くらしを見つめる会つーしん NO.233から
- 2024年 9月 3日
- 交流の広場
- 村山起久子
消費税は何のためにあるのか
かつては「一億層中流」、今や国民の6.5人に一人が貧困となった日本だが、消費税が10%となって以来、国の税収は毎年過去最高!輸出大企業も3年連続過去最高益だ。一方、インボイス導入により、年収ではなく売り上げ1000万円以下の零細自営業者も借金してでも消費税を払わざるを得ない人が増えた。消費税だけは生活保護を受けていても、ホームレスでも、業績が赤字でも借金してでも払わないといけない。税金滞納のトップは消費税で、払えなくて倒産した企業も多くある。所得全体に対する負担率が高く、逆進性のある税、無いところからも取る、過酷な税金が消費税だ。消費税はフランスで始まり、あっという間に欧州に広まった「輸出企業への輸出還付金を目的とするもの」だ。日本ではトヨタなど輸出大企業を抱かえる地域の税務署は輸出還付金が多くて赤字になっている。
ところで、消費税が増えると減る税金がある。企業が払う法人税は消費税の度に減っている。そして増え続ける非正規雇用。パートであっても直接企業に雇われると人件費が発生するが、派遣社員の給与は(人件費でなく)仕入れとみなされ、消費税の仕入れ額控除の対象となり、社会保険料もかからず企業にとっては経費削減になる。法人税も輸出還付金も派遣社員の給与も、消費税が上がれば上がるほど企業が儲かる仕組みなのだ。だから経団連は2025年までに19%まで上げるよう提言している。
本当に消費税が福祉のために使われるのなら「消費税増税で良くなりそうなものだが、むしろ悪くなる一方なのはなぜ?」そんな素朴な疑問を持つ。これが一番大事ではないのか。「難しいことはわからないから何も言えない」それではお上の思うツボだ。インボイス導入は消費税を搾り取るだけでなく、ひとまとめにできない個人事業主をつぶし、大企業にモノ言わぬ安い労働力を提供するためとも言える。消費税減税が最も有効な経済政策なのにも関わらず、コロナ禍でも日本だけは頑なに消費税減税をしなかった。無いところからも取って格差を広げ、大多数の国民をどんどん貧しくして考える力も余裕も奪い、政府の言いなりになるよう仕向ける税金が消費税だ。 (池上素子)
……中略……
♬こんな本いかが?
書いてはいけない 日本経済墜落の真相 森永卓郎著 三五館シンショ
多くの出版社に断られやっと出版できたという本著。紹介されている「マスコミタブー」の3つのうち、1つ目はジャニー喜多川さんによる性加害・虐待問題。2つ目はベストセラーになった著者の前作『ザイム真理教』のまとめ。政治家やマスコミ、著名人などに緊縮財政・増税の必要性を布教活動するカルト教団のような財務省。緊縮財政を批判した新聞社やフリージャーナリストのところに国税庁が税務調査に入り、あら捜しして申告漏れを指摘、巨額の追徴課税を徴収。脅して見せしめとし信者にさせる。景気上昇での税収増は評価されず増税すると出世する巨大権力・財務省。財務省と国税庁を完全分離させ、天下りを禁止しないと経済政策の歪みは正せないと著者は言う。さらに本著の肝は3つ目の「日航123便はなぜ墜落したか」。様々な目撃証言、時系列の事実、データを検証した青山透子さんの著書、事故直後の報道などから墜落の原因は自衛隊機のミサイル誤射によるもので、横田基地に着陸しようとしていた123便を阻み、墜落させた上、助けられる乗客を見殺しにした。さらに、自衛隊機のミサイル片証拠隠滅のため特殊部隊によって事故機周辺が焼き尽くされたこと等が紹介される。この件で米国、ボーイング社に借りを作った日本政府はプラザ合意、日米半導体協定など日本にとって不利益となる経済政策を進め、日本経済凋落のきっかけとなったと著者。政府の隠蔽体質とそれに同調するタブー多きマスコミとの共犯関係は深刻だ。タブーとされる問題の根は深い。情報を得、自身で考え続けることが大切だと思う。
<編集後記>
東京都知事選は環境破壊等で問題になっている神宮外苑開発や晴海フラッグ(東京オリンピック選手村)の格安販売(*注これらの中心にいる三井不動産へ東京都から幹部14人が天下り、小池知事との関係も指摘されていた)、弱者いじめの政策等、マスコミは小池都政の重要な問題を伝えず、候補者討論会をすることもなく、むしろ対抗した蓮舫さんをバッシングする報道が目立つ中で、現職の小池百合子さんが完勝しました。選挙後に注目を集めたのは蓮舫さんを抜いて2番目に得票した石丸伸二さん。YouTubeで人気を博し無党派層を引き付けたようだけれど、広島県安芸高田市長の時の居眠り議員への攻撃は脳梗塞を患っていた議員にも向けられ(その後議員は死亡)、嫌がらせやポスター代不払いなど対立と分断を煽る手法で、見ていると心がささくれ立ち、悲しくなります。彼の都知事選の選対本部の主宰は自民党裏金議員の萩生田光一さん等、安倍元総理の応援団でした。維新が出てきた時と同じように自民党に対立する自民党分派とも言えるものを作って、有権者の怒りを真の野党に向けさせたくない財界など自民支持層の戦略のように思えます。マスコミの酷さ、人気投票のような選挙民主主義の限界、リベラルの退潮、都知事選で考えさせられたことは多々。活かしていかなくては! (きくこ)
「ちきゅう座」に掲載された記事を転載される場合は、「ちきゅう座」からの転載であること、および著者名を必ず明記して下さい。