Giese-Salzに関して(続き)
- 2011年 9月 23日
- 交流の広場
セシウムキラーのギーゼ塩: 日本は機会を看過
8月24日、2011年 ラインハルト ツェルナー (理恵グローガー訳)
アンモニウムアイゼンヘクサシアノフェラット(AEHCF)とは、この物質の科学的名称である。この物質(ギーゼ塩)は1970年代にドイツ人の獣医、ヴェールナー・ギーゼ氏によって発見された。ギー ゼ塩は、放射能物質セシウム137を生物の体内から取り除く上で、非常に効果的な物質である。-言い換えれば、ギーゼ塩は飼料に添加され、飼料添加物として、放射能物質セシウム137で汚染された牛や羊などの種蓄、またイノシシなどをかなりのレベルまで除染することができるという、役立つ物質である。副作用はなし。強調したいが、生きた生き物においてである。
ギーゼ塩にポジティヴな効力があるという証拠は、豊富にある。例えば、特許出願があること、南ドイツ新聞(Süddeutschen Zeitung)のリポート.....それから、もちろん学術的論文もある。残念なことに、これらの事は日本では殆ど知られていない。チェルノブイリ事故後のドイツにおいて、このギーゼ塩は、畜産業の崩壊を防ぐという重要な役割を果たした。そして日本では、肥育された家畜が汚染されてしまっていたという警戒すべきニュースが、日本国民を不安にさせている。こういった事実があるにも拘らず、日本の農林水産省も公衆も、AEHCFの中に、どのような固有的可能性が潜在しているのかということを無視しているのである。
彼らがこのように無視をしているのは何故なのだろうと、ある日本の農業関係ジャーナリストが調査したのだが、彼の調査結果によれば、これは全く官僚主義的なものが原因となっているということである。ギーゼ塩にしても他の除染物質にしても、これまでのところ、農林水産省からのお墨付きは得ていない。農林水産省は、セシウム137の生物崩壊速度率(体内での半減期およそ60日間)によって、セシウム137による内部被曝は、農林水産省がこのような除染物質を承認する前に、もっと速いスピードで消滅してしまうのだからと、単純に想定しているのである。第二に、国が場合によっては、汚染された家畜を買い上げる可能性もあるという計画が、もう既にあるということである。第三に、放射能汚染された家畜の糞尿を、どのようにして処理してよいのか分からないこともある。
すなわち、農林水産省は― よくある日本の官庁的考え方で ― 能動的・積極的な消費者保護施策の代わりに、「そのうち何とかなるさ」といった「願望主義」に依存しているのである。まあ、これもひとつの考え方であることは確かなのだが。しかし一方では、このような考え方というのは、同じ農林水産省内で非常に懸念されている日本農業の「風評被害」、その「風評被害」を避けるためには、何の役にも立っていないのである。
(*編集部からの質問へのツェルナー氏夫人Kさんからの返信を参考までに添付します。)
Giese-Salzについて日本の専門紙に問い合わせたのは私です。Giese-Salzで検索をかけますとドイツ語で様々な情報が出てきますので、ご参考になさって下さい。ドイツ人はこれでセシウムが排出されて基準値を下回れば食べるというスタンスです。日本の場合はどうでしょうか。Giese-Salzを使うとセシウムは9割方排出されるそうですが、かつて汚染されていた牛だと言われたら食べないのであれば使っても意味がありません。消費者の受け止め方がドイツと日本では異なると思われますので、使うことが本当に日本の畜産農家のために なるのか、出荷停止になった牛は買い上げとする方が対策としていいのか、なかなか判断が難しいところかもしれません。
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