハラへの国連特使訪問は、彼の使命と国連の責任で、それ自体が目的ではない。ましてや、モロッコ占領国からのお恵みであってはならない」と、牽制した。そして、難民大統領は、「西サハラにおける国際法と国際人道法の遵守を確保し、無防備な西サハラ被占領民を保護し、モロッコ占領国によって犯された重大な違反を止め、西サハラ天然資源のモロッコ略奪に終止符を打たなければならない」と、強調した。さらに難民大統領は、「モロッコの刑務所にいる全ての西サハラ民間人収容者を直ちに釈放する作業は、国連の責任だ」と、糾弾した。
ニューヨーク国連本部で、左にブラヒム・ガリ西サハラ難民大統領、
右にアントニオ・グテーレス国連事務総長
③ 国連特使より活発な難民大統領外交:
9月8日の夜、マラケシュ地方で大地震が起こった時、西サハラ難民大統領はすぐにモロッコの被災者を元気づけるメッセージを送った。
西サハラ難民大統領の外交活動は、世界中が暑さで干上がっている8月末に始まった。
8月22日から24日まで、南アフリカのヨハネスブルクで開催されたBRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)サミットに参加した。難民大統領は、「アフリカ最後の植民地・西サハラが存在する限り、アフリカ大陸の平和と安定は確保できない」と、国連事務総長も含んだ各国の首脳に訴えた。BRICSグループは、「安保理の諸決議に従い、MINURSO(ミヌルソ・国連西サハラ人民投票監視団)活動の下で、西サハラ問題に対する永続的かつ相互に受け入れられる政治的解決策が必須だ」と明言した。
9月1日から3日まで、ジョシュア・ハリス米国務次官補が率いる米国からの代表団が、初めて西サハラ難民キャンプを訪問した。米訪問団はいくつかの難民施設を見学し、西サハラ難民政府指導者や女性や若者のグループと会談した。米国務省中近東代表団にガリ西サハラ難民大統領は、「西サハラ難民と被占領民が求めている<脱植民地化>は、国連決議とアフリカ連合憲章に基づくものである」と、強調した。
9月4日から8日までケニアの首都ナイロビで開催されたアフリカ気候サミットに。ガリ西サハラ難民大統領は参加した、サミットは11月のドバイCOP28に向けた国連アフリカ第一回気候サミットとも呼ばれ、グテーレス国連事務総長を含むアフリカやその他の地域指導者が参加した。西サハラ難民大統領は、ブル―エコノミーに焦点を当て、「大西洋に面して長い海岸線を持ち、豊かで手つかずの海洋資源に恵まれた西サハラ領海は、モロッコに占領されたままだ。西サハラは正当な権利を取り戻し、国際社会に貢献したい」と、訴え、「SADR(サハラウィ・アラブ民主共和国)が気候変動に立ち向かう上で、アフリカと世界に貢献する権利と義務を奪われることはない」と、見事に決めた。
9月11日、ニューヨーク国連本部で、ガリ西サハラ難民大統領はグテーレス国連事務総長と会談した。難民大統領は、「西サハラ人は戦争屋ではない。サハラ人は自己決定と独立に対する不可侵で揺るぎない権利を行使できるようにするという目標に向かって、あらゆる種類の譲歩と犠牲を払ってきた」と、強調した。 、
さらに難民大統領は、「アフリカ最後の植民地主義を終わらせるために、事務総長及び国連特使への協力を惜しまない、、西サハラ人は、国連憲章とアフリカ連合憲章で保証されたすべての合法的な手段で、民族自決権と国家的願望を固守していく」と、明言した。
グテーレス国連事務総長は、「西サハラ人が自己実現の権利に対する国連憲章を遵守し、国連決議に従ってそれを実現するため努力し続けるということを、改めて確認できた。西サハラ個人特使の努力が、この紛争の解決を加速させることを願っている」と確約し、長時間の会談が終わった。
国連側から、ローズマリー・ディ・カルロ政治・平和構築担当事務次長、デ・ミストラ西サハラ国連事務総長個人特使。マーサ・アマ・アキャア・ポビー アフリカ担当事務次長が参加し、サハラウィ側から、シデイ・オマル西サハラ国連代表兼MINURSO担当、アブダティ・ブリカ大統領顧問、マライニン・サラマ西サハラ国連代表顧問などが参加した。
デ・ミストラ国連特使は、9月13日にアルジェリアの首都アルジェに入り、アタフ・アルジェリア外務大臣と会いました。 これからモーリタニアに向かうそうです。
両国とも、国連が指導する「モロッコと西サハラ・両当事者交渉」のオブザーバーです。
一刻も早く、2019年3月から中断している<両当事者の交渉>の再開をお願いします。
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「サラー西サハラ難民アスリート」の出版情報です。
著者:平田伊都子、写真構成:川名生十、画像提供:アマイダン・サラー、SPS、
定価:本体1,800円+税、
発行人:松田健二、
発行所:株式会社 社会評論社、東京都文京区本郷2―3―10、電話:03-3814-3861
同じ「社会評論社」が出版してくださった「ラストコロニー西サハラ(2015年)」、「アリ 西サハラの難民と被占領民(2020年2月)」にも、お目を通してください。
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Youtube2018年7月アップの「人民投票」(Referendum)もご案内。
「人民投票」日本語版 URL :https://youtu.be/Skx5CP3lMLc
「Referendum」英語版 URL: https://youtu.be/v0awSc25BUU
Youtubeに2018年4月アップした「ラストコロニー西サハラ」もよろしくお願いします。
「ラストコロニー西サハラ 日本語版URL:https://youtu.be/yeZvmTh0kGo
「Last Colony in Africa] 英語版URL: https://youtu.be/au5p6mxvheo
WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名生十 2023年9月16日
SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://chikyuza.net/
〔opinion13239:230916〕
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