「脱原発運動」と「気候変動運動」が共同行動 新しい潮流、東京・代々木公園に8000人
- 2023年 9月 19日
- 評論・紹介・意見
- 原発岩垂 弘気候変動社会運動
社会運動に新しい潮流が生まれた。9月18日(月・祝日)、炎天下の東京・代々木公園B地区で行われた「ワタシのミライ イベント&パレード!!」である。その実体は、脱原発を目指す運動と地球環境保護を目指す気候変動運動のコラボレーション(共同行動)であったが、この2つの潮流のコラボは初めてであり、この運動がこれから先どう展開されるか注目される。
「ワタシのミライ イベント&パレード!!」を主催したのは、「さようなら原発1000万人アクション」「ワタシのミライ」「Frideys For Future Tokyo」の3団体である。
さようなら原発1000万人アクションは、2011年3月に東京電力福島第1原発の事故が起きた直後に、評論家・内橋克人、作家・大江健三郎、同・落合恵子、ルポライター・鎌田慧、作曲家・坂本龍一、ノンフィクション作家・澤地久枝、作家・瀬戸内寂聴、詩人・辻井喬、評論家・鶴見俊輔の9氏の呼びかけで発足した団体で、これまで毎年、3月と9月に東京で脱原発を目指す全国集会を開くなど、脱原発運動をリードしてきた存在だ。
ワタシのミライは、気候変動、人権、生物多様性などさまざまな社会問題に取り組む団体が協力するムーブメント。Frideys For Future Tokyoは、2019年から気候変動問題解決に向けた活動をしている。
これまでは、これらの団体が一堂に集まって一緒に行動をすることはなかった。まず、運動の課題が違うということがあった。それに、運動の主体が違う点も影響していた。「さようなら原発」の運動を担ってきたのは主として旧総評系の労組員で、しかも若い人が少ない。一方、「ワタシのミライ」と「Frideys For Future Tokyo」の課題は気候変動問題などで、運動の主体はどちらも若い人たちだ。
関係者によると、「さようなら原発」側は以前から「脱原発の運動の幅をもっと広げたい。とりわけ若い人の参加を増やしたい」と考えていたそうで、そうした思いから2団体にコラボを呼びかけたという。その背景には「地球環境の保護は脱原発運動が掲げる目標の1つであり、2つの団体と共通の基盤に立てる」という考えがあったようだ。
一方、「Frideys For Future Tokyo」の関係者の1人は「わたしたちは、これまで脱原発の運動をしてこなかったが、ぜひやりたいと思ってきた。そんな時、さようなら原発からお誘いがあったので受け入れた」と語った。
会場で配られたプログラムには「脱原発」「NO NUKES」「NO FOSSILS」「EARTH IS ON FIRE!」「再エネ100%!」「地球は1つしかない」「緑をふやそう」などの文字が氾濫していた。この催しが何を目標としているか、一目瞭然だった。
この催しがこれまでと違うなという印象を与えた1つは、催しの最後に決議や宣言を採択しなかったことにも現れていた。
その代わり、ステージでは4回にわたる「テ―マトーク」が行われ、延べ21人が舞台に上がって座り、各回ともまるで座談会のような形式でテーマを巡って各人が自由に発言した。
発言は実に多岐にわたったが、「脱原発にしても再生可能エネルギー問題にしても、はたまた気候変動問題にしても、私たち一人ひとりが考え、行動しなければ解決しない」といった発言が多かった。
この種の催しでは、主催者や各団体の代表らが登壇して演説したり、報告をし、最後に決議を採択するというのが通例である。だから、とても新鮮な印象を与えた。
いつもの「さようなら原発」の集会よりも若い人や一般市民の姿が目立ち、これも新鮮な感じを与えた。
参加者(主催者発表は8000人)は午後3時過ぎ、渋谷コースと原宿コースに分かれてパレードに出発した。
初出 :「リベラル21」より許可を得て転載http://lib21.blog96.fc2.com/
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