福島と沖縄・人心の動向
- 2011年 9月 2日
- 交流の広場
- 海の大人
9月1日の新聞は対照的な記事を載せていた。琉球新報は1面トップで、「県人口140万人突破」「8月1日現在推計 12年余で10万人増」「高出生率や移住増影響」「元気の源、喜ばしい 仲井真知事」と伝えている。「70万県民」とか、「80万県民」と謂う言葉を枕に祖国復帰闘争が闘われていた時代を思い出すと、夢のような話である。
他方、日経新聞は1面トップは、「被災地にエコタウン」「日本IBM・カゴメなど20社」「自然エネを活用 仙台に野菜工場」として、「政策協議 自公に呼びかけ」「野田新首相、今日党首会談」を2番手に、「ロシア、日米と連続演習」「日本海とグアム上旬から個別に 中国の軍拡けん制」を3番手に、と謂う構成で組んである。囲みのような体裁で「企業の直接投資新興国が6割に」「10年度、欧米向けは低水準 成長市場にシフト」と謂う記事も4番手である。
悲しいのは38面(第2社会面か)に小さく「福島県の人口200万人下回る」「33年ぶり」と謂う記事が出ている事である。その記事の上には「原発作業員2人汚染水浴びる」「福島第1、被曝量は微量」とあり、横に記事は「各地の放射線量」と謂う表が乗せてある。さらにその上には「基準値超焼却灰 セメントで固め処分可」とあるから、原発災厄の反映である事は誰にでもわかる。
災厄はなお続いており、人々は移住を含めて対処の最中にあると謂うことである。しかし、沖縄基地の中にも、軍事的資源、廃棄物として放射性物質があることは、この間明らかになっているし、福島原発関連瓦礫が「ともだち作戦」の結果持ってこられて放置されている事も明らかになっている。この瓦礫の処理は日本政府が行う事になっているが、もちろん、菅首相が退任直前に福島県知事に「福島県に放射性汚染物質の中間保管施設をお願いせざるを得ない」と明かしただけの段階で、しかも、それに閣僚から不快感の表明が為されているような状況であるから、沖縄から移転させるような事が出来る筈もない。
9月2日、本日は野田内閣の発足の日である。しかし、何も沖縄基地が動くと謂う気配は無い。福島原発厄災を収められる気配も無い。日本経済が再度元気を取り戻す気配も無い。日本国民が事態の打開に動く気配も無い。ただ、話題にされているのは「民主党再建の可否」のみである。その中でしかし、沖縄と福島はとりあえず、人々の関心の対象としては、かように、「逃げる場所」、「逃げて住み着く場所」として措定されているのであろう。
無常とは無情であるな。
「ちきゅう座」に掲載された記事を転載される場合は、「ちきゅう座」からの転載であること、および著者名を必ず明記して下さい。