小出先生、「東電の工程表は絵に描いた餅、汚染物質はすべて東電へ」
- 2011年 9月 2日
- 交流の広場
- 松元保昭
みなさまへ 松元
小出先生、一週間ぶりの「たね蒔きジャーナル」9月1日分の転送です。
スリーマイルのように核燃料を取り出すことは不可能で、もはや「工程表は絵に描いた餅でしかない」と語ります。
また膨大な汚染物質は、すべて東電本社に、せめて福島第一原発の敷地内に持っていくべきで、そこを核の処分場にするしかないだろう、と言っています。
●「小出裕章非公式まとめ」に生の声がアップされています。
http://hiroakikoide.wordpress.com/
=====以下転送=====
永岡です、毎日放送ラジオ「たね蒔きジャーナル」、今日は千葉猛さんの司会、毎日新聞本社論説委員の落合博さんの案内で放送されました。
原発関係のニュース、半径20km以内の警戒区域で、3kmの一時帰宅が半年振りに実現しました。2kmにいた68歳の女性、主人の遺骨を持ち帰りたいということでした。安定的に冷却されていると、3kmも帰宅です。
川内原発停止となり、厳戒原発も定期検査で、九州の原発がすべて止まります。12月に再開を目指すものの、見通しは立っていません。
千葉県、米を生産している52地区の検査をして問題なしでした。2地点で40ベクレル程度でした。
そして、小出先生のお話、1週間ぶりです。この間、総理が脱原発の菅氏から、再開したい野田氏に変わるのですが、小出先生政治が大嫌いで、「残念です」とのことです。
昨日、1~4号機の廃炉で、作業工程案を出し、ロボットで建屋を除染し、中を水で満たすというのですが、これは出来ない、ロボットでの除染は、完璧には出来ないが、人間が入れるまで、ロボットにしてもらうしかないのです。それだけでは人間が入れず、大変なのです。
格納容器の水漏れを直すのは無理であり、難しいのは融けた炉心が、圧力容器の中にあったはずであり、この中に炉心があれば作業は容易ですが、これを融かして外へ出ている、格納容器を水没させるのは無理で、取り落ちたものはペレスタル(圧力容器の下)にあり、東電はここに炉心が残っていると期待しているのですが、ペレスタルから出ていると思われ、これの回収は今の東電の工程表では無理であり、困難なのです。
アメリカのスリーマイルの話があり、こちらでは東電の対応で出来たものですが、3つもメルトダウンしており、1号機はメルトダウンを国も認めている、圧力容器の底が抜けて、スリーマイルのようなことは出来ない、2,3号機は炉心がどこにあるか分からない、絵に描いた餅なのです。
どう処理していいかは「分からない」、人類が始めて遭遇する事態であり、今どうなっているかも不明で、その後の未知の領域に踏み込まないとだめで、東電は楽観的、未知の領域に入っていないのです。
汚染された瓦礫、8000~10万ベクレルを一般廃棄物としての処理を国は決めたのですが、放射能に安全性は使っていけない、危険を我慢するかであり、原発を解体、廃炉にすると60万立方メートルのごみが出て、あるレベル以下のゴミを放射能として扱わなくていいという法律(1kg100ベクレル以下)を作り、しかし、そんなことを言っていられない、8000ベクレルも容認し、「途方もないことを言い出した」、「この程度の危険なら受け入れるしかない」のです。原子炉1つで60万立方メートル、福島はそれも比較にならない膨大なもので、下水の汚泥もある、それを、どうやって始末するか、法律で対処不可能であり、「ある程度のことは我慢するしかない」のです。
菅総理、福島に中間処理施設を作ると言い、しかし、最終処分になるのですが、「これは悩ましい」、瓦礫、避難地域の大地も汚されており、放射性物質、本来は原子炉の中にあるもので、東電の所有物が事故で噴出し世界に汚染している、これを「東電に返す」、理想は原子炉内に返すのですが、福島第1の敷地内に戻すしかない、小出先生の夢は「東電の本社に持っていく」物なのですが、原発敷地内に持っていくしかないが、それでは足りない、原発の周囲で、二度と人の住めないところに核のゴミを置く、これは言いにくいことだが、しかしだからと言ってそこを日本中の核のゴミの墓場にしてはいけない、今回の事故に限りこの処置をすべきなのです。
やはり、小出先生の誠実なお話の書き起こしは、厳しい話でもやりがいがあります。これを、お知らせいたしました。
なお、明日のたね蒔きジャーナルは特別編成のためのお休みです。また、来週お伝えいたします。
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