シンポジウム:「日本政治の分岐点」(研究所テオリア)の案内
- 2023年 10月 6日
- 評論・紹介・意見
- 白川真澄
親しい友人・知人のみなさま。ようやく秋らしくなってきましたが、お元気でお過ごしのことと思います。10月15日(日)にテオリア主催のシンポ「日本政治の分岐点」が行われます。なぜ、維新の会は支持を伸ばすのか、また杉並区に見られるミニュシパリズムの可能性をどう考えるか、という重要なテーマを扱います。お忙しいとは思いますが、時間をとって、ぜひ会場あるいはオンラインで参加していただくようお願いします。
みなさま。10月15日(日)に開催されるシンポジウム「日本政治の分岐点」(研究所テオリア)の案内をさせていただきます。
岸田政権は低い支持率から抜け出せていませんが、内閣改造に続いて物価対策を柱とする大型の補正予算=バラマキ政策によって何とか支持を回復し、解散・総選挙に打ってでる早い機会を狙っています。「台湾有事」を呼号する大軍拡、マイナカードの強制と保険証廃止、現金給付だけの少子化対策、財源を定めないままの財政支出の膨張と、重要な政治的争点が数多くあります。しかし、対決点がクリアにならないまま総選挙が行われれば、自公両党がかなり議席を減らすとしても、「身を切る改革」を謳い文句にする日本維新の会が伸長し、リベラル・左派の勢力は片隅に押しやられてしまうでしょう。日本の政治は、「保守」VSネオリベ「改革」が対抗軸となるものへと変質する重大な岐路=危機に立たされています。
右翼ナショナリズムである維新の会が「改革」派として、なぜ、高い支持を受けるのか。リベラル・左派の勢力はどうすれば、元気のない現状から脱却し、対抗力として再生できるのか。この問いに向き合いながら、地域と市民運動のなかで確実に胎動する新しい流れに注目したいと思います。岸本聡子杉並区長を誕生させた動きは、今春の地方選挙でもエコロジー・市民参加をめざす女性の議員を当選させました。ヨーロッパの地方自治体で広がるミニュシパリズムの流れが、日本でも芽吹きはじめています。
日本の政治が重大な岐路=危機に立っている現在、私たちはどこへ向かうべきか。現状をリアルに捉えなおしながら、ローカルに胎動する希望を大切に育てていく道を探ってみたいと思います。
維新の会が支持を受ける秘密を分析してきた吉弘謙介さん、杉並区長の誕生をリードしミニュシパリズムに詳しい内田聖子さんを講師に招いてのシンポジウムです。ぜひ、多くの方の参加をお願いします。
研究所テオリア第12回シンポジウム 日本政治の分岐点
◎講演 維新「身を切る改革」の実態を検証する
吉弘憲介さん(桃山学院大学教授)
◎講演 日本におけるミュニシパリズムの可能性
内田聖子さん(アジア太平洋資料センター共同代表)
◆日時 10月15日(日)午後1時開場、午後1時半~4時半
◆会場 文京区民センター2A(地下鉄春日駅・後楽園駅)又はZoom
※Zoom申込は10月7日まで。参加費は研究所テオリア口座(郵便振替 00180-5-567296 研究所テオリア)に振込ください。会場参加は当日払いで構いません
◆参加費 1000円(テオリア会員500円)
主催 研究所テオリア
東京都北区田端1-23-11-201 TEL・FAX 03‐6273-7233
E-mail:email@theoria.info
日本政治の分岐点
▼岸田自公政権は敵基地攻撃能力(「反撃能力」)保有と「防衛費」倍増という日本の政治・財政の大転換を押し進め、通常国会で次々制定された法律が示すように、外国人・マイノリティの人権、民主主義、気候危機をないがしろする政治が大軍拡・原子力推進と一体になって進んでいます。
2023年4月の統一地方選・衆参補選では自公が横這い・辛勝、「リベラル・左派」が敗北する中、「右派ポピュリズム」=維新が議席を伸ばしました。22年参院選から続く傾向です。2012年からの保守・リベラル・ネオリベの三極構造は揺らいでいます。
今春以降の世論調査では維新が政党支持率で野党トップとなり、維新は次期衆院選での野党第一党を目標に自民・維新の保守二大政党の構図をめざしています。世界的な新自由主義(ネオリベ)改革の見直し・再公営化の流れの中で、日本では維新に代表される「ネオリべ改革」(減税、緊縮財政、民営化)への根強い支持が続いていることになります。
ヨーロッパや中南米では、住民生活と公共性を破壊してきた新自由主義に対して、地域住民主導で「公共(コモンズ)」の力を回復していく「ミュニシパリズム(地域主権主義)」の潮流が勢いを増しています。
4月統一地方選挙でも、杉並区では岸本聡子区長誕生(22年6月)からの市民参加の流れによる投票率上昇もあって自民が議席を減らし、岸本区長と連携する女性議員・新人議員が多数上位当選するという変化が起きました。全国的にも杉並など9つの自治体議会では女性議員が半数以上となるなど変化の兆しがみられます。
シンポジウムではイメージと裏腹に「小さな政府」にはなっていない維新の財政運営の実態について吉弘憲介さん(桃山学院大学)、日本のミュニシパリズムの可能性について、杉並区長選挙の岸本聡子選対責任者を務め、岸本区長の政務をサポートする内田聖子さんに話してもらいます。(2023年8月)
講師プロフィール
吉弘憲介 よしひろけんすけ。桃山学院大学経済学部教授。財政学、租税政策。1980年生まれ。論考に「検証・大阪維新の会の財政運営 普遍主義に潜む社会的分断」(「世界」2023年6月)、「居住福祉と社会資本」(『現代社会資本論』(有斐閣)所収)など
内田聖子 うちだしょうこ。NPO法人アジア太平洋資料センター(PARC)共同代表。NPO法人日本国際ボランティアセンター理事。22年6月杉並区長選挙で岸本聡子選対本部長を務め、岸本区長の政務をサポート。共著に『自由貿易は私たちを幸せにするのか?』(コモンズ)、編著に『日本の水道をどうする!?――民営化か公共の再生か』(コモンズ)など
文京区民センター 東京都文京区本郷4-15-14
●東京メトロ丸ノ内線・南北線 後楽園駅4bまたは5番出口 徒歩4分
●都営地下鉄三田線・大江戸線 春日駅A2出口 徒歩0分
●JR中央・総武線 水道橋駅 徒歩10分
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研究所テオリア
連絡先 東京都北区田端1-23-11-201 TEL・FAX 03-6273-7233
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〔opinion13282:231006〕
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