少年ホスト会社を育てたジャニー喜多川 - ジャニーズが清算されなければならない理由
- 2023年 9月 20日
- 評論・紹介・意見
- ジャニーズ性犯罪盛田常夫
欧州にいると日本の大衆文化の小児(幼児)性が気になる。良い悪いは別にして、欧州では大人の文化が主役で、子供の芸能が占める割合は無視できるほど小さい。ところが、今の日本では男女を問わず、アイドル文化が大衆文化の大きな位置を占め、ジャニーズやAKB48に代表される少年少女芸能がテレビを席巻している。 いつの間にか日本の大衆文化の世界で子供の学芸会が主役になり、テレビ会社が中心になって少年少女芸能をプロダクションから高値で買い、スポンサーは小児性文化を利用して会社の商品やサーヴィスを売っている。大衆芸能のインフレ現象である。
ジャニー喜多川が年端も行かない少年たちを芸能者に育てた才覚には感心するが、そのベースが事実上の少年ホストという特異集団の育成にあり、喜多川本人が商品としての少年ホストを自らの幼児性愛の対象にしていたという事実には驚くしかない。しかも、60年近くの長期にわたって、数百あるいは千を超える少年を対象にしていたから、関係者のほとんどはジャニー喜多川が所属タレントを小児性愛の対象にしていた事実を知っていた。彼らも皆、小児性愛犯罪の共犯者である。
お手付き少年ホストを商品として販売することを手助けしたのはプロダクションだけではない。それを知りながら、テレビ局は若年層の大衆文化として少年ホストの芸能を高値で買い、番組スポンサーはその資金を提供してきた。そして、一般視聴者はスポンサー料だけ高くなった商品を買って少年ホストの芸能を楽しみ、少年はジャニーズに少女はアイドルにあこがれるという小児(幼児)性文化が肥大化するという循環を生み出した。
このように考えると、ジャニーズ帝国を肥大化させたのはプロダクションだけでなく、テレビ局やスポンサー企業にとどまらず、それを好んで消費してきた一般視聴者(消費者)だということが分かる。そして今、はっきりしたことは、少なくともスポンサー企業はジャニー喜多川の小児性愛(虐待)を重大犯罪として認識し始めたが、テレビ局や一般視聴者にはその認識が依然として希薄なことだ。明らかに日本社会の小児性や特異性がこの問題の背景にあることが分かる。
最近の事例では、2018年、アメリカ体操選手団の専属医師が少女選手への性的虐待の罪で、40年から175年の不定期禁固刑を言い渡された。欧米では小児性愛犯罪は重罪である。ジャニー喜多川の少年への性的虐待の罪はこの医師の比ではない。日本のテレビ局にも日本の一般視聴者にも、そのような認識が欠けている。当事者である東山紀之にも藤島ジェリー景子にもその認識がない。だから、社名を変えずに、会社を続けることができると考えているのだろう。いくら言葉で厳しい表現を使っても、ジャニーの名前を残して活動できると考えるのは、犯罪認識がないからだろう。
欧米の先進国でこのような事件が発覚した場合、社名を変えた程度で事は済まない。会社は賠償金を支払った後に清算されるだろう。個々のタレントはその実力に応じて、独立するか、別の事務所へ移籍する。
確かにいろいろな意味で東山紀之は加害者でもあり被害者でもある。合宿所という閉じられた少年ホスト集団社会では少年相互が小児性愛へ同化せざるをえなかっただろう。それはきわめて不幸で悲しいことだ。だから、ジャニー喜多川の犯罪をきちんと断罪しなければならない。大岡越前を演ずるがごとく言葉で断罪するのではなく、犯罪者が創設した会社を清算することでしか、ジャニー喜多川を断罪することはできない。性犯罪をベースに築き上げた会社資産は、すべて、被害者救済と社会福祉事業に充てるべきだ。そうすることでしか、故人の犯罪を償うことができない。小手先の弥縫策で乗り切れる問題ではない。東山や藤島ジェリーがそれを決断できる器量を持っているとは思われないが、いずれ現実の厳しさが会社清算を迫る時が来るだろう。
これを機に、日本の大衆文化が少しでも小児性を脱却することを期待したいが、それは無理だろう。
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